2017.04.17更新

 弁護士秦

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1.そもそも「悪意の遺棄」って何だ?


 

(1) 夫婦は互いに同居義務、協力義務及び扶助義務を負っています(民法752条)。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、これらの同居義務、協力義務及び扶助義務などを履行しないことを指します。

 なお、これらの義務違反が「悪意の遺棄」と言えるためには、「悪意を持って」その様な行動に出ることが必要になります。この「悪意を持って」というのは、お堅い言い方になってしまいますが、「積極的に婚姻生活を廃絶することを意図し、それでも構わないと考えていること」などと説明されます。単に婚姻関係を終了させることを意図しているというのでは足りず一方的に「廃絶」しようという意図が必要になります。

 

(2) そもそも、この「悪意の遺棄」は法律上の離婚原因の一つ(民法770条1項2号)にあたりますので、実際に「悪意の遺棄」があったと裁判所が判断する場合には、遺棄をした側が反対しても離婚が強制されることになります。

 その意味で「悪意の遺棄」の持つ意味は重大なものと言えます。

 なお、ここでの「離婚を強制される」の意味は、離婚裁判の場面で、悪意の遺棄と認定された場合に離婚させるという判決が下ってしまうという意味で、離婚の話し合いや調停の段階から、離婚を強制されるという意味ではありません。

 すなわち、通常、離婚の手続を進めて行くにあたっては、①離婚協議→②離婚調停→③離婚裁判という流れを辿りますが、離婚を強制されるというのは③離婚裁判という段階での話なので、この点は誤解がないように注意して下さい。

 

(3) また、悪意の遺棄を実行した側は、慰謝料の支払を余儀なくされる虞があります。

 

2.夫に黙って家を飛び出し何ヶ月も家に帰らないと「悪意の遺棄」になるの?


 

 前述したように「悪意の遺棄」に該当するか否かは、①別居に正当な理由があるかどうかという点と、②一方的に婚姻関係を廃絶するような意図で行われたのかという点がポイントになります。

 結論から言いますと、仮に旦那様に黙って別居を開始したとしても、よほど理不尽な理由で別居を開始したということでなければ「悪意の遺棄」に該当することはないと思います。

 

 例えば、不倫を繰り返し、不倫女性の家から何ヶ月も戻ってこなくなってしまったとか、持病で稼働能力がない妻を置いて別居をし、何ヶ月も生活費も渡さなかったと言ったケースが典型例ですが、これらのような重大なものでない限り「悪意の遺棄」に該当するケースは非常に少ないと思います。

 おそらく自宅を飛び出したということにも何らかの理由があってのことでしょうし、別居が離婚を意図したものであったとしても、相応の理由があって離婚を決意して別居に踏み切ったという経緯があれば、そのことが「悪意の遺棄」に該当することは少ないと思われます。

 

3.夫から「悪意の遺棄だ」と批難された場合どう対処すればよいか。


 

 旦那様からしますと、仕事から帰宅したところ突如奥様が家を出ているということになりますので、このようなシチュエーションに対して強く反発するということはよくあることです。

 そして、奥様に対して非難する論拠として「悪意の遺棄」という言葉を使ってくることもあります。

 ただ、前述の通り、奥様としては正当な理由があって別居しているのですから、仮に旦那様に何の断りもなく別居を開始しても、そのことが「悪意の遺棄」に該当することはほとんどないと思います。

 

 そのため、旦那様から上記のように批難された場合には、このような事態を招いた根本的な原因が旦那様にあることをきちんと伝えるという姿勢がベストかと思います。

 ただ、旦那様が普段からモラハラを繰り返してくるような旦那様の場合、話し合いにならないという危険性もありますので、その場合には、信頼できる第三者(これはご両親でも友人でも良いです)に間に入ってもらうなり、弁護士等の専門家を間に入れて話を進めた方が良いと思います。

 

 いずれにしましても旦那様から「おまえのしていることは『悪意の遺棄』にあたるから後で大変なことになるぞ」などと言われても、そのことであまり不安になる必要はないかと思います。

 

4.別居前の話し合いはした方がよい?しない方がよい?


 

 それでは、「悪意の遺棄」にならないからといって、相手に無断で別居した方がよいのでしょうか、それとも少なくとも一度は話し合いをした方がよいのでしょうか。

 ケースによりますので、一概に言えないのですが、特別な事情がない限り、事前の話し合いはした方が望ましいと言えます。この「特別な事情」とは、①相手がDVの加害者であるとか、②執拗なモラハラを繰り返してきた、③事前に別居の話をすると相手が子供を連れて実家に帰ってしまう危険性が高いといった場合が典型例になります。このような「特別な事情」があるケースですと、別居したいという気持ちを伝えても、相手の行動を助長するだけというケースが多いため、無断で別居した方が望ましいと言うことになります。

 

 逆に、このような「特別な事情」がない場合、無断で別居してしまいますと、相手が必要以上に反発してくる危険性があり、今後の離婚協議が難航する危険性があります。そのため、少なくとも一度は直接離婚したい旨はお話になった方がよいと思います。

 

5.まとめ


・事情があって別居した場合、「悪意の遺棄」に該当することは、少ないと思われる。

・相手から批難された場合、別居の根本原因を問い詰めるのが良い。

・「悪意の遺棄」に該当しないとは言っても、できれば別居前に一度は旦那様と話をした方がよい。 

 

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