2018.07.12更新

 

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

1.そもそも乳児との面会交流に応じるべきか


 

(1)断固拒否すべき場合は断固拒否する

 夫の側が強く面会交流を求めてきても、あなたとしては、不安を抱えながら乳児を連れて面会交流場所に行き、その様子を見守るという作業そのものが、苦痛であったり、負担であると思います。

 夫があなたやお子様に対しても暴力をふるってきたといった事情がある場合には、面会交流そのものがお子様の福祉に反することになりますから、断固面会交流は拒否すべきかと思います。

 他方、面会交流そのものがお子様の福祉に直接反するとまでは言えないような場合、夫の態度を軟化させるための作戦として、敢えて面会交流を認めるという進め方をするケースもあります。

 

(2)面会交流させる場合でも、弁護士としては調停段階での面会交流がオススメ

 仮に、あなたが弁護士を立てたとしても、夫の側が面会交流の約束を反故にするというケースは少なからずあります。

 そのため、仮に、あなたが面会交流そのものを全面拒否するつもりではなく、しっかりとしたルールの下であれば応じて良いというお考えの場合、面会交流調停または離婚調停の手続の中で面会交流を進めていくことをオススメします。

 

 もちろん調停の手続の中での面会交流というのは、調停室でお子様を会わせるという意味ではなく、随時調停委員とも相談しながら面会交流の条件を決めて毎回の面会交流を実施すると言うことです。

 通常調停中に面会交流を行う場合には、次回調停までに1回面会交流させるという頻度のことが多いので、1回1回の面会交流の様子を見ながら、面会交流を進めていけますし、調停中に相手がルール違反をした場合、裁判所から見た相手の印象は非常に悪くなりますので、相手がルール違反をしにくいというメリットもあります。

 

 以下では、あなた自身が乳児であるお子様との面会交流を決意した場合に、どのような方法、進め方で面会交流を行うのがよいのか注意点等を解説していきます。

 

 

2.面会交流頻度


 

(1)一般的なケースでの頻度は?

 当然夫の側は頻繁にお子様に会いたいと主張してくるでしょうが、こちらとしては、あまり頻繁に会わせるというのは負担が増すことになりますから避けたいところです。

 面会交流の実務としては、月1回程度が一つの目安と言われることが多いのですが、乳児の場合には、一度体調を崩すと回復が遅れがちであるといった事情もありますので、このようなことも考慮して2か月に1回程度といった頻度で相手と交渉するケースもあります。

 

(2)敢えて最初は頻度を決めずに面会交流させることは?

 また、あまり最初から面会交流の頻度を決めずに、まずは、相手との面会交流を進めていく中で、問題点を整理していく形にし、最初から頻度を決めてしまわないというやり方をすることもあります。

 ただ、最初に頻度を決めずに面会交流を実施し始めてしまいますと、相手からすると、支障なく面会交流を実施したという実績を作っていくことにもなってしまい、今後面会交流の調停や審判を予定している場合、こちらに不利になる可能性があります。そのため、上記のような試験的な面会交流は、面会交流調停が開始した後にスタートさせるなどタイミングも考慮して進めていくのが望ましいと思います。

 

(3)監護権者指定仮処分や審判係属中の場合は? 

 監護権者指定仮処分や審判の手続が進んでいる場合、そちらの審理の様子も考慮する必要があります。

 これらの手続が進んでいるケースですと、面会交流を拒否する姿勢を取ることは、こちらにとって不利に扱われる可能性が非常に高まりますので、特別な事情がない限り面会交流を拒否することは望ましくないケースが多いです。

 そして、特別支障がなければ、月1回程度よりも頻度を多く面会交流させた方が、こちらにとっても有利だといわれることが多いです。

 監護権者指定の手続が開始される経緯等を詳しく検討しなければなりませんので、ケースバイケースにはなるのですが、状況に応じて面会交流の頻度は慎重に検討すべき場合が多くなります。

 

 

3.面会交流日時


 

(1)基本的にこちらの休日を優先させる

 たまに、夫が土日出勤日で平日休みという場合があります。その場合、こちらの休日の曜日と夫の休日の曜日が合わないと言うことになりますが、その様な場合には、基本的にこちらの休日を優先させるという姿勢でよいと思います。

 

(2)時間帯は?

