2019.01.28更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.内縁関係円満調整調停って何だ?


 

 内縁関係円満調整調停とは、一般的には、内縁夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い内縁関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。

 しかし、この説明だけでは漠然としていて内縁関係円満調整調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に内縁関係円満調整調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 

 通常この調停を起こす場合、内縁関係は成立しているけれども、相手が急に態度を豹変させたとか、連絡が取れなくなってしまったという場合に、相手の真意を確認したり、内縁夫婦間のとげを取り除いてやり直すために行われる手続になります。

 調停の席での話し合いが順調に進めば、内縁夫婦の行き違いを調整し、円満な状態に戻すことを目標にした手続にはなります。

 ただ、相手が頑なに内縁関係の継続を拒否する姿勢の場合、内縁解消に向かって話が進んでしまうリスクはあります。

 

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


 

(1)相手に最後通告を送る

 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は内縁関係円満調整調停を起こす旨の最後通告はしておいた方が良いと思います。

 このような最後通告を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に通告をしておいて下さい。

 

(2)相手が内縁関係を否定してきた場合に備えて証拠の準備

 相手が調停の場で、内縁関係の存在そのものを否定してくる可能性もあります。そのため、内縁関係を証明できる証拠があれば、事前に証拠集めをして、調停の場でも調停委員に見せられるように準備しておいた方が良いと思います。

 

 

4.調停委員ってどんな人?


 

 内縁関係円満調整調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

 

 では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

5.内縁関係円満調整調停ってどこで行うの?


 

 内縁関係円満調整調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。

 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

6.内縁関係円満調整調停って何時行うの?


 

 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。

 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 

 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

8.当日の調停の流れは?


 

 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①内縁夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機

        ↓

②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室

        ↓ 

③内縁夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)

        ↓

④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑧内縁夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。

 

 なお、上記の③と⑧については、調停委員によっては内縁夫婦別々で確認を行うということもあります。

 

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 

 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。

 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。

 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

10.調停が開催される頻度は


 

 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

11.そもそも相手は調停に来るか?


 

 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。

そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 

 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。

 ただ、これは調停の内容次第です。

 

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な内縁関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、内縁関係円満調整調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、内縁の夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 ただ、このように約束すれば、相手もなかなかその内容を反故にすることは難しいと思います。

 

 

13.まとめ


・内縁関係円満調整調停は、内縁夫婦の関係が円満な形を取り戻すことを目指す手続である。

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。

・内縁関係円満調整調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。

・調停は平日の午前または日中に行われる。

・1回の調停は合計2時間程度で終わる。

・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。

・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)

・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。

・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。

・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2019.01.21更新

 

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1.そもそも内縁(事実婚)って何だ?


 

 内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 

2.それは「同居義務」違反では?



 それでは、このような内縁関係(事実婚)にあるときに、内縁の夫が突如音信不通になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。まず、具体的な対処法について検討する前に、これが同居義務違反にならないか解説していきます。

 民法752条には、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と規定されておりまして、夫婦の同居義務を定めています。そして、内縁が成立している場合には、結婚に準じて保護されますので、内縁夫婦にも民法752条が準用されるものとされています。

 唐突に内縁の夫が家を出る行為は、この同居義務に違反するようにも見えます。

 

 ただ、同居拒否に正当な理由がある場合には、同居義務違反の責任は発生しないものとされていますし、そもそも、裁判所の命令をもってしても、同居義務を強制することはできないと解釈されています。現在の民法のスタンスは、法律は内縁夫婦や家庭の問題に極力立ち入るべきではない、つまり、家庭の問題は当人同士の話し合い等に委ねるべきであって、強制に馴染まないというスタンスを取っているため、このような解釈が導かれてしまうのです。

 

 そのため、内縁の夫を強制的に同居させると言うことは非常に難しいのが現状と言えます。

 

3.そもそも内縁の夫の居場所が分からない場合どのように所在を確認するのか?


