2020.04.15更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「本当に分かりやすい詳しいブログ解説」を目指して、解説していきます。


1.離婚することと親権者が決まれば、離婚届そのものは簡単



 夫婦の話し合いで離婚すること及び親権者をどちらにするかを決定することができれば、離婚届自体は完成させられます。
 しかし、離婚届にお子様の面会交流や養育費に関わる注意事項(具体的には離婚届の右側中央よりやや下の囲みにあるチェック欄がこれに該当します)が記載されているように、お金の問題などを何も決めずに離婚してしまいますと、後から後悔するというケースも多々あります。

 そこで、今回は、本人同士で離婚の話し合いをする場合、どのようなことを話し合わなければならないのかについて解説いたします。



2.離婚の際に話し合う必要がある事項とは?



 まず、全体像を把握するためにも、離婚の際に話し合う必要がある事項としては、どのような項目があるのかについて解説いたします。通常は以下の7項目について話し合う必要があります(お子様がいらっしゃらない場合には、(1)、(5)、(6)、(7)の4項目になります)。

(1)そもそも離婚すべきか離婚すべきではないか
(2)親権者を誰にするか
(3)養育費をどのようにするか。
(4)面会交流をどうするか。
(5)財産分与をどのようにするか
(6)慰謝料をどのようにするか
(7)年金分割をどのようにするか

3.離婚すべきか離婚すべきではないか



 離婚することが決まりませんと、離婚の条件の話に進みませんので、一番初めに決めなければならないのが、離婚すべきかどうかという点になります。
コロナウイルスの問題で夫婦関係が不和になったとしましても、そのことを前面に出して離婚を要求しても、旦那様側からは「一過性の問題に過ぎない」という反論を受ける可能性が高いので、コロナの問題が起きる前の状況等を理由に離婚を切り出した方が良いと思います。

 

4.親権者を誰にするか。



 より分かりやすく言いますと、ご夫婦のどちらがお子様を育てていくか、という問題です。諸外国では親権と監護権を分ける例などもありますが、日本では一般的ではありませんので、「実際に今後お子様を育てていくべき人」が親権者になる、というイメージで考えると分かりやすいと思います。
 ご夫婦で、今後旦那様と奥様どちらがお子様を育てていくべきか話し合うことになります。
 コロナ不和のケースですと、夫側の感染リスクへの意識の低さ等も親権判断の一つの要素として主張していくことになろうかと思います。

 

5.養育費をどのようにするか。



(1)まずは、養育費をいくらにするかを話し合う。
 親権者をご夫婦のどちらにするか決まった場合、離婚後のお子様の生活費等として養育費をいくら支払うかを決める必要があります。
 養育費を月々いくらにするのかについては、実務上「算定表」というものが活用されており、具体的な内容は、最高裁判所のホームページなどをご覧いただければ、詳しい内容は分かると思います。

 なお、「養育費」というと「毎月いくら支払わせるか」という点に目が行き、他にも決めるべき点について疎かになると言うこともありますので、以下の点にも十分注意して話し合って下さい。

(2)支払い終了時期を何時にするか。
 最もオーソドックスな内容としては、「お子様が満20歳に達するまで」となります。
 しかし、お子様が大学に進学することを予定している場合、大学卒業までは養育費を払ってもらいたいと考えるのが通常でしょう。特にお子様がまだ幼児であったり小学生の場合には、「大学入学はまだまだ先のこと」というイメージをお持ちかもしれませんが、今決めておかなければ、将来相手が養育費を出し渋る可能性もありますので、「いつまで養育費を払ってもらうのか」について、きちんと取り決めておく必要があります。

(3)入学費用や進学費用等の取り決め
 今後のお子様に関する教育費として、私立高校への入学費用や進級時の学費、大学の入学費用や進級時の学費等は重要な問題になります。前述のようにお子様が小さい場合、まだイメージを持ちづらいかもしれませんが、入学費用等は高額なことが多く、月々の養育費では支払いきれないことが多いため、離婚時にきちんと話し合っておくべき項目になります。
 ただ、お子様がまだ小さい場合には、「入学や進学の費用の負担について今後きちんと話し合いの席を持つ」といった取り決め方もあり得るかと思います。

 他方、既にお子様が私立高校や大学に在学中という場合には、必要な学費の金額等も明らかになっているでしょうから、学費の半分を相手の負担とするといった具体的な数字を取り決めるべきことになります。


