2017.04.24更新

 弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.消滅時効のことだけ考えていればよいと勘違いしていませんか?


 

 インターネットでの情報を見ておりますと、

質問:離婚届を提出した後に夫が婚姻中に不倫していたことが分かったのですが、その場合夫に対して慰謝料請求できますか?

回答:慰謝料請求権の消滅時効期間は3年間ですので、不倫発覚後3年以内でしたら請求可能です。

 といった記載をよく見かけますが、このような記載は非常に誤解を招く回答だと思います。離婚後の不倫発覚のケースはそう単純な問題ではありません。

 

2.そもそも不倫慰謝料は何故発生するのか


 

 そもそも、相手の不倫で慰謝料が発生するのは、不倫によって婚姻関係が破綻し、そのことで大きな精神的痛手を受けるからです。この「婚姻関係の破綻」というのは、より砕けた言い方をしますと、「夫婦としてやり直すことが不可能なほどに仲が悪くなっている」ということです。

 そのため、婚姻関係が完全に破綻した後(例えば完全に別居してから数年経過後など)の不倫に対しては基本的に慰謝料が発生しません。

 

3.既に離婚してしまっていることの位置付け


 

 このように不倫慰謝料は、そのことで婚姻関係を破綻させてしまうことが大きな要因で発生するものです。他方、既に離婚が成立している場合には、不倫以外の原因で婚姻関係が破綻していると言うことになりますから、慰謝料の原因にならないのではないかが問題になるのです。

 

 結論から申しますと、夫婦である以上、籍を抜くまではお互いに貞操義務がありますから、仮に、不倫発覚が離婚後であったとしても、その不倫が婚姻中に行われたものである限り、慰謝料責任が直ちにゼロにはならないと思われます。

 ただ、その場合でも、婚姻中に不倫が発覚して離婚に至ったケースと比較して、請求できる慰謝料額は低くならざるを得ないように思われます。

 

 離婚後に不倫が発覚したケースでは、通常の慰謝料決定要因に加えて、①当初の離婚に至る経緯や②不倫発覚の経緯も不倫慰謝料額に影響を及ぼすと思われます。

 

4.既に別の理由で慰謝料を貰っている場合


 

 例えば、離婚の際不倫が発覚していなかったものの、離婚にあたって慰謝料を支払うケースはあります。

 例えば、旦那様が、アルコールが入るとどうしても奥様にきつくあたってしまうことが多いというケースだとか、旦那様の管理不行き届きで奥様が大切にしていたペットを事故死させてしまったケース等で何かしらの慰謝料を支払っている場合があります。

 

 このような慰謝料は、不倫とは全く関係なく支払われたものですが、離婚するにあたって慰謝料という名目で金銭の支払いがなされている場合、その金額は、今後の不倫慰謝料請求にも影響を及ぼすことがあり得ます。

 例えば、財産分与とは別に慰謝料名目で1000万円を支払っているというようなケースでは、仮にその時点で不倫が発覚していなかったとしても、追加で不倫慰謝料を請求できないという事態もあり得ると思います。

 

5.清算条項があった場合


 

 離婚するにあたって離婚届を作成するだけではなく、離婚の諸条件について話し合って、離婚協議書などを作成している場合があります。

 その様な場合、離婚協議書に「お互いに債権債務がないことを相互に確認する」と言った条項(いわゆる「清算条項」)を入れることが一般的です。これは、お金のやり取りは、この離婚協議書に書いてある事項だけにして、他のやり取りはしないという意味になります。

 

 離婚協議書を作成した際に、相手の不倫について全く気付いていなかったという場合には、離婚協議書作成時に慰謝料請求権を放棄したとまでは言えないでしょうから、慰謝料を請求し得るでしょう。

 他方、相手に女性がいることを薄々分かっていたけれども、早期離婚を優先したという場合には、慰謝料請求のハードルは上がると思います。

 

6.証明の問題


 

 当然のことですが、正式に離婚した後にどのような異性と交際を開始しても、それは自由ですので、交際スタートが離婚成立後の場合、相手に慰謝料を請求することは難しいです。

 そのため、その様な不倫行為が婚姻中に行われていたということを証明しなければなりません。

 離婚してから月日が経てば経つほどその証明は難しくなります。

 

7.消滅時効


 

 前述の通り、不倫発覚後3年以内という時効期間がありますので、3年以内に請求しなければなりません。

 なお、この場合の請求は、相手にただ書面で請求するだけでは足らず、裁判を起こすなどして裁判所を介して請求しなければ時効は中断しませんので注意が必要です。

 

8.まとめ


・離婚成立後の不倫慰謝料請求については、不倫以外の理由で離婚しているため、慰謝料が減額される可能性が高い。

・離婚の際に慰謝料を貰っている場合、そのことが今回の不倫慰謝料で考慮される可能性がある。
・清算条項がある場合、不倫慰謝料請求できるかは場合分けが必要である。
・離婚前に相手が不倫していたことの証明は簡単ではない。
・不倫発覚後3年の消滅時効期間内に請求する必要がある。

  

 

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