 

そもそも、内縁の夫と連絡が取れなくなったと言うだけではなく、どこに行ってしまったのか分からない場合、どのようにして居場所を突き止めればよいのでしょうか。

 

(1)本人で調べる方法

ご本人で内縁の夫の所在を確認する方法としては、住民票を入手するとか、警察署に捜索願を出すという方法も考えられます。しかし、通常内縁の夫は住民票を移動していないでしょうし、事件性がない場合には警察署は捜索願を受理しないケースの方が多いように思われます。仮に捜索願が受理されても、内縁の夫側に事情があって、こちら側に居場所を教えたくないと強く申告してきた場合、仮に警察が内縁の夫の居場所を確認できたとしても、こちらにその情報を教えてくれませんので、いずれにせよ、限界があります。

 

 そこで、ご本人が調べる方法としては、内縁の夫のご実家に連絡を取るというのが現実的な手段になります。内縁の夫は別居に際してはご実家に事前に相談しているケースも多いため、ご実家が何らかの事情を知っていることも多いからです。

 内縁の夫に兄弟姉妹がいる場合には、兄弟姉妹のところに連絡を取るという方法も考えられます。

 

(2)弁護士を雇うと調べられるか?

たまに、弁護士には強い調査権限があって、相手の居場所も簡単に突き止めてしまうと誤解されている方もいらっしゃいますが、弁護士の調査権限には限界がありますので、残念ながら、あまり期待しない方が良いと言えます。

 

 

4.急に内縁の夫が音信不通になった場合どう対処すればよいか?



  以下では、内縁の夫の所在そのものは判明したと言うことを前庭に解説していきます。

(1)音信不通になる直前の相手の言動や行動等を良く思い出す

 相手が音信不通になった場合、通常はその様な行動を取る原因がありますが、その原因を探るのは、音信不通になる直前の相手の言動や行動を思い出してみると解明できる場合があります。

 音信不通になる前で最後に相手と会ったときの相手の行動や言動、または、最後に電話で話をした会話内容等で、こちらとして聞いていて、または見ていて引っかかるような言動や行動がなかったのかを良く思い出してみて下さい。

 

 また、音信不通になる直前ではなく、その一定期間前から相手の表情や言動等が冷めているように見えたという場合には、相手の態度が変わった原因を探っていくと、今回の音信不通の原因を見付けられる場合もあります。

 

(2)相手が音信不通になった原因がほぼ確定できた場合

 原因が分かっているのであれば、それに対する対処法を考えればよいと言うことになります。

 あなたが、相手を怒らせてしまうような言動や行動を取ってしまったという場合、真摯に謝罪すると言うことを考えても良いと思います。もしくは、些細なことで相手が感情的になっているという場合には、敢えて1,2週間こちらからも連絡を取らないという方法の方が良いと言うこともあるでしょう。

 いずれにせよ、原因が分かっているのですから、あなた自身で答えを出さずに、友人等とも相談して、しっかりと対策を練っていくのがよいと思います。

 

(3)音信不通の原因に全く心当たりがない場合

 このような場合には、あなたの言動や行動が原因ではないというケースもありますが、他方で、これまでのあなたの言動や行動等が積もり積もって相手が怒ってしまっているという場合もあり得ます。

 あなたとして全く心当たりがないという場合には、身内や友人等に詳しい経緯を相談するなどして、何か原因が考えられないか等を検討してみると良いと思います。

 

 なお、その際には、相手に積極的にコンタクトを取る方が良いか、逆に、一定期間連絡を取らない方が良いのかと言った点も友人等に相談してみるとよいでしょう。

 このような友人等へのご相談をオススメするのは、あなた自身では焦り等の気持ちで冷静に判断できていないと言うこともありますので、友人等から状況を客観的に見てもらうと、原因等も簡単に分かってしまうと言うケースもあるからです。

 

(4)相手がこちらとの話し合い等に全く応じない場合

 相手と連絡が取れなくなった原因が分かり、キチンと謝ったのに、全く関係が回復しない場合、または、結局原因が分からず相手にコンタクトを取っているのに、全く相手にしてもらえないという場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