6.面会交流をどのようにするか



(1)まずは、面会交流の頻度を取り決める。
 あなたがお子様を育てていくと決めた場合、旦那様とお子様とは別々に生活していくと言うことになります。そうすると、旦那様としては、今後どのくらいの頻度でお子様に会うことができるのかについては重要なトピックになります。これが面会交流の問題です。
 まずは、面会交流の頻度について話し合う必要がありますが、一般的には1か月に1回か、2か月に1回程度とすることが多いように思われます。

 なお、安易に頻繁な面会交流を約束してしまいますと、生活環境の変化(例えば、あなたが遠方に引っ越すことになり、旦那さんの自宅との距離がかなり遠くなってしまった場合とか)等で頻繁な面会交流の実現が難しくなったときにトラブルのもとになりますので、どんなに多くとも、1か月に1回程度で十分だと思います。

 なお、令和2年4月現在の状況は、コロナウイルスの関係で緊急事態宣言が出ておりますので、少なくとも緊急事態宣言解除までは、面会交流は控えてもらうという形が一般的かと思います。

(2)それ以上に細かな内容を取り決めるべきかはケースバイケース
 面会交流については、相手がどこまでの要望を申し立ててくるかにもよりますが、あまり細々とした内容にしない方が良いケースが多いです。お子様の成長や環境に応じて離婚時とは状況が変化していく可能性も高く、そうすると、あまり画一的に取り決めておかない方が柔軟に対応できるからです。
 相手から要望が出されることが多い項目としては、①宿泊を伴う面会交流の要求、②旅行を伴う面会交流の要求、③学校行事や習い事の発表への参加の要求等があり得ます。


7.財産分与をどのようにするか。



(1)財産分与というのはそもそもどんな話なのか
 財産分与というのは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産をどのように分けるのかを取り決めると言うことです。
 婚姻生活中は、離婚することを見越して準備しているという夫婦はいないと思いますので、通常夫婦の財産は均等ではないことが多いと思います。例えば、奥様が専業主婦で、旦那様が仕事をしているという場合、旦那様名義の預金はそれなりの額貯まっているとしても、奥様の預金はそれほど貯まっていないというケースもあると思います。

 そんなときに、旦那様が「これは俺の名義の預金だから離婚の時には、びた一文お前には渡さない」としてしまいますと、内助の功があった奥様にとって酷な話になってしまいます。
 そこで、離婚の時には、夫婦どちらの名義になっているかを問わず、婚姻中に築いた財産は半分ずつに清算すべきだというのが財産分与の基本的な考え方になります。

(2)慰謝料とは別問題なのでご注意
離婚に伴うまとまったお金の問題と言うことで、慰謝料の問題と混同している方が多いのですが、財産分与と慰謝料は別の問題とお考え下さい。
即ち、慰謝料というのは、相手に浮気や暴力といった一方的有責性がある場合に、こちらが受けた精神的苦痛を慰謝させるものになるのに対して、財産分与は、このような有責性の問題を抜きにして、夫婦の財産を清算しようという話になりますので、別次元の話と言うことになるのです。
(一昔前には、「財産分与の慰謝料的要素として、慰謝料分も考慮する」といった議論をすることもありましたが、最近は、財産分与は財産分与、慰謝料は慰謝料として話し合うのがオーソドックスです)。

(3)実際問題どのような手順で話をすべきか
 厳密に財産分与の計算をする場合には、①対象財産の特定→②財産の評価→③総合計額の算出→④分与方法の検討という手順を踏むことになります。

 以下具体的に解説いたします。
①対象財産の特定
 財産分与は夫婦で築いた財産を分ける仕組みですので、夫婦で築いた財産以外の財産は対象外になります。
 例えば、独身時代に貯めていた預金や相続で取得した財産は対象外になります。
 対象財産として代表的なものは、婚姻中に購入したご自宅、自動車、預貯金、生命保険や学資保険、株式等になります。
 まずは、夫婦で築いた財産としてどのようなものがあるかを割り出して行く作業をすることになります。

②財産の評価
 預貯金などは金額が明らかなので問題は少ないのですが、例えば自宅などはいくらになるのかおおよその評価額を調べる必要があります(住宅ローンが残っている場合、通常はローン残高は差し引いて評価することが多いです)。
 他にも、生命保険等については今解約したらいくらになるのかを保険会社に問い合わせる必要があります(実際には解約しませんが、いくらの価値があるかを確認するために、保険会社に「今解約した場合いくらになるか教えて下さい」と電話するのです。

