2021.01.25更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.心情的に夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したいという方は多い


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
 特に、「夫は子にほとんど関心を持っていなかったので、今更会いたいという理由が分からない、嫌がらせとしか考えられない」とか「こちらの生活リズムが崩れるので、会わせたくない」といった話はよく伺います。

 

 では、このような心情的な理由だけで面会交流を拒否できるかというと、説得力を持たせることは難しいことが多いです。
そのため、面会交流を拒否するという場合、より具体的な不安をもって拒否したいという必要がありますし、どうしてそのような不安を持つのかについての説得力のある説明があった方が良いです。


 そこで、今回は、どのような不安を持たれるのかといったことについて解説していきます。
 以下では、奥様が抱かれる不安に対して、面会交流の方法を工夫することによって解決する方法をご紹介していますが、極力面会交流させたくないと強く希望するのであれば、できる限り拒否を継続するという対応を取ることもあります。以下の解決方法は解決方法の一例と考えてご覧ください。

 

 

2.【面会させることの不安1】連れ去りの危険性


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合や、お子様を溺愛しており、何をするか分からないといった場合、まず真っ先に不安に感じるのは連れ去りの危険性ではないかと思います。
 夫側がお子様を連れ去る具体的な危険性があるような場合には、面会交流拒否事由に該当し得ます。例えば、別居後何度かお子様を連れ去られそうになったことがある場合には、面会交流を拒否できるケースが多いかと思います。


 なお、旦那側の連れ去りについては、誘拐罪など刑事処罰できないかと質問されることも多いのですが、既に離婚が成立してあなたが親権者になっている場合は別として、離婚が成立していないケースですと、誘拐罪にすることは難しいです。なぜなら、離婚前ですと夫婦お互いに親権が認められるため、連れ去りを刑法で処罰することは難しいのです。

 

 

3.【面会させることの不安2】お子様への暴力や暴言


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合、面会交流中に同様の行為が繰り返されるのではないかと不安に感じることは当然のことかと思います。
 なお、夫側が面会交流の際に実際にお子様に手を挙げた場合、暴行罪や傷害罪として処罰することは可能です。ただ、暴行や傷害の場合、現行犯として捜査に着手してもらうことが重要になりますし、また、被害者であるお子さまがきちんと警察官等の前で被害の内容を話すことが出来るかという点も重要になります。


 そのため、実際の処罰に当たってはハードルが高いのですが、このようなことがあった場合には、即警察に通報又は相談し、このような事実があったことを警察の記録としても残しておくことが非常に重要になります。合わせてお子様がお怪我をされた場合には、病院に行き怪我の内容をしっかりと診断してもらうことも重要です。


 そもそも、お子様が怪我をするという事態は絶対に避けなければなりませんので、暴力被害の具体的危険性があるという場合には、面会交流そのものを断固拒否すべきケースが多いと思います。
 このようにして面会交流を拒否するためには、同居中に夫がお子様を怪我させたことがあるといった事情の有無・その証拠としてどの程度の証拠があるのかといった点は非常に重要になります。

 

 

4.【面会させることの不安3】こちらの生活が脅かされる不安


 特に、別居後こちらの住所を相手に教えていないような場合、面会交流をきっかけとしてこちらの居場所が発覚してしまうことには強い不安を持つことが多いかと思います。

 より具体的には以下のようなご不安を持たれることが多いので、それぞれ解説していきます。


(1)尾行の危険性
 前述のように別居後こちらの住所を夫側に伝えておらず、かつ、今後も隠しておきたいというような場合には、面会交流の後、夫側がこちらを尾行してくることは最大の不安事と言えます。
 もちろん、夫婦の間でも夫側がこちらに付きまとう場合には、ストーカー規制法で対処し得るのですが、こちらの住所を知られないに越したことはありません。


