2021.06.21更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.今回の解説は「旦那様側」の視点での検討



 即時抗告とは、第1審の結論が出た後に、その審判内容が正しいのかどうかを改めて高等裁判所に検討してもらう手続きになります。分かりやすく、第1審の手続を「第1ラウンド」とすると、即時抗告は「第2ラウンド」だと説明することもあります。
 監護者指定審判事件の第1審で敗訴した場合に、即時抗告すべきか否かは、旦那様側と奥様側とで検討要素等が異なります。
 今回は、「旦那様側」の視点から検討します(「奥様側」の視点は、別途ブログを準備しますので、そちらをご覧ください)

 

 

2.敗訴の意味をまずは理解する


 即時抗告すべきかどうかの検討に入る前に、第1審での敗訴の意味合いを解説します。

(1)奥様の側が正式な監護者と指定されてしまったということ
 監護者指定審判事件で敗訴するということは、あなたが監護権を取得できず、奥様が監護権を取得してしまったということになります。実質的には、あなたがお子様を育てていくよりも、奥様が育てていく方が適任だと判断されたということを意味してしまいます。

 即ち、親権には大きく以下の権利を総称した権利と言われますが、そのうちの身上監護権を奥様だけが持つ形になったという意味になります。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)
 従って、奥様の方でお子様の居所指定権も持つことになりますので、こちらの方にお子様を引き渡すよう求めることはできなくなります。


(2)親権争いへの影響
 親権の判断要素と監護権の判断要素はほぼ同一ですので、監護権で敗訴した状態になってしまいますと、今後の離婚紛争の中で親権争い上圧倒的に不利になることは否めません。
 もちろん、奥様が離婚を急いでおらず(もしくは、経済的な理由からすぐに離婚を希望していない)すぐに親権争いの問題が浮上しないということでしたら良いのですが、矢継ぎ早に離婚・親権の問題に直面しなければならないという場合には、監護者指定がなされたことは重要な判断要素になってしまいます。


(3)家庭裁判所が判断を下したことの重み
 監護者指定審判は、裁判官が必要だと考える調査等を実施した上で、適切だという判断を下しているのですから、やはりそれなりの重みをもつことになります。
 要するに審判手続きの途中の状態ですと、裁判所の正式な判断が下されていない状態ですので、当事者のお互いの立場は優劣がない状態となりますが、既に判断が下されてしまっていますので、こちらが即時抗告をするにしても劣勢からのスタートという位置づけになってしまうのです。

 

 

3.【旦那様側から見た】即時抗告すべきかの判断ポイント


 旦那様側から検討した場合の即時抗告すべきか否かの判断ポイントとしては主に以下のようなものがあります。
①第1審の審理でどこまで目的を達成できたか
②奥様との復縁を希望しているか否か
③第1審での敗因の分析

 以下詳しく解説していきます。


(1)第1審の審理でどこまで目的を達成できたか
 旦那様側から監護者指定審判を起こす場合には、「妻がどこにいるのかもわからず、子供が元気にしているのかすら分からない」といった理由で、安否確認・お子様の生活状況の確認を主眼としている場合もあります。
 もしくは、監護者指定審判事件がかかっている場合、一般的に奥様の側は面会交流を断固拒否という姿勢は貫きにくいため、面会交流の早期実現を主眼としている場合もあります。
 このような場合、結論としては敗訴してしまったとしても、一応の奥様側の生活状況を把握できたり、面会交流は実現されるようになったというような場合には、主たる目的が達成できていますので、即時抗告まで起こす必要性は低いかもしれません。


 逆に、奥様のもとではお子様の健全な成長が期待できないとか、こちらとしてもどうしてもお子様と一緒の生活を強く臨むという場合には、敗訴では全く目的を達成できていませんので、即時抗告を申し立てるべきという方向に傾くと思います。


(2)奥様との復縁を希望しているか
 監護者指定事件では、奥様との一定の紛争は避けられないのですが、特に離婚を希望しているわけではなく、むしろ、奥様とは今後も良好な関係を保ちたいという場合もあると思います。
 そのような場合には、即時抗告をしますと、紛争のステージは高等裁判所に移ることになりますので、奥様の心理的負担が増大すること、紛争の長期化は避けられません。
 奥様の負担のことも考えて、即時抗告はしないという選択肢も出てくることになります。


(3)第1審での敗因の分析
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢
 あなたの事件での敗因は、上記の6個の要素の複数の項目であなたが奥様よりも不利であるということにあると思います。
 第1審の調査報告書も改めて見返したうえで、何が敗因だったのかをしっかりと分析し、その敗因をリカバーできるだけの要素があるのか、敗因を逆転できるような証拠等があるのかを慎重に分析する必要があります。

 

 

4.どの弁護士に依頼するのか


(1)即時抗告すべきか否か迷ったときにはセカンドオピニオンを取ってみるのも良い
 前述の通り、即時抗告すべきか否か判断するにあたっては、第1審の審判で示されたこちらの敗因をしっかりと分析する必要があります。
 基本的には、これまで依頼していた弁護士に意見を聴くことになりますが、その弁護士の言動等に不安を覚えるようであれば、他の弁護士の意見を聞いてみるという方法もあり得ます(いわゆるセカンドオピニオン)。

 

(2)弁護士を変更すべきか
 それでは、即時抗告をしていくという方向になった場合に、弁護士を維持するのかという問題があります。
 結果的には、第1審で敗訴していますので、即時抗告というタイミングで弁護士を変更すべきかを検討するのです。
 率直に言いますと、第1審の結論だけから弁護士を変更することはオススメしません。
 第1審の手続を戦っている間、その弁護士の弁護活動にそれなりに満足して手続を進めることができていたということであれば、無理に弁護士を変えて臨むよりも、弁護士はそのまま戦ったほうが十分な準備ができると思います。


 特に即時抗告にあたっては、審判書を受領してから2週間以内に即時抗告を申し立て、その更に2週間以内に抗告理由書を提出しなければなりません。これらの書類は即時抗告にあたって、いわゆる「即時抗告の顔」となるような重要な書類ですので、しっかりと準備する必要があります。
 新しい弁護士を探し、その弁護士に第1審の記録を精査してもらい、十分な準備を整えるという場合、上記の期間的制限があると、かなり活動が制限されてしまうのです。

 

 

5.まとめ


・監護者指定審判事件での敗訴の意味合いをしっかりと把握する
・旦那様側から即時抗告すべきか判断するにあたっては、以下のような要素を検討する。
①第1審の審理でどこまで目的を達成できたか
②奥様との復縁を希望しているか否か
  ③第1審での敗因の分析
・即時抗告するか迷った場合にはセカンドオピニオンをとっても良いが、弁護士の変更はあまりオススメではない。

 

 

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