③総合計額の算出
 上記のように各財産の価値を算出することができた場合、それらの数字を全て足し算して総合計額を算出していくことになります。

 例えば、旦那さん名義の資産がご自宅(評価額3000万円、ローン残高2400万円)、学資保険(解約返戻金額200万円)、預金(3つの通帳の残高合計が300万円)で、奥さん名義の資産が預金のみ(2つの通帳の残高合計が100万円)というケースですと、総合計額は(3000万円-2400万円)+200万円+300万円+100万円で、総合計は1200万円になります。
 この総合計額を算出する際には、旦那さんの資産だけではなく、あなたの資産分も加算する必要がありますので、ご注意下さい。

④分与方法の検討
 前述の例ですと、総合計額が1200万円になりますので、あなたの取り分は半額の600万円になります。

 このような600万円の取り分で何を取得するか、あなたの希望を検討することになります。
 即ち、自宅の価値が600万円なので、自宅を取得し、同時に住宅ローンの名義もあなたに変更するという方法もあり得ますし、逆に、自宅は旦那さんに渡して、旦那さん名義の学資保険をこちらに名義変更し、旦那さんの預金額全額を取得するという方法もあります。
 要するに、取り分の範囲で何を要求していくのかという問題です。


8.慰謝料をどのようにするか



 前述しましたとおり、旦那さん側に離婚の大きな原因がある場合に、こちらが受けた精神的苦痛を慰謝するためいくらを要求するかの問題です。通常は旦那が暴力をふるってきたとか、浮気をしていたといったケースで問題になります。
 この問題は、相手が暴力や浮気を明確に否定する場合もありますので、早期離婚の観点から慰謝料を強く要求しないというケースもありますし、納得いかないので徹底的に慰謝料を強く要求していくというケースもあると思います。
 あなた自身のお気持ちに応じて、どこまで要求し、どの程度の金額を要求するか検討してみて下さい。


 なお、コロナ不和自体を理由にして慰謝料を請求していくことは一般的に難しいかと思います。

 


9.年金分割について



 旦那様が会社勤めをしており、奥様が専業主婦の場合、当然ご夫婦の年金積立額は大きく異なってきます(旦那様は給料天引きで相当額の厚生年金を支払っていることと思います)。年金分割とは、婚姻中の旦那様の厚生年金支払履歴の半分を奥様に移す制度になります(つまり、年金分割をしておくと、将来年金の支給を受ける年齢になったときに、もらえる年金が増えると言うことになります(旦那様側は逆に減ることになります))。
 年金分割の手続のためには、「年金分割のための情報通知書」を年金事務所にて入手する必要がありますので、事前に準備しておいて下さい。
 この年金分割については、夫婦で半分に分けるというのが一般的で、年金分割の合意ができあがったときには、年金事務所に書類を提出しなければいけません。



10.話し合いがまとまったときには必ず離婚協議書を作成する。



 前述のように、養育費など離婚後長期間にわたって約束された項目などもありますので、話し合いの内容は必ず離婚協議書という形で書面化して下さい。
 この離婚協議書では「当事者間では本離婚協議書に定める他何ら債権債務がないことを確認する。」という一文を入れておけば、後から話が蒸し返される危険性はほとんどなくなります。


11.まとめ


・離婚の際には、以下の事項を取り決める必要がある。
(1)そもそも離婚すべきか離婚すべきではないか
(2)親権者を誰にするか
(3)養育費をどのようにするか。
(4)面会交流をどうするか。
(5)財産分与をどのようにするか
(6)慰謝料をどのようにするか
(7)年金分割をどのようにするか
・項目ごとに注意事項があるので、注意事項に留意しながら取り決める必要がある。
・話し合いがまとまった段階で、離婚協議書を作成した方が良い。


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投稿者: 弁護士秦真太郎

2020.04.15更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

1.事前に夫に相談した方が良いか?



