2017.03.27更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「本当に役に立つ詳しいブログ解説」を目指して解説させていただきます。

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1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けも取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストですが、あなた自身の体調も踏まえながら取り組んで下さい。

 

 

3.不倫誓約書作成ガイド


 

 このようにして旦那様と話をして、どうやら旦那様も反省しているようで、あなたとしても今回に限っては離婚とまでは言わないという場合、旦那様には誓約書を書かせる必要があります。

 その場では旦那様が強く反省していたとしても、何年も月日を経ていきますと、その意思が弱まる危険性もありますから、その担保という意味で誓約書を書かせるのです。

 

 不倫発覚後旦那様と様々な議論をしてきたのだと思いますので、更にまた誓約書の話を持ち出すことは大変かもしれませんが、できる限り誓約書作成のご努力をなさって下さい。

 

 以下では、不倫誓約書には一般的にどのようなことを書き、どのような点に工夫するのかについて説明していきます。

 

 なお、インターネット上には、不倫誓約書のひな型のようなものが掲載されているページもありますが、このようなひな型をあまり意味も分からないまま利用しますと、後で予測しないような結果を招いてしまうこともありますので、以下の記事も参考にして十分に文案を検討することをオススメします。

 

 誓約書はおおよそ8個のブロックに分けて記載することが多いので(端的に言いますと、1ブロックごとに第1条から第8条という形で作成すると簡便です)、そのブロックごとにご説明します。

 

(1)【第1ブロック】謝罪の条項

 例えば、「私は、平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。」

 といった書き方をします。

 

 不倫の期間や回数については、特定できるようであれば記載しておくと、後から旦那様の説明が嘘だったことが分かった場合、問い詰めることが容易になりますので、可能な限り特定して下さい。

 

 なお、不倫の経過や交際の状況等について非常に事細かく全て自白させたい、その全てのことについて謝罪させたいという場合には、「私は、別紙の通り不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して…」という書き方にして、詳細な内容を全て別紙に綴じ込むという方法も考えられます。

 

 また、不倫以外に旦那様の普段の生活での不満があれば、そのことについても、この条項に書き込むという方法もありますので、検討してみて下さい。

 

 例えば「私は、以下の①から④のことで貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。

①平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及んだこと
②婚姻生活中、貴殿に対して頻繁に罵声を浴びせ、貴殿を怖がらせてしまったこと
③貴殿の家事・育児への協力が不十分であったこと
④……」

 

(2)【第2ブロック】慰謝料の条項

 例えば、「私は、本誓約書における誓約にもかかわらず、再び異性との不貞行為に及んだ場合、貴殿が受けた精神的苦痛を慰謝するため、慰謝料○○円をお支払い致します。」といった内容になります。

 今回慰謝料の支払いを求めるという方法もありますが、通常は、今回に限り旦那様を許し、その代わり、2回目の浮気があった場合には、慰謝料を支払わせるという形がオーソドックスなように思われます。

 

 なお、2回目の浮気があった場合の慰謝料については、抽象的に「貴殿の精神的苦痛を十分に考慮した慰謝料」といった書き方をしても良いですし、「慰謝料○○円以上」という書き方をしても結構かと思います。

 

 では、この慰謝料の金額は相手が合意すればいくらでも良いのかというと、あまり高額すぎる場合には、その効力が制限される可能性がありますので注意が必要です。

 例えば、「慰謝料1億円をお支払い致します」と書かれていても、その誓約書を盾に1億円を請求することは難しいように思われます。

 

(3)【第3ブロック】誓約条項

   例えば

「私は、以下の事項を誓約致します。
○○□子の情報・電話番号・メールアドレス・SNSのID等を全て消去済みであり、今後、電話・メール・LINEその他方法を問わず一切連絡を取らないこと
○○□子以外の異性との間で、貴殿との貞操義務に違反するような不貞行為及びこれに準ずる行為に及ばないこと」

   といった書き方をします。

 

 他にも不倫相手と接点を持つシチュエーションがあれば、それに対する誓約条項も盛り込んでおいた方が良いと思います。

 具体的には、不倫相手が近所に住んでいるという場合「偶然○○□子を見かけたとしても、自ら声をかけず、また、○○□子から声をかけられても返答をせず立ち去ること」といった条項を加えることも検討しなければなりません。

 

 また、浮気以外にも相手に改善を求めたい事項があれば、そちらについても誓約条項に加えておいた方が良いと思います。例えば、貴殿を罵るような言動に及ばないこと、家事・育児に積極的に協力すること、といった記述です。

 

(4)【第4ブロック】違反の場合のペナルティ条項

 例えば「前条の誓約条項に違反した場合、私は貴殿に対し、違反回数1回につき○万円を支払います」といった条項です。

 なお、この条項につきましては、条項通りに違約金を請求できるかというと、通常は旦那様が再度不倫をした際の慰謝料に含まれるものとして、別途違約金請求権は発生しない可能性が高いと思います。

