2015.05.27更新

 

こんにちは、日本橋の弁護士秦(はた)です。

 

1.相続の手続はあまり時間を置かないで手続きした方がよい。

 

 祖父は随分前にお亡くなりになったけれども、祖父の代から実家の名義を変更していないというような方はいらっしゃいませんでしょうか。土地建物の名義で固定資産税等の税金を支払っていれば、不都合がないとのことで相続の手続を先延ばしにしてしまいますと、相続人の数が増えて、意見集約が困難になることも多いので注意が必要です

 

 

2.相続人が17名に及ぶ事件を担当

 

 私が担当した事件では、相続人が17名にまで及んだ遺産分割の事件を解決したことがあります。このケースも、祖父がお亡くなりになった後も、祖母が実家の管理を行い、名義は祖父の名義のまま変更しておりませんでした。祖母がお亡くなりになったことから、お孫さんの一人からご相談を受けたのですが、確認しましたところ、祖父の方にはお子様が7人いて、お孫様の代まで相続が及んでいる方もいらっしゃって、最終的には相続人は17人になりました。

 依頼者の方も全ての相続人の方と連絡を取れるわけではありませんでしたので、手探りで事件を進めて行きました。

 

 

3.相続人の範囲の確定

 

 依頼者の方には、まず、相続人としてどのような方がいらっしゃるのかの確認をして、親族関係図を手書きで書いて頂きました。そうしますと、やはり、叔父様のお名前は分かるが既にお亡くなりになっているかもしれないとか、伯母様はお亡くなりなのだけれども、甥御さん、姪御さんの連絡先が分からないということがでてきました。

 

 そこで、まずは、依頼者の方の情報を元に、戸籍類を確認し、相続人が何人になって、誰が相続人なのかを確定する作業から着手しました。

 なお、今回のケースとは異なり、依頼者の方が、相続人の範囲について自信を持っていらっしゃることもありますが、戸籍類を確認しますと、依頼者の方も知らなかった故人の前妻がいらっしゃることが分かった、というケースもありますので、まずは、戸籍の確認から実施していく必要があります

 

 

4.相続人の立ち位置の棲み分け

 

 前述のようにして相続人の範囲が確定した場合、依頼者の方には、①依頼者に協力的な方、②依頼者から連絡が取れるが、協力的ではない方、③依頼者から連絡が取れないため、どのような意向か不明な方の区分けをお願いしました。

 相続人の方々の立ち位置に応じて、私からの接触の仕方などについて違いが出てきますので、まずは、このような区分けをお願いしたのです。

 

 

5.依頼者から連絡が取れない方々への対応(相続分譲渡)

 

 前述のように、相続人の方々のおおよその立ち位置を把握した後に、①の協力的な方々にお集まり頂いて、今後の相続手続の進め方及び遺産の分け方について決定しました。

 集まった皆様のご意見では、依頼者の方から連絡が取れない方々については、故人とも疎遠にしており、遺産不動産の取得を希望しないとの観測の元、相続分を譲渡してもらうという方針が決まりました。

 

 「相続分の譲渡」は、個別の遺産について譲渡してもらうのとは違い、相続分そのものを、ひとまとまりにして譲渡してもらうと言うことです。分かりやすく説明しますと、故人の遺産としてA建物、B土地、C建物、D借地権、E預金、F保険があったとすると、甲さんという相続人の方から、A建物の相続分だけとか、D借地権の相続分だけという形で譲渡を受けるのではなく、これらの遺産全てについての相続分を「ひとまとまり」にして譲渡を受けるという形です。

 

 依頼者から連絡が取れない方々は総勢10名でしたので、10名の方にお手紙を差し上げ、事情をご説明した上で、直接お伺いさせて頂き、相続分譲渡につきご同意をいただきました。故人の方と疎遠にされていた相続人の方々でも、ご意見は多様でして、「手数料程度の遺産を分けてもらえば構わない」とか「○○について形見分けをして欲しい」だとか、「相続人である以上は適正対価を補償して欲しい」等のご意見がありました。

その様な相続人の方々の意見を依頼者の方に伝え、お一人お一人に相続分譲渡にご了解頂きました。

 

 

6.最終的には遺産分割調停

 

 上記のようにして丁寧に事情を説明しましたところ、依頼者がこれまで連絡を取っていなかった相続人10名のうち、8名の方々は納得して下さいました。

 しかし、残りの相続人2名の方のご理解をいただけませんでした。また、依頼者が連絡を取ることができるが協力的ではない相続人が1人残っていましたので、結局はその3名を相手にして遺産分割調停を申し立てました。

 

 連絡が取れなかった2名の方々は、調停になりましたら、手続に同意して下さり、協力的ではない相続人の方にも時間をかけて納得してもらいましたので、無事調停成立にこぎ着けました。

 

 

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雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

2015.05.25更新

 

 こんにちは、日本橋の弁護士の秦です。

 

1.親権について争われる事件は増加傾向にある?