 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような仕打ちを受けるか分からないと言うことで、悩まれている方も多くいます。

 基本的に、これまでにもあなたへの誹謗中傷等がひどく、別居を相談すると、さらにどんな誹謗中傷を受けるか分からないといった場合には、事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしない方が良いと思います。また、夫からの度重なる暴言であなたが精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。

 他方で、そこまで極端な被害はないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、きちんとした離婚の理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。



2.絶対にこちらの動きを察知されないこと



 事前に夫側に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることが非常に重要になります。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。
 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。


3.親族・友人等の支援体制を整えること



 特に夫側に事前に告げずに別居を開始した場合、夫があなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。
 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。


4.置き手紙の活用



 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。



5.捜索拒否願の提出・警察への事前相談



 これはケースにもよると思いますが、突如別居を開始すると、夫側が大騒ぎをしかねないという場合には、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出することも検討して下さい。
 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、夫側が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。

 なお、警察署によっては、捜索願が出る前の捜索拒否願の受付はしていない、とか、捜索願が出ても旦那さん側にあなたの住所は教えないから、拒否願は出さないで大丈夫だと指導を受けることもあります。そのような場合には警察の指導に従う形で結構かと思います。
 また、夫側があなたの職場を知っていて付きまとい行為をする可能性があるとか、子供の学校を知っていて子供を尾行してきそうだといったケースの場合には、捜索拒否願ではなく、警察署の生活安全課に事前に相談をし、別居時に警察から夫側に電話連絡をしてもらうよう依頼するとか、実際に付きまとい行為が始まった場合には注意・警告をしてもらうということもあります(なお、別居時の電話連絡は、応じてくれる警察署と応じてくれない警察署があります)。

 

6.別居のタイミングの見極め


 実は、コロナウイルスの影響で、別居のタイミングの見極めが、一番大きな問題になっているという方も多いのではないかと思います。
 私の印象としましては、例年は、3月から4月にかけて別居を開始なさる方がかなり多かったのですが、令和2年4月15日現在の状況を見ますと、今年はほとんどこの時期に別居を開始なさる方がいないというのが実感です。夫側が在宅勤務で自宅にいるので別居が難しくなってしまったという方もいるとは思いますが、実際のところは、外出自粛要請が出ている中で、別居に踏み切れないという方が多いのではないかと思います。

 私が令和2年2月にご相談をお受けしていた方々の印象としましては、その時点では3月の別居を目指していた方もお子様の夏休みの時期にずらすという方が非常に多いです。
 ただ、今年のお子さまの夏休みが長期休暇になるかと言いますと、緊急事態宣言3月、4月の学習に遅れが出ていることの穴埋めとして学校授業が入るのではないかという噂も流れており(これはあくまで噂レベルです)、このことが、別居タイミングの見極めを一層難しくしていると言われています。
 別居のタイミングは、コロナウイルスの終息状況等も見極めつつ、慎重に判断していくほかないかと思います。

 


7.住民票の移動は慎重に



 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動しておいた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと夫側に居場所を知られる危険性が生じます。

 夫が同居中暴力をふるってきていたといったような場合、その被害者として役所に申請を提出しておけば、夫側があなたの住民票を入手することはできなくなりますが(これを「支援措置」と言ったりします)、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。



8.健康保険の件


 

 あなたやお子様の健康保険が、旦那様の健康保険の被扶養者になっている場合、あなたやお子様が病院にかかると、その情報が旦那様側に通知されます(これは1か月ごとであったり、1年でまとめて通知されたり、健康保険組合によって取り扱いが異なるようです)。
 そのため、今後もその健康保険証を使い続ける場合には、病院にかかる場合には極力別居先付近の病院ではなく、元の自宅付近の病院に通うようにするなどの配慮が必要です。

 なお、同居中から、あなた自身が独自に健康保険に加入していて(要するにあなた自身に相当額の収入があって、勤務先の健康保険に加入しているということ)、お子様の健康保険もその保険に入れたいというケースもあるかもしれませんが、通常は夫側の協力が必要であったり、健康保険組合によっては正式に離婚が成立しない限り被扶養者資格の喪失が認められないということもあります。

 


9.お子様の携帯電話


 お子様の利用する携帯電話に位置情報機能が付いており、そのことを失念したままお子さまの携帯電話をもって別居先に転居してしまいますと、当然、位置情報から、夫側がこちらの居場所を知ってしまうケースもあります。
 位置情報機能は解除したつもりでも、夫側の遠隔操作で再設定できるということもあるようですので、この点は細心の注意が必要です。
 そのため、可能な限り、お子様の携帯電話は自宅に置いて別居するとより安全です(お子様の携帯電話の中に、夫側に知られたくない情報が入っている場合にはその消去やデータ初期化も必要です)。