(2)夫がお子様に直接質問する危険性
 お子様が小学校に通うような年齢になっている場合、夫側との通常の会話が成り立つため、面会交流の際に、夫側が、こちらの生活場所や通う小学校のことなどについて質問してくる危険性があります。
 特に小学校名や学童名などについては、お子様がうっかり話してしまうリスクもありますので、このような夫との会話の中でのリスクは拭えません。


(3)面会交流を拒否し得るだけの理由となるかは、その危険性の程度次第
 実際にこちらの居場所を夫側が把握したとしても、こちらに押し掛けてくるリスクが非常に低いというような場合、そのことのみで面会交流を拒否することは難しいケースが多いかと思います。
 前述の暴力・暴言ではないですが、夫側が粗暴な性格で、こちらの自宅に押し掛けてくる危険性が高いといったケースでは、面会交流拒否事由に該当するケースもあります。

 

 

5.【面会させることの不安4】お子様が心理的に傷つくことへの不安


 前述のような暴力や暴言とまではいかなくとも、面会交流によってお子様が傷つく事態は避けなければなりません。


(1)不用意にお子様を傷つけるような発言をする危険性
 夫側の性格からして、お子様の心情への配慮が足りず、不用意にお子様を傷つけてしまうというケースはあります。


(2)あなたの悪口や非難を口にする危険性
 特に夫側が、こちらの別居を快く思っていないような場合には、面会交流の際に、お子様の前であなたへの悪口や非難の言葉を発するリスクがあります。


(3)これらの事情は、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、お子様を傷つけるような発言をしないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。
 もちろん、同居中の夫側の発言がもはや暴言というべきケースですと、それを理由に面会交流拒否を主張すべきケースもあろうかと思います。

 

 

6.【面会させることの不安5】今後の離婚や夫婦関係に関わる発言


 特に夫側が離婚に反対姿勢の場合、お子様を介して自分の気持ちを伝えようとして来たり、お子様を自分の味方につけようとしてくることもあります。
 そうでなくとも、自分の父親から「離婚のことについてどう思う?」とか「今お父さんとお母さんは離婚の裁判をしているところなんだ」といった発言があると、お子様は当惑してしまいます。
このような場合も、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、夫婦に関わる話題は面会交流の際に話さないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。

 

 

7.【面会させることの不安6】こちらの生活リズムが崩される不安


 特にお子様が乳児というような場合には、お昼寝の時間があるので、その時間を避けたいが、この時間帯を避けるために午前中の面会交流にすると、お子様の体調等によっては目覚めたばかりで機嫌が悪いといったように、タイミングを見計らうことが難しいというケースもあります。
 お子様が小さい年齢ではなくとも、1回の面会交流時間が長くなったり、夕方以降の時間帯になるような場合には翌日のお子さまの予定に影響が出る可能性もあります。


 こちらからすると、本来実施したくもない面会交流のために、お子様の生活スケジュールが崩されることは全く納得がいかないということだと思いますが、これらの事情だけで面会交流を一切拒否することは難しいことが多いです。
 そのため、これらの事情のみの場合には、面会交流時刻を工夫したり、面会交流時間が長くならないようにするといった配慮をすることで不安を解消するケースも多いです。

 

 

8.【面会させることの不安7】直接顔を合わせることの不安


 お子様が乳幼児というような場合には、面会交流のためにお子様の受け渡しをする際、あなた自身が受け渡しせざるを得ないとか、面会交流中の様子を確認したいということで面会交流に立ち会うといったケースも多くあります。
 こちらからしてみれば、夫とは即離婚したいくらいの気持ちなので、直接顔を合わせることの心理的負担は大きいことが多いです。
 このような場合には、あなた自身が立ち会うのではなく、あなたのご両親その他の親族が立ち会う形にするといった形で不安を解消するケースもあります。

 

 