 

 そのため、この条項は、相手に連絡等を取らないよう心理的プレッシャーをかけるという位置付けになろうかと思います。

 このように法律的効力に疑問もありますので、この「第4ブロック」については、弁護士が作成する誓約書などには記載しないことの方が多いように思われます。

 

(5)【第5ブロック】離婚の予約

 例えば「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾致します」といった内容の条項になります。

 なお、この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要することはできないと言うことです。

 このように「第5ブロック」については法律的効力はないのですが、こちらが真剣に離婚を考えたことの痕跡を残す意味でも、「第5ブロック」の条項は記載することの方が多いように思われます。

 

(6)【第6ブロック】秘密保持に関する条項

 特に旦那様の口が軽いとか、自身の女性関係を誇示する危険性がある様な場合には、秘密保持に関する条項も入れておく必要があります。

 例えば「○○○子との関係(不貞行為に及んでいたことを含む)、本誓約書の存在及び内容について、第三者に開示も漏洩も致しません」といった内容になります。

 

(7)【第7ブロック】不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力致します」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、再度同じような問題が起きた際に、こちらから旦那様を問い詰める根拠になりますので、不倫相手への責任追及も考えたいという場合には、記載しておいた方が良いと思います。

 

(8)【第8ブロック】今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。旦那様の今後の夫婦生活に対する向き合い方をきちんと示してもらう必要がありますので、このような記載をします。

 なお、現在夫婦が別居中という場合には、別居解消のために努力する旨及びその時期などについても明記することになります。

 

 

4.まとめ


・ インターネット上の不倫誓約書ひな型を深く考えずにそのまま利用することは危険

・ 不倫誓約書には大きく8個のブロックがある。

・ 一つ一つのブロックについてご夫婦の実情に合わせて文案を作成する

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2017.03.20更新

 

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1.「2度目の不倫」発覚


 

 一度、奥様とは別の女性と不倫してしまい、その件は、奥様と話し合いをして解決したとします。

 しかし、その数年後、再び不倫をしてしまい、そのことが奥様に発覚してしまったとします。

 

 その場合、奥様との関係を改善することは簡単ではないでしょうが、すぐに離婚したくはない場合、どうすればよいのでしょうか。

 今問題になっているのは2度目の不倫発覚のことですが、以前の不倫発覚の際に、奥様と何らかの約束をしている場合、その約束にどこまで拘束されるのかという点からご説明致します。

 

 

2.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が口約束の場合


 まず、口約束という場合には、実際にその様な発言があったのかなかったのかという点が問題になります。

 一度目の不倫発覚の際、奥様も冷静に話し合いをすることは難しいケースも多く、夫婦間で話をしていても様々な話が出てしまい、その一つ一つを覚えていないということも考えられます。

 

 また、仮にその様な発言があったとしても、前後の話し合いの内容や、その様な発言の経緯についての検討も必要になります。仮に浮気をした側の旦那様が「2度目の時には離婚するとは言ったが、子供の親権はこちらが貰うことが条件だと話したはずだ」などと、他にも条件が付いていたという言い方をすることもあり得ます。

 いずれにしましても、口約束ですと後からもめ事の種になりますので、仮に旦那様の不倫を今回限りで許すにしても不倫誓約書にはきちんと署名押印させた方が良いと思います。

 

 

3.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が書面で約束されている場合


 それでは、不倫誓約書などに「甲が再度不貞行為に及んだ場合には、乙からの離婚要求に無条件で応ずる」といった内容が書かれていた場合はどうでしょうか。

 

 不倫誓約書を書かせた側としては、2度目の不倫発覚後、離婚するしないで相手と再度揉めることは避けたいと思います。このような理由で、誓約書に上記のような記載をしているのだと思いますから、記載通りの効力が認められないとあまり意味がありません。

 しかし、残念ながら、この誓約書と離婚届を提出しても、離婚届が受理されることはありません。協議離婚する場合、離婚届にご夫婦の署名押印がなければ、離婚届は受理されないのです。

 

 従いまして、上記のような誓約書の文言は、不倫した側に対して、心理的な影響を期待するもので、法律的な効力はありません。この「心理的な影響」というのは分かりにくい表現ですが、要するに再度不倫した旦那様も、一度誓約書にサインしてしまっていると逆らいづらくなるという意味でしかありません。

 

 

4.公正証書で「もう一度浮気したら離婚する」と書いた場合はどうか


 

 相手がお金を支払わなくなった場合に備えて、強制力を持たせたいという場合、公正証書を作成します。離婚協議にあたっても、慰謝料や養育費など相手からの支払が滞らないように公正証書を作成することもあります。

