2018.09.25更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

 

1.内縁関係(事実婚)特有の問題点


 

 

 内縁関係が解消した後の慰謝料請求については、離婚と同じように内縁が解消していることをどう評価するのかといった諸処の問題があるのですが、内縁関係(事実婚)特有の問題もあります。詳しくは以下の様な問題です。

 

(1)内縁の夫が「最初から内縁(事実婚)なんかじゃなかった」と言い始めるリスク

 内縁関係は、結婚の様に入籍届けをしませんので、内縁関係を直接公的に証明する書類は存在しません。

 そのため、内縁の夫が言い逃れのために、最初から内縁(事実婚)なんか存在しなかったと言い始めるケースがあるのです。

 

 そもそも、内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 相手が内縁関係を否定しても良い様に、内縁関係にあることの証拠は集めておいた方が無難でしょう。

 

(2)内縁解消の時期についてお互いの言い分が食い違うケース

 内縁解消の際に、お互い協議書や覚え書きといった書面を取り交わしていればよいのですが、そのような書面の取り交わしがない場合には、内縁解消の時期について争いになるケースも多く見られます。

 もちろん、内縁の夫側は、実際の内縁解消時期よりも「もっと前から関係は切れていた」といった主張をしてくることになります。

 LINEやメールでも結構ですので、相手との内縁解消の時期が分かる証拠があると心強いです。

 

 

2.消滅時効のことだけ考えていればよいと勘違いしていませんか?



 

 インターネットでの情報を見ておりますと、

 

質問:既に内縁は解消してしまったのですが、同居中、内縁の夫が浮気していたことが分かったのですが、その場合慰謝料請求できますか?

回答:慰謝料請求権の消滅時効期間は3年間ですので、不倫発覚後3年以内でしたら請求可能です。

 

 といった記載をよく見かけますが、このような記載は非常に誤解を招く回答だと思います。内縁解消後の不倫発覚のケースはそう単純な問題ではありません。

 

 

3.そもそも不倫慰謝料は何故発生するのか


 

 そもそも、相手の不倫で慰謝料が発生するのは、不倫によって内縁関係が破綻し、そのことで大きな精神的痛手を受けるからです。この「内縁関係の破綻」というのは、より砕けた言い方をしますと、「内縁(事実婚)夫婦としてやり直すことが不可能なほどに仲が悪くなっている」ということです。

 そのため、内縁関係が完全に破綻した後(例えば完全に別居してから数年経過後など)の不倫に対しては基本的に慰謝料が発生しません。

 

 

4.既に内縁解消してしまっていることの位置付け


 

 このように不倫慰謝料は、そのことで内縁関係を破綻させてしまうことが大きな要因で発生するものです。他方、既に内縁関係(事実婚)が解消している場合には、不倫以外の原因で内縁関係が破綻していると言うことになりますから、慰謝料の原因にならないのではないかが問題になるのです。

 

 結論から申しますと、内縁夫婦である以上、内縁を解消するまではお互いに貞操義務がありますから、仮に、不倫発覚が内縁解消後であったとしても、その不倫が内縁期間中に行われたものである限り、慰謝料責任が直ちにゼロにはならないと思われます。

 ただ、その場合でも、内縁(事実婚)期間中に不倫が発覚して離婚に至ったケースと比較して、請求できる慰謝料額は低くならざるを得ないように思われます。

 

 内縁解消後に不倫が発覚したケースでは、通常の慰謝料決定要因に加えて、①当初の内縁解消に至る経緯や②不倫発覚の経緯も不倫慰謝料額に影響を及ぼすと思われます。

 

 

5.既に別の理由で慰謝料を貰っている場合


 

 例えば、内縁解消の際不倫が発覚していなかったものの、内縁解消にあたって慰謝料を支払うケースはあります。特に内縁の夫側の一方的な要求で内縁を解消せざるを得なかった様な場合には、慰謝料のやりとりをすることの方が多い様に思われます。

 

 このような慰謝料は、不倫とは全く関係なく支払われたものですが、内縁関係を解消するにあたって慰謝料という名目で金銭の支払いがなされている場合、その金額は、今後の不倫慰謝料請求にも影響を及ぼすことがあり得ます。

 例えば、財産分与とは別に慰謝料名目で1000万円を支払っているというようなケースでは、仮にその時点で不倫が発覚していなかったとしても、追加で不倫慰謝料を請求できないという事態もあり得ると思います。

 

 

6.清算条項があった場合


 

 内縁関係を解消するにあたって、内縁解消の諸条件について話し合って、協議書などを作成している場合があります。

 その様な場合、協議書に「お互いに債権債務がないことを相互に確認する」と言った条項(いわゆる「清算条項」)を入れることが一般的です。これは、お金のやり取りは、この協議書に書いてある事項だけにして、他のやり取りはしないという意味になります。

 

 協議書を作成した際に、相手の不倫について全く気付いていなかったという場合には、協議書作成時に慰謝料請求権を放棄したとまでは言えないでしょうから、慰謝料を請求し得るでしょう。

 他方、相手に女性がいることを薄々分かっていたけれども、早期内縁解消を優先したという場合には、慰謝料請求のハードルは上がると思います。

 

 

7.証明の問題


 

 当然のことですが、正式に内縁解消した後にどのような異性と交際を開始しても、それは自由ですので、交際スタートが内縁解消後の場合、相手に慰謝料を請求することは難しいです。

 そのため、その様な不倫行為が婚姻中に行われていたということを証明しなければなりません。

 内縁解消してから月日が経てば経つほどその証明は難しくなります。

 

 

8.消滅時効


 

 前述の通り、不倫発覚後3年以内という時効期間がありますので、3年以内に請求しなければなりません。

 なお、この場合の請求は、相手にただ書面で請求するだけでは足らず、裁判を起こすなどして裁判所を介して請求しなければ時効は中断しませんので注意が必要です。

 

 

9.まとめ


・内縁の場合には、離婚よりも内縁の夫が内縁を理由とする反論をしてくる可能性があるため、それに備える必要がある。

・内縁解消後の不倫慰謝料請求については、不倫以外の理由で内縁解消しているため、慰謝料が減額される可能性が高い。

・内縁解消の際に慰謝料を貰っている場合、そのことが今回の不倫慰謝料で考慮される可能性がある。
・清算条項がある場合、不倫慰謝料請求できるかは場合分けが必要である。
・内縁解消前に相手が不倫していたことの証明は簡単ではない。
・不倫発覚後3年の消滅時効期間内に請求する必要がある。

  

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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