 この場合には、あなたと直接話をすることを相手が嫌がっている場合もありますので、両親や友人等に間に入ってもらうという方法が考えられます。

 ただ、音信不通になってからそれほど期間が経たないうちに、このような第三者を間に入れる方法を取りますと、相手はより態度を頑なにしてしまう危険性がありますので、第三者を入れるタイミングは慎重に探った方が良いと思います。

 

(5)長期間相手の態度がはっきりしない場合

 せっかく内縁夫婦として共同生活を送ってきたのに、半年も連絡が取れないとか、相手の態度がはっきりとせずきちんとした話し合いもできないという場合の最終手段としては、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法も考えられます。

 ただ、このような手段は本当に最終手段として、極力、第三者を入れて話し合いをする程度にとどめておくのが望ましいと思います。

 

 そして、仮に調停を申し立てるにあたっても、調停申立前に相手に対して「最後通告」(「これ以上全くこちらからの連絡に応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます」といった内容のメール等を送ることになります)はしておいた方が良いと思います。

 相手も裁判所というとビックリするでしょうから、このような最後通告がなされると、話し合いに応じてくる可能性もあります。

 

(6)調停という場合、どんな調停を起こすの?

  あなたが相手と婚約している場合には「内縁関係円満調整の調停」という調停を申し立てることになります。

 あなたとしては、それなりの期間相手の態度がはっきりしない状態が続いているため、内縁関係を破棄したいと考えているかもしれませんが、こちらから内縁破棄を言い出しますと不利に扱われるリスクがありますので、「内縁解消の調停」を申し立てるのではなく「内縁関係円満調整の調停」を起こした方が良いと思います。

 

 もちろん、最初は「内縁関係円満調整の調停」を申し立てても、調停時の相手の態度等を見て内縁関係を解消したいと思えば、内縁関係解消の調停に衣替えするということもできますので、相手の態度等に応じてこちらも対応を考えればよいと思います。

 

 なお、たまに調停になると相手と直接顔を合わせると考えている人もいますが、基本的に調停は別々に部屋に入りながら進めていきますので、直接顔を合わせることは基本的にありません。そのため、家庭裁判所にて相手の顔を直接見ることはできませんので、その様な目的で調停を申し立てない方が良いと思います。

 また、調停というと、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、(最終手段としてですが)調停は活用して行ければと思います。

 

(7)慰謝料という話をして相手を驚かせる方法は?

 詳しくは別のブログで解説しますが、相手が正当な理由なく内縁関係を破棄した場合、こちらは相手に対して慰謝料を請求することができます。

 たまに「相手の態度が許せないので慰謝料の話をすれば、相手もビックリしてヨリを戻したいと言ってきませんかね?」という質問を受けることもあります。

 

 ただ、慰謝料の話をしますと、もちろん相手は驚くでしょうが、同時に、あなたのことを金銭欲が強い女性と考える可能性もありますので、慰謝料請求が内縁関係を順調にすることにはならないかもしれません。

 このようなリスクがありますので、弁護士としては、「相手との内縁関係解消を覚悟した上で慰謝料請求はした方が良い」という話をさせて頂くことが多いように思えます。

 

 

4.まとめ


・内縁の夫が突如自宅を出る行為は同居義務違反だが、同居を強制させることはできない。

・内縁の夫の所在確認は、夫側の実家や兄弟姉妹から情報を得るのが現実的である。

・内縁の夫が音信不通になってしまった場合、その直前の相手の言動や行動を良く思い出してみる必要がある。

・原因が究明できた場合、相手に積極的にコンタクトを取るのがよいか、それとも多少冷却期間を置くのがよいかを慎重に見極める必要がある。

・当人同士の話し合いが上手く行かない場合、身内や友人に間に入ってもらうことも考えて良い

・最終手段としては内縁関係円満調整調停を考えてみる。

・相手との内縁関係を順調にしたい場合、あまり慰謝料請求の話はしない方が良い。 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2019.01.14更新

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1.重婚的内縁とは?



