2022.09.26更新

弁護士秦

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。

 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。


(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.裁判官は監護実績についてどう判断するのか?


(1)監護実績については言い分が大きく対立することも多い
 これまでの監護実績(同居中、お子様の育児にどのくらい関わってきたのか)は監護者指定にあたって非常に重要な要素です。
 ただ、監護実績については、お互いの言い分が大きく食い違うケースも非常に多いのが実情です。裁判官によっては、アバウトにお互いの監護割合を確認したいので「これまでの育児の割合として、あなたの比率と旦那さんの比率だとどのくらいですか?」と質問してくることも多いのですが、そのようなときに、あなたは9対1と答え、夫側は、自分の方が比率が高く7対3(夫7で妻が3という趣旨)と答えるなど、言い分が大きく食い違うことが往々にしてあります。


 それでは、裁判官はどのように監護実績を判断するのでしょうか。


(2)一番大きな鍵になるのが連絡帳
 お子様を保育園に通わせている場合には、毎日連絡帳を記帳していることも多いと思います。このように連絡帳を誰が記入しているのか、どこまでの内容を書いているのかという点は非常に重要な判断要素になります。
 率直に言いますと、監護実績について端的に証明できる証拠は通常ほとんどなく、連絡帳がほぼ唯一の証拠と言えるからです。連絡帳は、日々、自然な形で記帳していますので、当時の様子を探る貴重な資料とされることが多いのです。


(3)育児日記は?
 監護者指定事件で時折問題になる「育児日記」というのは、自主的にノートなどに普段のお子様の様子やかかわり方等を定期的に記帳した日記のことを言います。
 当時から毎日記帳していたということを相手側も認めているようでしたら、育児日記も貴重な資料となります。ただ、相手が「妻は普段からそんな日記は付けていなかった。今回の審判に向けてバックデートで作ったものに違いない」などと言ってきた場合には、それほどの証拠価値は認められなくなってしまうことも多いです。

 特に育児日記とは言っても、大切なイベントなどがあったときのことしか書いていないというものについては、本当にその日に作成したのかという点の証明が難しいのが難点です(連絡帳の場合、毎朝記帳しなければならず、その後に毎日保育園の保育士の返答コメントがありますので、バックデートで作成することは非常に困難です)


(4)お互いの勤務形態も重要
 同居中のお互いの勤務形態も、育児への関わり具合を探る重要な判断要素になります。
 例えば、夫側は毎日遅くまで仕事をし、他方妻側は専業主婦だったという場合には、妻側の方が育児に関わる場面は大きかったということになります。同様に、共働きでも、妻側は時間短縮勤務で、夫側はフルタイム勤務という場合にも、妻側の監護割合の方が大きいと判断されやすいと思います。


(5)写真は?
 写真をどこまで重視するかは裁判官によるところが大きいです。裁判官によっては、お子様との関わりを示す資料になるので、「写真も出してほしい」とリクエストしてくることもありますが、全体的には少数派ではないかと思います。
 写真はどうしても普段の様子というよりは、旅行等特別な行事の時などに撮影することが多いので、「普段の監護実績」の証明資料としては弱いという面があります。

 

 

3.まとめ


・監護実績についてはお互いの意見が大きく対立することが多い。
・連絡帳は監護実績を探る貴重な資料とされることが多い。
・育児日記は、それまでの作成経緯、相手がどこまで争ってくるのかによる
・お互いの勤務形態等も監護実績を探る客観的状況として重要である。
・写真は、あまり重視されない傾向が強い。

 

 

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