2016.06.20更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.財産分与における住宅ローンの問題


 

 結婚生活の中でご自宅を購入した場合、通常は、自宅購入資金として住宅ローンを充てることも多いと思います。もちろん、ご自宅購入時には離婚など考えていないでしょうから、30年といった長期ローンを組むことも多いでしょう。

 そのため、離婚の際、住宅ローンが残っているというケースも多く見かけます。

 

 では、離婚の際、この住宅ローンはどのように処理されるのでしょうか。以下の様に「自宅売却で精算可能なケース」や「住宅ローンが旦那様のみの借金になっている場合」はあまり問題がないのですが、「奥様が連帯保証人または連帯債務者になっている場合」に問題が顕在化します。

 

(1)自宅売却で精算可能なケース

既に住宅ローンをかなりの額返済し終わっているとか、自宅を高額で売却できるというケースでは、自宅を売却すれば、住宅ローン残高を全額返済しても利益が残るというケースがあります。

 

その様なケースで、実際に自宅を高額で売却できれば、住宅ローンは全額精算されますので、住宅ローンの問題はなくなります。

 

 ただ、この方法は、ご夫婦のいずれも、その自宅に居住する意思がない場合の処理方法ですので、ご夫婦のどちらかが自宅に住み続けたいという場合には、採用できない可能性があります。

 

(2)住宅ローンが旦那様のみの借金になっている場合

 奥様が専業主婦で、住宅ローンの連帯保証人になっていない場合など、住宅ローンが旦那様のみ、または、旦那様と旦那様のお身内の方のみという場合には、離婚時の住宅ローンの問題は複雑化せずに処理できる場合が多いように思われます。

 

 この場合に、その自宅に奥様が居住し続けるという場合には、旦那様が住宅ローンを支払い続けるかという問題が残りますが、旦那様が居住し続けるという場合には、財産分与の処理はさほど難しくありません。

 すなわち、自宅の価値については、自宅の時価額から住宅ローンの残額を差し引けば、おおよその価値は算出できますので、この金額を財産分与で考慮して行くことになります。

 

ただ、住宅ローン残高について争われることはないでしょうが、自宅の価値については、争いになることもあり、その場合には不動産鑑定が必要になることもあります。

 

(3)問題は奥様が連帯保証人または連帯債務者になっている場合

 たまに連帯保証といったとき、「お飾りで名前を貸しているだけ」だとか「どうせ旦那が払ってくれるものだから私が負担するお金ではない」とお考えの方もいらっしゃいますが、連帯債務者・連帯保証人、いずれにつきましても、住宅ローン全額を返済する義務を負いますので、注意が必要です。

 

 また、たまに旦那様と奥様2人だから、負担は半分でよいと考えている方もいらっしゃいますが、それも誤解です。

例えば、住宅ローンが残り1000万円だったとすると、旦那様はもちろん1000万円、連帯保証人(または連帯債務者)の奥様も同額の1000万円を返済する義務があります。

 

このようにご説明すると「銀行は2000万円受け取ることができることになってしまう」と考える方もいらっしゃいますが、そうではありません。

銀行としては、旦那様に「1000万円支払え」と言っても良いし、奥様に「1000万円支払え」と言っても良いのです。要するに銀行側はご夫婦どちらからお金を回収しても良い、ということになります。もちろん、例えば旦那様が300万円返済した場合、残りは700万円になりますから、その後は、旦那様も奥様も700万円を支払う義務を負うと言うことになります。

 

 以上のご説明で分かりますように、連帯保証の責任は一般に思われているよりも重いので、離婚の際には、この「連帯保証」を外す作業が重要になります。

 

2.私が担当した事件


 

・ご依頼者様:30代後半の女性(Mさんとします)

・ご依頼内容:旦那様のモラハラがひどいので離婚したいが、自宅の住宅ローンについて連帯保証人になってしまっている、住宅ローンの返済義務をなくして離婚したいとのご依頼内容でした。

 

なお、この件の旦那様:30代前半、お子様:小学校高学年のご長男と小学校低学年のご長女のお二人、婚姻期間:15年程度、家庭環境:ご依頼時別居中というケースでした。

 

3.私の弁護活動


 

 この事件では、財産分与の問題だけではなく、お子様の親権や慰謝料も問題となったのですが、今回は、住宅ローンに絞ってご説明します。

 

 この事件では、親権の帰属について大きく争われたため、離婚協議も離婚調停も上手く行かず、最終的には裁判で争われることになりました。

 離婚協議・離婚調停いずれの手続においても、Mさんのご意向は強く訴えましたが、旦那様が意固地になっており話し合いがまとまらなかったのです。

 

 裁判期日が何回か開かれ、手続がかなり進んだ段階で裁判官から和解の勧告がなされ、Mさんと旦那様いずれも和解の席に着き、話し合いが行われました。

 

4.住宅ローン処理の注意点


 

 今回のケースでは、旦那様が自宅に住み続けており、今後も居住を続けることを希望していました。これに対して、Mさんは、既に自宅を出て生活しており、自宅に戻ることは考えていませんでした。

 そのため、旦那様が自宅を取得することは概ね争いがなかったのですが、住宅ローン残高が自宅の価値を超えるほど残っており、Mさんが連帯保証人になっていましたので、その処理が問題になりました。

 

 この問題は、連帯保証人の変更手続が必要になりますので、Mさんと旦那様が合意しただけでは足らず、銀行の了解を得なければならないという点が最大の問題になります。

 

5.今回のケースでの処理


 

 今回のケースでは、まず、旦那様の方で代わりになる連帯保証人候補者を探してもらいました。親権の帰属では激しい争いをしていましたが、旦那様も自宅が欲しかったので連帯保証人変更の手続には比較的協力的でした。

 

 具体的には旦那様のお父様が連帯保証人候補者となり、旦那様から銀行に打診したところ、旦那様のお父様が代わりの連帯保証人になることの内諾が得られました。

 

 ただ、これで安心してはいけません。具体的に連帯保証人変更手続が完了することを見届けませんと和解できないと言うことで、手続の進捗を見極めることにしました。

 具体的には、Mさんの方でも必要な書類を準備し、旦那様を通じて銀行に書類を提出して、銀行の正式審査が降りて連帯保証人が変更されたのを見届けた上で裁判上の和解をしたのです。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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