  重婚的内縁とは、内縁夫婦の一方または双方に法律上の婚姻関係が存在する場合のことを言います。内縁の夫が既婚者のため、離婚してくれないと正式に入籍届を出せない状況といったケースなどが、これにあたります。

 

 まず、重婚的内縁も内縁の一種ですので、内縁の要件を満たす必要があります。

内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 ここまでが、通常の内縁の要件でして、重婚的内縁の場合には、これらに加えて、③法律上の婚姻関係が事実上離婚状態にあることが必要とされています。

 日本法が一夫一妻制度を採用しているため、法律上の婚姻関係と内縁関係両方を法律的に保護することはできませんので、重婚的内縁が保護されるためには、法律上の婚姻が実態を失っているところまで必要になるのです。 

 

 

2.要するに法律婚は事実上離婚状態にあればよい


 

 このように、重婚的内縁の妻の権利が認められるためには、法律婚が事実上離婚状態にあれば良く、正式に離婚届が受理されている必要はありません。

 ただ、法律家としましては、内縁の夫が法律上の婚姻を解消しておいてもらうことを強くオススメします。

 

 

3.法律婚を離婚させておく方が良いという事情(1)


 

 前述のように、法律婚がしっかりと離婚によって解消されていた方が望ましいと言えますが、その理由の一つが「事実上の離婚」のハードルがかなり高いからです。

 重婚的内縁と認められるためには、法律婚が事実上の離婚状態にある必要がありますが、「事実上の離婚状態」といっても今一分かりにくいと思います。

 

 この点は、判例の姿勢がほぼ決まっておりまして、①別居の経緯、②別居の期間、③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無、④別居後における経済的依存の状態、⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態、⑥重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮して判断しています。

 そして、例えば②の別居期間は10年以上が一つの目安とされ、④や⑤についても、法律婚夫婦の経済的依存や音信がほとんど存在しない状況でなければならないとされています。

 

 このように重婚的内縁の要件は、一般の内縁の要件よりも格段に厳しいのです。

 ただ、このように重婚的内縁の要件が加重されているのは、法律上の婚姻関係が残っていることに起因しますので、法律上の婚姻が離婚で解消されていれば、この要件の問題を議論する必要が一切なくなります。

 

 

4.法律婚を離婚させ特法が良いという事情(2)


 

前述のように、法律婚がしっかりと離婚によって解消されていた方が望ましいと言えますが、その理由の二つめは、「事実上の離婚」の立証が難しいことにあります。

 前述のように事実上の離婚状態かどうかについては、①別居の経緯、②別居の期間、③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無、④別居後における経済的依存の状態、⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態、⑥重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮して判断されています。

 

 そして、事実上の離婚状態かどうかは、内縁の妻であるあなたの方が証明しなければなりません。

 上記のような事情は内縁の夫と正式な配偶者とのやり取りに関わる部分になりますので、あなたの方では詳しい事情が分からないということも多いと思います。

 このように詳しい事情が分からない中で、その裏付けを探していかなければなりませんので、その立証が困難を極めるということも多いのが実情です。

 

 

5.法律婚の離婚は一つのけじめと考えた方が良い。


 

 あなたの内縁生活が長期間に及ぶ場合、内縁の夫に法律婚の離婚を強く求めづらいということもあるかもしれません。

 しかし、重婚的内縁の要件は、重く、その立証も簡単ではないことが多いです。

 

 そして、重婚的内縁の要件を満たさない場合、内縁の夫が急に内縁を解消したいと言い始めてしまった場合、あなたの権利は非常に限定されることになってしまいます(婚約破棄と法律構成して慰謝料等を請求するといったことぐらいしかできません)。

 内縁の夫が法律婚を解消することは、あなたとの生活をしっかりと営んでいくにあたっての前提になる話ですので、きちんとけじめを付けてもらった方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・法律婚は正式に離婚していなくとも、事実上離婚状態であれば、内縁の妻は保護される。

・しかし、法律家としては、法律婚がしっかりと離婚されていた方が良いと言わざるを得ない。その主な理由は以下の通り。

 ①事実上離婚状態という要件は重たい要件である。

 ②事実上離婚状態の証明は簡単ではない。

・法律婚の離婚は一つのけじめであると、内縁の夫に伝えた方が良い。

 

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