 


10.必要に応じて、早めに弁護士に相談する



別居の手順等について悩むような点がある場合には、弁護士を雇うかどうかは別として、直接質問すべく相談することをオススメしています。
このブログでかなり詳しめに解説いたしましたが、ご家庭の状況は皆さま異なると思いますので、ご家庭の状況に応じた疑問点等もあると思いますから、そのような点は直接質問することで初めて解消できると思うからです。


11.別居時の持ち物リスト




別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」

 これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。


12.まとめ


○事前に夫側に別居する旨を相談した方が良いかはケースによる。
○別居準備は絶対に夫側に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○ケースによっては、警察には捜索拒否願を提出したり、付きまとい防止のために相談しておいた方が良い。
○令和2年度の別居タイミングについては、コロナウイルスの影響もあって、その終息時期等を見極めて慎重に判断するしかない。
○住民票の移動は、時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○健康保険が旦那側の健康保険の被扶養者になっている場合には、別居後の受診には注意が必要である。
○お子様の携帯電話(位置情報の検索ができるもの)については、自宅に置いて別居したほうが良い。
○別居の方法等で悩むようなことがあるなら、早めに弁護士に相談だけでもしておいた方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。



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2020.04.15更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。


1.やはり解決までにかかる期間はとても気になる


 離婚にあたっては、親権を獲得できるのか、養育費や財産分与でいくらもらえるのか、慰謝料はもらえるのかどうか、といった点については、今後の生活に直結する問題なので、皆様の大きな関心事の一つだと思います。
 そして、このような金銭面の問題に次いで、離婚の問題がどの程度の期間で解決するのかという点も重要な関心事だと思います。正式に離婚が成立するまでは、いわば中途半端な状態とも言えますので、このような状態から早く抜け出したいと考えるのは当然のことだと思います。

 離婚の問題は、①協議離婚→協議離婚が上手く行かない場合に②調停離婚→どうしても調停離婚が上手く行かない場合に③裁判離婚という流れを踏みますので、最終解決が協議離婚で済むのか、調停離婚での解決なのか等手続に応じて、要する期間も異なってきます。

 このような期間はケースによって様々なので一概には申し上げにくいのですが、各手続に応じてどの程度の期間を要するのかの目安と、どのような問題が争点になると長期化しやすいのかについて解説します。


2.協議離婚で解決する場合



 協議離婚というのは、離婚届を役所に提出して解決する場合を言います。
 たまに依頼者の中には、弁護士が間に入る場合には、協議離婚にはならない(調停離婚で手続を進める)と誤解されている方もいらっしゃいますが、基本的には、弁護士が間に入った場合にも、協議離婚による解決を目指すことが多いです。

 では、協議離婚の場合、解決までにどの程度の期間を要するかというと、おおよそ2か月から6か月程度というのが一つの目安かと思われます。ただ、これもケースによりけりですので、一つの目安と考えて頂ければと思います。

 通常、協議離婚で解決したという場合には、離婚条件について大きな対立はないことが多いのですが、協議離婚が長期化する傾向があるのは、緻密な離婚協議書を作成する場合や公正証書を作成する場合ではないかと思います。
 特に養育費などの金銭の支払いに強制力を持たせたい場合には公正証書を作成する必要がありますが、公正証書を実際に作成するのは公証人になります。そのため、公正証書を作成する場合には、公証人との折衝や公証人に提出する資料なども必要になってくる関係で最終解決までの期間が延びる傾向にあります。

 なお、令和2年4月現在緊急事態宣言が発令しておりますので、離婚協議のために夫側に私の法律事務所に来てもらうとか、離婚届にサインしてもらうために法律事務所に来てもらうということに夫側が難色を示す可能性もあり、そのことは事件解決の遅延要因になる可能性もあります(私自身は事務所にて打ち合わせを行うことは対応可能なのですが)。



3.調停離婚で解決する場合



 前述の協議離婚が上手く行かない場合、調停手続で離婚を目指すことになります。
 特に離婚協議をしていても、話がうまく進展しなさそうな場合には、早期に調停を申し立てるケースもあります。