 面会交流の時間帯は、乳児の生活スタイルを考慮する必要があります。私が担当したケースでは、お子様が午前中はぼんやり過ごしていることが多く午後イチの方が活発になると言う方のケースでは、午後1時から午後3時と指定したことがあります。他方、午後イチは昼寝をしてしまうというお子様の場合には、むしろ午前10時から12時までとしたケースもあります。

 一般的に乳児の負担も考慮して面会交流時間は2時間程度にすることが多いように思われます。

 

 

4.面会交流場所


 

 乳児との面会交流で最も悩ましい事情の一つが面会交流場所ではないかと思います。

(1)自宅や実家は極力避けた方が良い

 まず、相手の自宅や実家については、そのままお子様を戻してもらえないとか、面会交流時間が緩慢になりやすいというデメリットが大きいため、オススメできません。

 他方、あなたの自宅や実家についても、通常は離婚条件等で対立が大きくなっているため、感情的にあなたの自宅や実家に入れることはよろしくないことが多いと思いますし、こちらの暮らし向きが分かると、相手は揚げ足を取ってくる可能性もあります(例えば、相手が「この前の面会交流で家内の自宅に上がったのだが掃除が全く行き届いていなかった」といったことを言い始める人もいます)ので、避けた方が良いことが多いと思います。

 

(2)ショッピングモールのキッズスペース等

 お子様がその様なスペースで特に飽きないということでしたら、キッズスペースにて面会交流を実施するというケースもあります。最近は乳児も入室できるキッズスペースも増えていますので、あなたのお近くにその様な施設があれば、利用を考えてみて下さい。

 なお、乳児も利用できるミュージアム等にするケースもありますが、あまり混雑する施設ですと、お子様が披露してしまうこともありますので、混雑状況等を考慮する必要があろうかと思います。

 

(3)自治体が運営する施設等

 例えば児童館等が代表的ですが、場所によっては児童館は幼児以上のお子様が数多く利用していて乳児の利用には適さないという場合もあります。

 自治体によっては、面会交流に熱心に取り組んでいる自治体もありまして、区役所に面会交流できるスペースを確保していることもありますので、お近くの区役所や市役所等に問い合わせてみると情報を得られることがあります。

 

(4)第三者機関の利用

 あなたの住まいのお近くに面会交流をサポートする第三者機関がある場合には、その施設を利用してみるという方法もあります。

 第三者機関を利用する場合、面会交流に当たっての連絡もその第三者機関が行ってくれるケースが多く、夫と直接連絡をする心理的負担が軽減されるメリットがあります。

 

 ただ、第三者機関の場合、面会交流実施の前に親子面接等の手順が必要なことが多く、実際の実施までに2か月程度を要すると言うこともあります。そのため、柔軟に利用しにくいという面がある施設も多いので、注意が必要です。

 また、第三者機関を利用する場合、第三者機関に利用料を支払わなければならず、利用料をあなたと夫のどちらが負担するのかで争いになるケースもあります(利用料を折半するというケースも多いのが実情です)。

 

 

5.あなたの立会い


 

 特に乳児の場合、急に泣き出してしまって、あなたがあやさないと安定しないと言うことも多いですし、こんな小さなお子様を無防備に夫に預けることには抵抗が強いと思います。そのため、面会交流時に、あなたが立ち会うというケースもあります。

 ただ、お子様が直接見える形であなたが立ち会うことには反対の姿勢の家庭裁判所調査官も多くいます。あなたが、お子様が見えるところにいると、お子様があなたの方にばかり来てしまい父子の面会交流が円滑に進められないというのが調査官の言い分になります。

 

 そのため、こちらも折り合える条件として、お子様に分からない形でこちらも立ち会うという方法を取ることもあります。

 あなたとすれば、乳児のお子様を無防備に夫に預けることには強い抵抗感があることも多いと思いますので、その様な場合には、断固立会を要求するという姿勢で交渉に臨むケースもあります。

 

 

6.夫の親族の立会い


 