 

 それでは、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書いてある場合、離婚届と公正証書を持っていけば離婚届は区役所で受理されるのでしょうか。

 端的に申しますと、離婚届は受理されません。

 

 そもそも、公正証書は、お金の支払いに関しては強制力を付けることができますが、それ以外のことについて強制力を付けることはできません。

 そのため、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書かれていても、その箇所に強制力を付けることはできないのです。

 

5.予め離婚届にサインさせる方法


 

 不倫誓約書を作成させる際に、旦那様からその場で離婚届にも署名押印させる方法も考えられます。

 今すぐに離婚届を提出する訳ではないけれども、今後違反した場合にすぐ離婚できるように予め離婚届を作っておくということです。

 

 このように作成された離婚届も本人の署名押印がある以上、区役所の戸籍課では受理されてしまいます。

 

 ただ、実際に再度の違反が発覚し、その際に旦那様が離婚に反対しているような場合には、その離婚は後から無効とされてしまうリスクが残ります。

 

 

6.まとめ


・ 誓約書などに、今後違反した場合離婚する旨記載しても法律的効力はない。

・ 離婚の予約には心理的効果は期待できる。

・ 公正証書にしても、離婚の予約の効果は変わらない。

・ 予め離婚届にサインさせておく方法は、後から無効とされるリスクがある。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2017.03.06更新

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>>あなたが奥様から責任追及される側の場合は、以下の記事をそのままご覧下さい。

 

1.不倫が奥様に発覚


 

 通常不倫をする際、奥様に分かるように不倫する人はおりませんので、気付かれずに不倫している方が大半かと思います。

 

 何らかのきっかけで奥様が不審に思い、あなたの不倫が発覚したという場合、通常は、あなたに対して不倫の有無を確認してきます。

 そして、慎重な奥様ですと不倫の決定的な証拠を突きつけてあなたに問いつめてきます。

 

 不倫をしている方としては急に奥様からの責任追及にさらされることになりますので、冷静に対応することが難しいことも多々あります。

 そんなときに、奥様から「不倫誓約書にサインしろ」と言われた場合、どのような点に注意しなければならないかをご説明致します。

 

 

2.【チェックポイント1】まずは不倫誓約書にキチンと目を通すこと


 

 不倫誓約書には署名押印しなければならないのですから「キチンと目を通すこと」というのは当たり前のことのように思えます。

 

 しかし、不倫が発覚して奥様から毎日のように厳しい追及を受けている場合、冷静に不倫誓約書を見て書いてあることを読み込むと言うことは、簡単に見えて簡単なことではありません。

 

 特に、奥様が「誓約書にサインしたら許して上げるから、早くサインだけでもしろ」などと言われてしまうと、勢いその場しのぎで、よく読みもしないでサインしてしまうリスクもあります。

 

 

3.不倫誓約書に署名押印すると、基本的には書いてある通りの効力が発生してしまう


 

 たまに、不倫誓約書にサインしても、第三者の立会がないと効力が生じないだとか、公正証書にしないと正式な効力はない等誤解されている方もいらっしゃいます。

 しかし、不倫誓約書にご自身で署名押印してしまった場合、立会や公正証書が全くなくとも、基本的には誓約書に書いてある通りの効力が発生してしまいます。

 

 そのため、不倫誓約書に書いてあることはキチンと守らなければならないし、重要な約束なのであるという自覚を持ってサインしなければなりません。

 

 

4.【チェックポイント2】不倫誓約書にサインする前の心構え


 

 不倫誓約書には一般的にどのような記載があるのかと言う点は後述しますが、そもそも、不倫誓約書にサインすべきかということをよく考える必要があります。

 

 不倫誓約書にサインするということは、現在の奥様に謝罪し、奥様との関係を修復していくということを意味します。

 そのため、今後奥様とやっていく自信がないのに不倫誓約書にサインするということは無責任とも言えます。また、奥様とやっていくことが難しいとの自覚がある場合、結局不倫相手と再び連絡を取ってしまうというケースも多くあります。このようにして再度不倫相手と連絡を取って関係を持ってしまった場合、2回目の不倫発覚時には更に奥様を傷つけてしまいますので、このような事態が夫婦にとって幸せとは言いにくい面があります。

 

 もちろん、不倫発覚時には奥様も激怒していることが多いため、不倫をしていた方から「お前とはやっていけない」などと言い出せる雰囲気ではないのが通常かと思います。

 だからといって、今後幸せな家庭を築くことがほぼ不可能だと思っているのに、不倫誓約書にサインするということが本当に今後の夫婦のためによいことなのかという点は慎重に検討して下さい。

 

 その場しのぎで不倫誓約書にサインすることは夫婦お互いにとって不幸かもしれません。

 