9.【面会させることの不安8】夫の行きたい場所に振り回される危険性


 例えば、夫が子供と会いたいというよりも、夫の実家との関係で盆と正月は子供と一緒に実家に挨拶に行きたいとか、親族の集まりには子供を参加させたいといったように、子供の意思と関係なく、主に夫側の事情で振り回される危険性があるというケースもあります。
 また、何度か面会交流をしていくと、夫側がお子様に対して「次ここに一緒に来てくれたらあれを買ってあげよう」といったように何かで釣って、自分の行きたいところに連れていくケースなどもあります。
 このような場合には、予めお子さまの希望を聞き、その希望のところを面会交流場所にするといった形で面会交流を進めるケースが多いです。

 

 

10.まとめ


・連れ去りの具体的危険性がある場合には、面会交流は拒否したほうが良い
・お子様への暴力や暴言の具体的危険性がある場合にも、面会交流は拒否したほうが良いケースは多い。
・こちらの生活が脅かされる具体的危険性がある場合にも、面会交流を拒否したほうが良いケースは多い。
・お子様が心理的に傷つくことへの不安があるときには、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・今後の離婚や夫婦関係に関わる発言が出る不安があるときも、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・こちらの生活リズムが崩される不安があるときは、面会交流時間を工夫するなどして対応するケースが多い。
・受け渡し時に直接顔を合わせることの不安がある場合、他の親族に受け渡しをお願いするケースが多い。
・夫の行きたい場所に振り回される危険性がある場合、事前にあらかじめ面会交流場所をしっかり指定したうえで実施するケースが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.01.11更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。
 もちろん、後述の通り、児童虐待の場合等例外的なケースはあります。ただ、児童虐待等がない場合、裁判所側は面会交流に積極姿勢のことが多いです。
 そのため、裁判所側の積極姿勢を突き崩すだけの事情が必要になることが多いです。詳しくは後述します。

 

 

3.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。


(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。


 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親から言わされている様子があるという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

4.それでは児童虐待等でない場合、面会交流を認めなくてはいけないのか?


 

 面会交流を認めるかどうかは、実際にお子様の面倒を見ているあなた自身が決めることですので、誰かに面会を強制される話ではありません。
 ただ、上記のような理由のみで面会交流を拒否し続けられるかと言いますと、裁判所側は快く思わないのも事実です。


 そのため、実際の調停では、以下のような理由を根拠に面会交流拒否の姿勢を貫くことが多いです。

(1)お子さんの体調不安定等
 例えば、別居後に偶然お子さまが夫と遭遇したといったケースで、その翌日などに以下のような悪影響が出ることがあります。
①急に朝起きられなくなって登園を渋り始めた
②発熱したので病院に連れて行ったが明確な病名が分からなかった
③ふと涙を流して、どうしたのかと尋ねると、「ママと離れ離れになっちゃう」と子供が言った
④子が保育園で今までにないような暴力的な発言をしてしまった

 このような悪影響が短期間で済めばいいのですが、長期に及ぶケースもあります。

 悪影響の程度が大きかったり、長期に及ぶような場合には、そのような具体的な事情を説明して面会交流を拒否するというケースもあります。

 

(2)【お子様が乳幼児の場合】あなた自身の体調悪化等
 例えば、裁判所の勧めで致し方なく試験的に面会交流を実施したとします。お子様が乳幼児の場合、夫側にお子様を託すのは不安ですから、あなたが立ち会うというケースも多くあります。
 そのような場合に、あなた自身が体調を大きく崩したというようなケースですと、それを理由に面会交流を拒否するというケースもあります。

 特に、お子様が乳児で、あなたとの愛着が非常に強い場合には、あなたが離れた席での面会交流が困難ということになりますので、あなたの体調悪化も面会交流拒否の大きな理由になり得ます。

 ただ、抽象的に体調が悪化したというだけではなく、内科や心療内科を受診するなどして診断書が発行されていると、一層面会交流を拒否しやすくなります。

 ちなみに、診断書等を持って行き面会交流拒否姿勢を示したとしましても、裁判所によっては第三者機関を通じた面会交流を勧めてくることもありますので、そのような場合の対応について慎重に検討すべき場合もあります。