 特に、夫の側から、夫の両親等も孫の顔を見たいと言っているという形で問題になることが多いです。

 面会交流は子どもが父親と接する機会を保障するものなので、親族の立会まで認める必要はないのですが、これを認めることで、相手の態度が軟化するというケースもありますので、戦略的に面会交流を認めるというケースはあります。

 ただ、乳児の場合、まだ小さいので、大人が何人もゾロゾロと居ると恐がってしまうというケースもありますので、この点には配慮する必要があります。

 

 

7.その他


 

 上記のような面会交流条件が決定すれば、以下の事項はあまり大きな問題にはならないことが多いのですが、面会交流実施に当たっては以下のような事項も通常は定めます。

 

(1)受け渡し場所

 面会交流場所等が決まれば、面会交流場所の入り口付近だとか、あなたの最寄り駅の駅改札前といった形にすることが多いと思います。

 

(2)受け渡し方法

 お子様が乳児と言うことでしたら、あなたが直接夫に受け渡しをすることが多いと思います。お子様が大きくなってきた場合で、あなたが直接夫と顔を合わせたくないという場合には、あなたの親族等に受け渡しをお願いするというケースもあります。

 

(3)連絡方法

 予め面会交流のやり取りはメールやLINEに限定するという場合もあります。特に夫側が約束をすぐ破るとか、約束したことを後から「聞いていない」などと言ってくる可能性がある場合には、口頭だと行き違いの元ですから、メールやLINEに限定するという場合もあります。

 

(4)昼食の要否等

 面会交流時間帯が昼食時間帯をまたぐ場合には、面会交流中に食事を摂ってもらうのか、こちらで摂らせるのかは予め決めておかないとトラブルの元になります。

 

(5)プレゼント

 夫によっては、面会交流の都度おみやげを持たせるというケースもありますが、こちらとしては嵩張るだけというケースもあります。相手から子どもへのプレゼントは誕生日やクリスマスだけにして欲しいと予め断っておくべきケースもあります。

 

 

8.まとめ


・乳児との面会交流については、そもそも断固拒否すべき場合もある。

・連れ去りの危険性等がある場合には、調停手続中の面会交流とした方が安心である。

・面会交流に当たっては以下のようなことを検討する必要がある。

 ①面会交流頻度

 ②面会交流日時

 ③面会交流場所

 ④あなたの立会要否

 ⑤夫の親族の立会要否

 ⑥受け渡し方法

 ⑦受け渡し場所

 ⑧連絡方法

・各検討項目について、乳児特有の注意点もあるので、注意しながら決定する必要がある。

 

 

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>【弁護士秦の紛争解決事例4】面会交流の行事参加について明記したケース

>面会交流を一切拒否することは親権獲得にどの程度不利になるの?

 

 

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雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2018.07.10更新

 

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

1.婚約履行請求調停って何だ?


 

 婚約履行請求調停とは、一般的には、婚約者が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行いお互いの合意を目指す手続などと言われたりします。

 しかし、この説明だけでは漠然としていて婚約履行請求調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に婚約履行請求調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 

 通常この調停を起こす場合、婚約は成立しているけれども、相手が急に態度を豹変させたとか、連絡が取れなくなってしまったという場合に、相手の真意を確認したり、婚約者間のとげを取り除いてやり直すために行われる手続になります。

 調停の席での話し合いが順調に進めば、挙式の日取りや婚姻届の提出日等についても合意できる可能性があり、最終的にはその様な婚姻届の提出までを目標にした手続にはなります。

 ただ、相手が頑なに婚約関係の継続を拒否する姿勢の場合、婚約解消に向かって話が進んでしまうリスクはあります。

 

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


 

(1)相手に最後通告を送る

 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は婚約履行請求調停を起こす旨の最後通告はしておいた方が良いと思います。

 このような最後通告を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に通告をしておいて下さい。

 

(2)相手が婚約を否定してきた場合に備えて証拠の準備

 相手が調停の場で、婚約の存在そのものを否定してくる可能性もあります。そのため、婚約を証明できる証拠があれば、事前に証拠集めをして、調停の場でも調停委員に見せられるように準備しておいた方が良いと思います。

 

 

4.調停委員ってどんな人?


 

 婚約履行請求調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

 

 では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

5.婚約履行請求調停ってどこで行うの?