 調停での解決にどの程度の期間を要するかですが、これもケースによって千差万別なのですが、一般的にはどんなに早くとも3か月、長い場合には1年、または1年を超えることもあるという回答になると思います。
 それでは、コロナ離婚の調停の場合、どのような問題で長期化しやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。なお、私自身、令和2年4月現在、ダイレクトにコロナ不和のみを理由とする離婚問題を扱っているわけではありませんので、これまでの事件解決経験に基づいて予測して記載しております。この点は予めご了承ください。

①離婚するかどうかの部分、または離婚原因の部分で対立が激しい場合
 夫側が「コロナは一過性の問題であるから、コロナが終息すれば元の家庭に戻る」とか「コロナウイルス感染の重要な局面だからこそ家族・夫婦で助け合わなければいけない」といった主張を展開してくる場合、離婚原因の部分での対立が激化して、調停の長期化要因になりそうです。
 そのため、夫側からの上記のような反論をあらかじめ想定したうえで、コロナの問題になる前から、夫側にこのような問題があったとか、夫婦が不仲であったというエピソードもしっかりと整えておく必要があろうかと思います。実際にはコロナ不和が離婚の直接の引き金であったとしても、クローズアップするのはコロナ問題以前の出来事に絞り、相手を早期に諦めさせるということです。

②お子さんとの関係で嫌がらせをしてくる場合
 夫が離婚には応じたとしても、渋々合意したと言うことが多いため、何かしらの形で嫌がらせをしたいと考えてくる人もいます。例えば、以下のような形になります。
・実際自分では育てられないと分かっているのに親権獲得を希望してくる。
・親権は争わないが、今後の監護計画を事細かに聞いてくる。
・頻繁な面会交流を要求してくる。
・しきりに学校行事や習い事の発表会への参加を要求してくる。
・養育費を出し渋る。
 夫側から以下のような要望が出された場合には、長期化要因になりますが、どの程度期間が延びるかは、夫側がどこまで執拗に要求してくるのかにも大きく左右されます。

③財産分与の対象財産が多い場合、争点が多い場合
 財産分与の対象財産が比較的少ない場合や、そもそも婚姻期間が短く財産分与の必要がない場合には、その分短期決着が見込めます。
 他方で、財産が多い場合や、特有の争点が生じる場合には長期化要因になります。財産分与で争点となるケースというのは、①自宅購入時の頭金の金額・性質等に争いがある場合、②相手が一部の財産しか開示しない場合(対象財産の範囲に争いがある場合)、③婚姻前の財産の範囲や額に争いがある場合等になります。
 特にコロナウイルスの問題で、夫側が退職を強いられたとか、減収になったというような場合には、今後の生活のことを考えて極力出費を控えてくるでしょうから、財産分与について抵抗してくる可能性が高まります。

④慰謝料が争点になる場合
 コロナの件以外にも、浮気や暴力といった明確な慰謝料事由がある場合には、慰謝料請求も検討すべきということになります。
 ただ、このような身勝手な行動をとる夫は通常自身の行動を正当化してくることが多いため、慰謝料を支払わないばかりか、こちらが慰謝料を請求してきたことそのものに不満をぶつけてくることもあります。
 この慰謝料の問題で対立する場合も紛争が長期化する要因になります。


⑤今回のコロナウイルスの影響
 今回のコロナウイルスに関わる緊急事態宣言によって、対象地域の家庭裁判所の4月中の調停期日は一斉に取り消しになりました。また、今後のコロナウイルスの感染拡大状況等を踏まえ、調停期日設定の体制にも影響が出ると見込まれます。具体的な影響として予測されますのは以下の通りです(これは、令和2年4月現在の情勢でして、今後変更があり得ます)。
①4月の調停期日が取り消されたので、再設定の期日が6月中に優先して指定される結果、新規調停の第1回調停日がさらに先になる可能性がある。
②ゴールデンウィーク後の感染拡大状況によっては、調停期日の指定は行うけれども1日に処理する調停の数を減らす可能性があり、その場合には、新規調停の第1回調停日がさらに後ずれしていく可能性がある。
③令和2年4月現在裁判所側は期日指定を行えないというスタンスなので、第1回調停期日の日程調整は「早くとも」ゴールデンウィーク明けになる。
④このように第1回調停期日の設定が遅延していくと、候補日が7月に突入する可能性も高く、そうなると裁判所の夏季休廷期間と重なると、さらなる遅延の可能性も出てくる。