 以上のお話は、お子様が乳幼児の場合のケースでして、例えばお子さまが小学生以上の年齢になりますと、あなた自身の体調不良を理由に面会交流を拒否することは難しいです。

 

 

5.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

6.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・夫側と接触した後にお子様が体調を崩したとか、お子様が乳幼児のケースであなた自身が体調を崩してしまったというような場合には、面会交流を拒否できるケースもある。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

 

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弁護士 秦(はた) 真太郎
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東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.01.04更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。

 

 

3.うちの夫に限っては「当てはまらない」と証明できれば良いのか?


 

 このようなご説明をしますと、「うちの夫に限っては当てはまりません」との声が聞こえてきそうです。
 一面では正しいと思うのですが、そのような事実があるのでしたら、そのことをしっかりとこちらから証明する必要があります。
 ただ、うちの旦那に限っては、子と接することが子にとってプラスになりませんということをしっかりと証明することは難しいケースが多いと思います。

 

 

4.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。


(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。


 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親の意向を酌んでいる側面が強いという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

5.一度約束している場合は?


 

 既に離婚は成立していて、離婚協議書、離婚調停調書等の文書で、面会交流を行うことが明記されているような場合、その後よほど大きな変化等がない限り、面会交流を拒否することは一層難しくなるケースが多いです。
 逆に、口頭での約束にとどまるようなケースですと、状況等によっては面会交流を拒否できるようなケースもあります。

 

 

6.どこまで争うべきか


 

 面会交流の話し合いは、離婚の話をしているような場合には、離婚の話し合いとセットで協議することが多いです。逆に、既に離婚が成立しているような場合には、面会交流だけを議論することも多いです。


 当人同士の話し合い、弁護士が間に入っての話し合い等がうまくいかない場合には、通常調停手続きを踏むことが多く、調停でも折り合いがつかないような場合には審判に手続きは移行します。
 それでは、①話し合い→②調停→③審判という流れの中で、どこまで争うべきなのでしょうか。


 前述のように児童虐待等があって、面会交流がお子様の不利益だというケースの場合には、審判等までしっかりと争ったほうが良いと思います。
 また、児童虐待等とまでは言えなくとも、しっかりとした理由があって面会交流を拒否したいという場合には、安易に妥協しない方が良いと思います。


 ただ、お子様自身は父親に会いたがっているというような場合には、無理に面会を拒絶することはお子様にとっても良くないことかもしれません。


 そのため、まずは、お子様の意思をしっかりと確認する必要があります。
 もちろん、お子様がまだ自分で判断することが難しい年齢だとか、これまでの児童虐待のことをしっかりと記憶していないという場合には、お子様の意思に反してでも面会交流を拒否すべき場合はあります。ただ、お子様が面会交流について示した意思については、単純に「賛成」「反対」の結論だけではなく、どうしてそのように考えるのかについても掘り下げたうえで、どのように対応すべきか検討すべきことが多いです。


 前述の通り、児童虐待等があるケースですと、しっかりと審判まで争っていくべきケースの方が多いと思いますが、そうでない場合には、可能な限り調停で話をまとめてしまった方が良いケースの方が良いかと思います。調停で議論したほうが面会交流の条件等について審判よりも柔軟な解決が可能だからです。

 

 

7.裁判所が第三者機関を勧めてくるケースも多い


 こちらが面会交流を断固拒否していても、こちらの不安を払拭すべく、裁判所側から第三者機関の利用を勧めてくることも多いです。
 ただ、いざ第三者機関の利用を開始し、何回か利用したうえで問題がないと、ステップを踏んで直接交流させるという方向で議論が進むリスクも高いので、第三者機関の利用については慎重に検討したほうが良いです。

 

 

8.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

8.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・面会交流を争う場合には、極力調停で話をまとめてしまった方が良い。
・裁判所が第三者機関の利用を勧めてきた場合でも、慎重に検討したほうが良い。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

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