 

5.【チェックポイント3】不倫誓約書の各記載に対する検討


 

 実は不倫誓約書にも、行政書士が作成したもの(行政書士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)と弁護士が作成したもの(弁護士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)とで書いてある内容がそれなりに色分けされます。

 

 ただ、奥様がインターネットの情報をつぎはぎして作成している場合もありますので、以下では(行政書士型のひな型、弁護士型のひな型を問わず)不倫誓約書によく記載のある事項を中心にご説明していきます。

 

(1)謝罪の条項

 読んで字のごとく、不倫をしていたことに対して謝罪する旨の条項になります。なお、謝罪の条項については、以下のような点も記載されることがありますので、誤った記載がないかよくご検討下さい。

  ・不倫期間(「平成○年○月~平成○年○月まで不倫していた」と言った記述)

  ・不倫相手(「○○さんと不倫していた」と言った記述)

  ・不倫相手と知り合った経緯(「職場で知り合った○○さんと不倫していた」と言った記述)

  ・不倫回数(「○回もの不倫行為に及び」と言った記述)

  ・その他不倫とは異なる事情についての謝罪条項(例えば頻繁にギャンブルにお金を使ってしまったことへの謝罪、風俗店に足を運んでしまったことへの謝罪、暴力をふるってしまったことへの謝罪等々)

 

(2)慰謝料の条項

 慰謝料については、今回の不倫については奥様が許すという姿勢の場合、その場で慰謝料を払うというケースは少ないように思われます。

 今後も夫婦関係を続けるという場合、旦那様が奥様にお金を払っても、夫婦としての合計資産に変化はないからです。

 

 そのため、通常は、今回は慰謝料の支払いは許すけれども、今後約束を反故にした場合には「慰謝料○○円を支払う。」といった内容がオーソドックスかと思われます。

 この場合の注意点は、慰謝料の金額です。あまりに高額な慰謝料の支払いを約束することは避けた方が良いと思います。

 

 なお、奥様の気持ちが収まらないということで、その場で慰謝料としてまとまったお金を払うよう言われることもあります。その場合も、その場で支払う慰謝料額が高額すぎないかどうかの検討は必要ですし、今回の支払いのみで終わりなのかという点は注意した方が良いと思います。

 

(3)誓約条項

 不倫相手と連絡を取らないという誓約をさせる文言は通常記載されます。

 

 問題は不倫相手と知り合ったきっかけとの関係で、どこまで行動の制限がかかるのかという点です。

 不倫のきっかけが、かつての大学時代の同級生、大学のサークル仲間等でしたら、それほど身近な接点がある訳ではないので、誓約条項も限られることが多いです。

 

 他方、不倫関係は割と身近な接点を原因としていることも多くあります。例えば職場、子供の通う保育園や学校、子供が通う習い事等をきっかけに知り合ったというケースもありますし、不倫相手が近隣に住んでいるというケース等です。

 このような場合、旦那様の生活圏に不倫相手の生活や仕事があるため、接点を持たないようにするため、どこまで行動の制限をかけるのかという問題が生じるのです。

 

 この点は具体的な事例に応じて対応が大きく異なってくるところでもありますので、誓約事項をキチンと確認し、自分の行動にとってあまりに拘束が強くなり過ぎないように注意する必要があると思います。

 

(4)違反の場合のペナルティ条項

 特に行政書士が作成する誓約書に多いのですが、「不倫相手と連絡を取り合った場合1回につき○○万円」といった形で条項化されることが多いです。

 このような条項が法律的に有効かというと、無制限に有効とは思えませんが、このような約束をしているということは今後不倫が再開した場合に考慮されると思います。

 

 極端な話ですが「連絡を取り合った場合1回につき1000万円」という約束をしていても、高額すぎるため、このような約束には法律的効力はないと思います。

 ただ、実際に不倫が発覚してしまうと、当然奥様からは約束の1000万円を要求されることになりますし、あなたに対する責任追及が非常に強まることは間違いありませんので、安易に高額な慰謝料を約束しないよう注意が必要です。

 

(5)離婚の予約

 「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾する」といった内容の条項になります。

 

 この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要されることにはならないと言うことです。

 

 ただ、今後同様の行為が発覚した時に、離婚したくないと主張することは非常に難しくなると思いますので、注意が必要です。

 

(6)不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力すること」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、不倫誓約書にサインするという場合、このような条項の記載に反対すると言うことは難しいかと思われます。

 

(7)今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。このような条項は不倫誓約書にサインする以上必須の条項だと思われます。

 

 

6.まとめ


・不倫誓約書にはきちんと隅々まで目を通してからサインする。

・きちんと奥様とやり直す決意を固めてからサインする。

・不倫誓約書には色々な記載があるので細かなチェックポイントがある。

 

 

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