 このように今すぐに調停を申し立てても、第1回調停期日の設定に時間がかかるということが強く見込まれますので、調停手続き全体の遅延要因の一つになることは拭えません。
 そのため、迅速なコロナ離婚を目指すのであれば、離婚調停ではなく、離婚協議に極力軸足を移して取り組んだ方が良いケースも相対的に増えていくのではないかと見込まれます。

 


4.裁判離婚で解決する場合



①裁判離婚に要する期間はどの程度か?
 上記のような調停手続でも離婚が成立しない場合には、やむを得ず裁判を選択せざるを得ない場合もあります。

 裁判に要する期間については、それこそ千差万別であって一概に申し上げることは非常に困難です。
 ただ、裁判を申し立てる前に、既に離婚協議、離婚調停を経ているため、訴訟提起の段階で数か月は経っていることが多いと思います。そして、裁判そのものがスタートしても、さらに1年近い期間が経過することは覚悟しなければならないことが多いと思います。そのため、弁護士が事件に着手してからのトータル期間で見ますと、①裁判の申立前に既に数か月、②裁判スタート後に1年というイメージですと、1年数か月は覚悟しなければならないというイメージになると思います。

 なお、離婚訴訟を起こすとなると、裁判で勝てるだけの離婚原因があるのかという点の検討も必要になります。
 離婚を裏付けるだけの証拠が乏しいというケースですと、ある程度別居期間を稼ぐという観点から、多少訴訟提起の時期を遅らせるという場合もあります。そのため、調停が成立してからすぐに裁判を起こすのではなく、調停終了から裁判の申立までに一定期間を空ける場合もあるということです。

 裁判離婚の場合、原則として相手も徹底的に争ってくるケースが多いため、各離婚条件について反論や証拠集めの労を要するというように考えた方が良いと思います。

②今回のコロナウイルスの影響
前述の調停同様、今回のコロナウイルスに関わる緊急事態宣言によって、対象地域の家庭裁判所の4月中の裁判期日も一斉に取り消しになりました。また、今後のコロナウイルスの感染拡大状況等を踏まえ、裁判期日設定の体制にも影響が出ると見込まれます。(これは、令和2年4月現在の情勢でして、今後変更があり得ます)。
 これからコロナ離婚を考えているという場合には、今すぐ離婚裁判をするというケースはないでしょうから(少なくとも裁判をするには調停を経なければなりませんので)、直接関係しないケースの方が多いとは思いますが、現状の裁判所の状況としてご説明した次第です。

 


5.スピードよりも、「より良い解決」を!



 たまに弁護士が間に入ったのだから早急に解決して欲しいという要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、結論を急ぐあまりに十分納得できない結論で解決してしまうのでは本末転倒だと思います。

 もちろん、離婚という問題を長期間抱えることは、それだけで心理的ストレスになると思いますので、早急な解決が望ましいことは間違いありません。
 ただ、結論を急ぐあまりに不十分な内容で解決してしまうと、2年後、3年後に振り返ったときに後悔してしまうのではないかと思います。

 そのため、解決を急ぎつつも、ご自身が納得いく解決を目指すことができればと考えております。



6.まとめ


・協議離婚はあまり長期化せずに解決できるケースが多い。
・ただ、協議離婚でも、離婚協議書に細かな内容を盛り込む場合や公正証書を作成する場合、長期化要因になることがある。
・調停離婚はいくつか長期化する項目があり、夫側の態度が大きく影響する。
・裁判離婚に発展した場合には、それなりの期間かかることを覚悟する必要がある。
・迅速な解決が望ましいが、迅速性よりも「より良い解決」の方が大事である。

 

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弁護士 秦(はた) 真太郎
TEL03-3666-1838|9:30~18:00
東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

投稿者: 弁護士秦真太郎

2020.04.15更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 正直に申しますと、夫側が激しく離婚に反対してくる場合、最終的には離婚訴訟を提起しなければならなくなりますので、離婚に漕ぎつくためにはそれなりの期間を要することになります。そのため、あなたの離婚問題が長期化するかは、夫側のキャラクターや心情に大きく左右されます。
 ただ、状況等に応じて、ある程度離婚の難易度がどの程度なのかについては類型化することができますので、一般的な傾向として解説していきます。


