2021.08.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.調停委員からの最初の説明


 調停委員からは、調停手続きがどのような手続きなのかを説明するにあたり、以下のような説明をすることが多いです。(以下の一部であったり、他の説明等をすることもありますが、一般的には以下の内容が主となることが多いです)


 ①調停は判決のように裁判所が一定の結論を強制するものではなく、あくまで話し合いの手続である。
 

 ②調停委員はあくまで中立・公正な立場で手続きに関与する。
 

 ③今この場に出席しているのは男女1名ずつの調停委員だが、調停委員会としては裁判官も加わっており、3名で構成されている。ただ、裁判官は同時並行で複数の事件を担当しているので、通常はこの2名の 

  調停委員しか出席しないが、随時裁判官とも相談しながら手続を進めている。
 

 ④調停委員は守秘義務を負っており、また、調停手続きは非公開の手続なので、あなたがこの場で話した内容が外で漏れることはないので安心して話をしてもらって構わない。
 

 ⑤調停の手続はお互いに譲歩しないと決着しないことが多いので、協力願いたい。
 

 ⑥手続きの中で分からないことがあれば遠慮なく言って欲しい。
 

 ⑦調停室の中での会話の録音等は禁止されているので協力願いたい。
 

 ⑧調停が成立した場合、その調停の内容は確定判決と同様の効力がある。

 今回は、上記の②について解説していきます。

 

 

2.調停委員はバランスを考えて、お互いに逆のことを言うこともある。


 調停委員が言う「中立・公正」とは、どちらかの言い分だけを信用したり、どちらかだけの肩をもって手続を進めることはないという意味です。
 ただ、だからといって、お互いが述べる言い分を相手にただ伝えるだけでは、ただのメッセンジャーにしかならないので、一向に手続きが終息に向かいません。
 そこで、調停委員は、お互いに対して、逆のことを伝えてくることもあります。

 

 例えば、あなたが復縁を強く希望している場合でも、奥様側の様子を見て、「奥さんの離婚の覚悟はかなり固いですよ」「奥さんの様子を見ると、なかなか夫婦仲良くというのは難しく感じます」といった伝え方をしてくることが多いです(要するにあなたの意見と逆のことを伝えてくるということ)。
 ただ、このような言い方をしてくるから、調停委員が奥様の肩を持っているのかというと、調停委員は逆に奥様に対して「あなたの気持ちは、旦那さんに伝えましたが、旦那さんは復縁を強く希望しているようです」という伝え方をしていることが多いです(要するに奥さんに対しても奥さんの意見と逆のことを伝えるということ)。


 もちろん、この「逆」というのは、こちらが話していないことを相手に伝えるという意味ではなく、互いにとって簡単に受け入れにくいような話をするという意味です。
 このように、お互いに逆のことを伝えていることで、調停委員としてはバランスをとっていることも多いので、あなたの目の前で奥様の意見の話が多いからと言って、安易に「奥様の肩を持っている」とは考えないほうが良いかもしれません。

 

 

3.中立・公正でも、法律の解釈等については意見を述べることもある


 前述の通り、調停委員は中立公正な立場で話をするように努めますが、調停実務の一般的な取扱い等については、意見を述べてくることが多いです。
 例えば、婚姻費用や養育費の金額については、一般に算定表に基づいて算出することが大半なので、調停委員も、「算定表だといくらになりますので、この数字を軸に検討してもらえませんか」といった意見を述べてくることもあります。
 もちろん、調停なので、このような調停委員の意見に従うか従わないかはあなたの自由です。
 ただ、前述の通り、調停委員の役割として、お互いの言い分の伝言役をするだけということでは、手続きは円滑に進みませんので、上記のような意見を述べて来たりするのです。

 

 

4.調停委員は過去の出来事について白黒つけないことが多い


 例えば、妻側が、裏付けの証拠等を提出してきた場合でも、調停委員は過去の出来事があったかなかったかを確定することはできませんので、「実際奥さんが言うような出来事があったかは分かりません」ということも多いです。
 多少裏付けの提出があっても、そのことで奥様側の肩を持つと中立性が損なわれてしまうからです。
 逆も然りでして、こちらの言い分を通そうと色々と証拠を提出しても、調停委員がこちらの言い分をそのまま受け入れてくれることは少ないです。そのため、白黒つける、こちらの言い分を一方的に認めさせるというような姿勢で調停に臨むのは避けたほうが良いです。

 

 

5.中立性に疑問がある場合には、そのことをしっかり伝えてしまってよい


 前述のように大半の調停委員は、中立に手続きを進めようと努めていることが多いのですが、ときに中立性に疑問がある場合もあります。

(1)こちらが弁護士をつけていない場合
 妻側が弁護士をつけて、こちらが弁護士をつけていない場合、どうしても弁護士がついている側(妻側)に配慮して手続きを進めていると感じることもあります。
 私が途中から調停に参加したケースでも、ご依頼者様から「先生が入ってから調停委員の態度がコロッと変わりましたよ」と言われることもあります。
 このような場合には、端的にこちらも弁護士を立てると、調停委員の態度が変わることも多くあります。

(2)中立性に疑問がある場合にははっきり言った方が良い
 弁護士から見ても、調停委員の中立性に疑問を持つ場合もあり、そのような場合には、「今の調停委員のご意見は強制ではないですよね」と発言するなどして牽制するようなこともあります。
 いずれにせよ、調停委員の意見が偏っていると感じるときには、タイミングを見てそのことを伝えたほうが良いです。

 

 

6.まとめ


・調停委員が言う中立公正とは、一方の肩をもって手続を進めないという意味である。
・ただ、調停の進行上、お互いに逆のことを伝えることもある。
・調停委員は法律解釈等については意見を述べることもある。
・調停委員は過去の出来事について白黒つけないことが多い。
・調停委員の中立性に疑問がある場合には、はっきり伝えてしまってよい。

 

 

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