 

 相手の配偶者に愛想が尽きて離婚を決意したとき、お子さんがいらっしゃる場合には、親権を取得できるかどうかは重要な問題だと思います。弁護士を10年しておりますと、離婚については決心が付いていても、お子さんの親権を先方に渡すのだけは納得が行かないという話を伺うことも多くあります。最近は少子化の影響もあってか、親権について争われるケースが多くなってきている様にも思えます。

 

 私が今回ご紹介する事件も、親権の取得について激しく争われた離婚訴訟のケースになります。このケースでは、訴訟中に依頼者様(奥様)が突発的な記憶障害に襲われてしまい、お子様の養育に支障がないかが大きな問題となりました。

 

 

2.私が取り扱った実際の裁判


 

・ご依頼者様 : 30代後半の女性(Hさんと言います)

・ご依頼内容 : 旦那からのモラハラがひどいため、当人同士の話し合いでは解決できないので、離婚の交渉をお願いしたいというものでした。

 

なお、この事件の相手方:30代後半の旦那様、お子様:小学校低学年の男の子と6歳未満の女の子のお二人、婚姻期間:10年程度、ご依頼時の家庭状況:別居中でした。

 

 このケースでは、Hさんの代理人として、離婚の任意交渉、離婚調停の手続をしましたが、折り合いがつかず、離婚裁判にまで発展しました。夫婦間では養育費の額や財産分与についても激しく争われたのですが、最も大きく争われましたのは、お子様の親権でした。

 

 ご長男の親権については、当時より旦那様が養育していたこともあり、あまり大きく争われていませんでしたが、ご長女の親権が大きく争われました。そして、このケースは複雑な事情がありご長女が児童養護施設に入所しているまま離婚訴訟の手続が進みました。

 

 ご長女はHさんが親権者として養育して行くことを強く望んでいましたので、当初はHさんが親権取得に有利な方向で審理が進んでいたのですが、Hさんが突発的に重度の記憶障害に襲われてしまったため、主治医からも奥様の養育には疑問があるとの意見が提出されてしまい、家庭裁判所調査官による調査においても、奥様のご体調を考慮すると、現時点では旦那様を親権者とする他ないとの意見が出されてしまいました。

 

 ところで、家庭裁判所調査官は、お子様の養育状況等に関して調査する専門家に該当しますので、家庭裁判所調査官の意見は、裁判所の判決にそのまま反映されるのが一般的です。ですので、Hさんには、その旨と、家庭裁判所調査官から厳しい意見が出てしまった旨お話しはさせていただいていました。

 

 

3.この事件での勝訴の鍵        


 

 私は、この事件では、以下のような工夫をして、最終的には奥様を親権者とする判決の言い渡しを受けました。この判決に対しては、旦那様が猛反発して、控訴したのですが、控訴審でも第1審判決が維持されました。

 

①奥様の体調回復のため慎重に手続きを進めたこと

 奥様の記憶障害は、奥様の判断能力に影響を及ぼすほどの重度のものでしたので、奥様の保護者(成年後見人)を選任すべきではないかとの議論もありました。

 

 そこで、まずは、奥様の記憶障害の詳細な説明や保護者選任の手続に着手するなどしました。もちろん、むやむに審理を遅延させることは弁護士の活動として許されるものではありませんが、奥様の記憶障害の状況も踏まえ、適切な手続きを取るべく慎重に準備を重ね、平行して奥様のご体調の回復を待ちました

 結局、奥様のご体調が相当程度回復しましたので、保護者の選任には至りませんでした。

 

②調査官の調査報告書の誤りの指摘

 家庭裁判所調査官は確かにお子様の養育状況等について把握する専門家であることは間違いないのですが、調査時間が限定されていることもあり、調査報告書が必ずしも正確ではないことがあります。

 今回のケースでも不正確な記載が何点か見受けられましたので、その点は事細かにご指摘させていただきました。

 

③親族の協力のクローズアップ

 上記の通り、奥様が重度の記憶障害を負ってしまいましたので、奥様のお姉様やお母様といった方の緊密な支援が受けられることを強くクローズアップしました。この点は、どのように主張すればお姉様やお母様による万全の補助を受けられる状況にあるのかを工夫して主張しました。

 

担当児童福祉士とのきめ細かな連携

  ご長女は児童養護施設に入所しておりますので、ご長女の状況は担当児童福祉士が最も良く事情をご存じでしたので、頻繁に担当児童福祉士と連絡を取り、ご長女の状況を把握することに務め、良好な関係を築くようにしました。

 

 上記のような努力も奏功し、奥様の体調もかなり改善傾向に向かいましたので、最終的には奥様の方で親権を取得することができました。

 

 これまで、私は、家庭裁判所調査官による監護状況調査が入る事件を何度も経験したことがありましたので、その経験上、調査官の調査に事前に備えることができたことと、調査報告の内容に適切に対応できたことがこのような結論に結びついたものと思いました。

 

4.後日談              


 

 

 上記の通り、Hさんにとって不利な内容の家庭裁判所調査官報告書でしたので、Hさんは娘様の親権を取得できないのではないかとかなりご不安に思われていたようです。判決でHさんの親権が認められ、大変喜んでいました。

 その後、Hさんの体調は徐々に改善してゆき、娘様は児童養護施設を退所するにまで至りました。体調が回復してきたとはいっても、Hさんが一人で娘様と生活してゆくことには不安がありましたので、Hさんの親御様と同居して、娘様とも一緒に生活されているとのことです。

 

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