 

 婚約履行請求調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。

 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

6.婚約履行請求調停って何時行うの?


 

 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。

 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 

 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

8.当日の調停の流れは?


 

 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①婚約者はそれぞれ別々の待合室で待機

        ↓

②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室

        ↓ 

③婚約者双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)

        ↓

④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑧婚約者双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。

 

 なお、上記の③と⑧については、調停委員によっては婚約者別々で確認を行うということもあります。

 

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 

 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。

 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。

 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

10.調停が開催される頻度は


 

 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

11.そもそも相手は調停に来るか?


 

 調停把握まで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。

そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 

 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。

 ただ、これは調停の内容次第です。

 

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。

 婚約履行請求調停にてお互いの話がまとまった場合「当事者双方は、平成○年○月までに結婚式を挙行し、平成○年○月○日に婚姻届を提出することを合意する」と言った合意をしますが、この合意には残念ながら強制力はありません。

 

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理区役所の戸籍課まで連れて行って、婚姻届にサインさせると言うことは人権上問題になりますので、認められないのです。

 ただ、このように約束すれば、相手もなかなかその内容を反故にすることは難しいと思います。

 また、あまり期間が空いてしまうと相手が婚姻届の提出を渋る可能性があるという場合には、上記のような調停成立の日に、その足で区役所まで行って婚姻届を提出してしまうと安心です。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2018.07.03更新

 

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。

 

婚約者が突然音信不通になり、数週間、1か月も連絡が取れないという場合、心配だと思います。今回は、その様な場合に、どのような対応が考えられるのか、最終的には「最後の手段」としての婚約履行請求調停についても解説していきます。

 

1.そもそも婚約って?


 

 婚約とは男女間で将来婚姻することを約束することを言います。

 法律上正式に夫婦になる際には当然婚姻届を提出する必要がありますが、婚約そのものには何かの書面や手続は要求されません。

 

 婚約が成立しているためには、婚約指輪を購入しておく必要があるとか結納のやり取りが必要と誤解している人もいますが、その様な方式は要求されません。

 ただ、相手が婚約の存在を否定する可能性がある場合には、こちらの方から婚約の存在を証明していく必要があります。

 

 

2.急に相手が音信不通になった場合どう対処すればよいか?


 

(1)音信不通になる直前の相手の言動や行動等を良く思い出す

 相手が音信不通になった場合、通常はその様な行動を取る原因がありますが、その原因を探るのは、音信不通になる直前の相手の言動や行動を思い出してみると解明できる場合があります。

 音信不通になる前で最後に相手と会ったときの相手の行動や言動、または、最後に電話で話をした会話内容等で、こちらとして聞いていて、または見ていて引っかかるような言動や行動がなかったのかを良く思い出してみて下さい。

 

 また、音信不通になる直前ではなく、その一定期間前から相手の表情や言動等が冷めているように見えたという場合には、相手の態度が変わった原因を探っていくと、今回の音信不通の原因を見付けられる場合もあります。

 

(2)相手が音信不通になった原因がほぼ確定できた場合

 原因が分かっているのであれば、それに対する対処法を考えればよいと言うことになります。

 あなたが、相手を怒らせてしまうような言動や行動を取ってしまったという場合、真摯に謝罪すると言うことを考えても良いと思います。もしくは、些細なことで相手が感情的になっているという場合には、敢えて1,2週間こちらからも連絡を取らないという方法の方が良いと言うこともあるでしょう。

 いずれにせよ、原因が分かっているのですから、あなた自身で答えを出さずに、友人等とも相談して、対応を考えていけばよいと思います。

 

(3)音信不通の原因に全く心当たりがない場合

 このような場合には、あなたの言動や行動が原因ではないというケースもありますが、他方で、これまでのあなたの言動や行動等が積もり積もって相手が怒ってしまっているという場合もあり得ます。

 あなたとして全く心当たりがないという場合には、身内や友人等に詳しい経緯を相談するなどして、何か原因が考えられないか等を検討してみると良いと思います。

 

 なお、その際には、相手に積極的にコンタクトを取る方が良いか、逆に、一定期間連絡を取らない方が良いのかと言った点も友人等に相談してみるとよいでしょう。

 このような友人等へのご相談をオススメするのは、あなた自身では焦り等の気持ちで冷静に判断できていないと言うこともありますので、友人等から状況を客観的に見てもらうと、原因等も簡単に分かってしまうと言うケースもあるからです。

 

(4)相手がこちらとの話し合い等に全く応じない場合

 相手と連絡が取れなくなった原因が分かり、キチンと謝ったのに、全く関係が回復しない場合、または、結局原因が分からず相手にコンタクトを取っているのに、全く相手にしてもらえないという場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

 この場合には、あなたと直接話をすることを相手が嫌がっている場合もありますので、両親や友人等に間に入ってもらうという方法が考えられます。

 ただ、音信不通になってからそれほど期間が経たないうちに、このような第三者を間に入れる方法を取りますと、相手はより態度を頑なにしてしまう危険性がありますので、第三者を入れるタイミングは慎重に探った方が良いと思います。

 

(5)長期間相手の態度がはっきりしない場合

 せっかく正式に婚約したのに、半年も連絡が取れないとか、相手の態度がはっきりとせずきちんとした話し合いもできないという場合の最終手段としては、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法も考えられます。

 ただ、このような手段は本当に最終手段として、極力、第三者を入れて話し合いをする程度にとどめておくのが望ましいと思います。

 

 そして、仮に調停を申し立てるにあたっても、調停申立前に相手に対して「最後通告」(「これ以上全くこちらからの連絡に応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます」といった内容のメール等を送ることになります)はしておいた方が良いと思います。

 相手も裁判所というとビックリするでしょうから、このような最後通告がなされると、話し合いに応じてくる可能性もあります。

 

(6)調停という場合、どんな調停を起こすの?

  あなたが相手と婚約している場合には「婚約履行請求の調停」という調停を申し立てることになります。

 あなたとしては、それなりの期間相手の態度がはっきりしない状態が続いているため、婚約を破棄したいと考えているかもしれませんが、こちらから婚約破棄を言い出しますと不利に扱われるリスクがありますので、「婚約解消の調停」を申し立てるのではなく「婚約履行請求の調停」を起こした方が良いと思います。

 

 もちろん、最初は「婚約履行請求の調停」を申し立てても、調停時の相手の態度等を見て婚約を解消したいと思えば、婚約解消の調停に衣替えするということもできますので、相手の態度等に応じてこちらも対応を考えればよいと思います。

 

 なお、たまに調停になると相手と直接顔を合わせると考えている人もいますが、基本的に調停は別々に部屋に入りながら進めていきますので、直接顔を合わせることは基本的にありません。そのため、家庭裁判所にて相手の顔を直接見ることはできませんので、その様な目的で調停を申し立てない方が良いと思います。

 また、調停というと、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、(最終手段としてですが)調停は活用して行ければと思います。

 

(7)慰謝料という話をして相手を驚かせる方法は?

 詳しくは別のブログで解説しますが、相手が正当な理由なく婚約を破棄した場合、こちらは相手に対して慰謝料を請求することができます。

 たまに「相手の態度が許せないので慰謝料の話をすれば、相手もビックリしてヨリを戻したいと言ってきませんかね?」という質問を受けることもあります。

 

 ただ、慰謝料の話をしますと、もちろん相手は驚くでしょうが、同時に、あなたのことを金銭欲が強い女性と考える可能性もありますので、慰謝料請求が婚約を上手く成就させることにはならないかもしれません。

 このようなリスクがありますので、弁護士としては、「相手との婚約を諦めた上で慰謝料請求はした方が良い」という話をさせて頂くことが多いように思えます。

 

 

4.まとめ


・婚約相手が音信不通になってしまった場合、その直前の相手の言動や行動を良く思い出してみる必要がある。

・原因が究明できた場合、相手に積極的にコンタクトを取るのがよいか、それとも多少冷却期間を置くのがよいかを慎重に見極める必要がある。

・当人同士の話し合いが上手く行かない場合、身内や友人に間に入ってもらうことも考えて良い

・最終手段としては婚約履行請求調停を考えてみる。

・相手との婚約を維持したい場合、あまり慰謝料請求の話はしない方が良い。 

 

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