1.法律的な難易度



 民法770条には、法律上の離婚原因が明記されているのですが、法律上の離婚原因は浮気や暴力等かなり限定的です。
 離婚の手順として、協議離婚(離婚届を提出して離婚するケース)できるのであればよいのですが、それが難しい場合には調停離婚(裁判所の調停で離婚するケース)、最後には裁判離婚(裁判所の裁判で離婚するケース)が必要になります。

 ただ、裁判をすれば必ず離婚できるのかというと、そうではなく、民法770条の離婚原因の存在が要求されているのです。
 夫婦の問題は当人同士で話し合いをすることが望ましいとの考え方から、裁判所によって強制的に離婚ができる事情は限定されているのです。

 コロナ不和が離婚の大きな原因だとすると、残念ながら、それは一般的に法律上の厳格な離婚原因には該当しないケースの方が多いかと思います。
  ただ、このように離婚裁判で勝訴できるだけの理由がないとしても、私の経験上、多くの事件では協議離婚や調停離婚で事件を解決しておりますので、必要以上にご心配なさらないでください。

 


2.実際の難易度は?



 これまでの解説は、「離婚裁判をした場合に勝てるのか?」というお話しです。
 そもそも、離婚裁判をせずに解決できるのであれば、短期間で解決できることになりますし、裁判に要する手数もかからないため、それに越したことはありません。

 そのため、離婚難易度といった場合、どの程度離婚調停で話をまとめられるか(もちろん、協議離婚ができればより一層望ましい)というところにかかってきます。

(1)難易度が高くなる要素
 離婚難易度(離婚調停までで離婚できる難易度)を高める要素は様々な要素があるのですが、私が弁護士として事件を担当している際によく感じる項目として以下のようなものがあります。
①夫側の独自の発想・こだわりが強い。
②同居中のモラハラ・DV行為等が執拗であった。
③夫側がメンタルが弱く、離婚を切り出したときに、こちらにすがってきそうである。
 これらのケースですと、一般的に離婚難易度は上がる傾向にあると思います。

(2)特定の夫を対象にした対策
 上記のような事情があると一般的に離婚難易度が上がるのですが、特徴に応じた対策を取ることによって早期離婚につなげる方法もあります。

①金銭に細かい夫を相手にする場合
 このような夫を相手にする場合、早急に婚姻費用を請求して、相手に金銭的負担をさせるという方法が効果的なことが多いです。
 要するに、夫側に「離婚しない限り毎月毎月お金を取られる」という意識を持たせることで、早期離婚に結びつけるのです。

②外面を強く気にする相手の場合
 このような夫を相手にする場合、調停等裁判所の手続を避けたがる人も多いので、そのようなケースであれば、極力協議離婚で解決することを目指します。私が担当したケースでも、3か月ほどで協議離婚にこぎつけることができたケースもあります。

 他にも夫の特徴に応じて対抗策はありますので、気になる方はお気軽にご相談下さい。


3.同居中夫の方から「もう離婚だ」と言われることが多かった。


 実際このようなご相談を受けることも多いのですが、実際こちらから離婚を切り出すと、離婚に応じたくないと言ってくる夫もかなりの数います。特に、あなたのことを見下しているような夫ですと、生意気だと感じるとか、こちらの言い分に反発してくるというケースも多いです。また、あの時離婚だと話をしたのは冗談だったとか、果ては「そんなことを言ったことはない」とまで言う旦那もいます。
 もちろん、このような場合に、相手がすんなり離婚に応じてくれることもあるのですが、離婚には応じても、離婚の条件(親権・養育費や財産分与の負担等)について対立が激しく、手続に時間がかかってしまうというケースもあります。



4.まとめ


・コロナ不和がメインの離婚原因の場合、法律的な離婚難易度は、高いと思われる。
・実際の難易度としては、①独自の発想が強い夫や、②モラハラ・DVが執拗であったケース、③夫のメンタルが弱いケースだと難易度は上がる傾向にある。
・夫の特徴によっては効果的な対策を取ることで早期離婚にこぎ着けるケースもある。
・同居中夫側が「もう離婚だ」といっていたからと言って簡単に離婚できるとは限らない。

 

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こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

1.コロナ不和・コロナ離婚とは何だ?



 最近、コロナ離婚という言葉が世間をにぎわせていますが、この用語は法律で定められている用語ではありません。そのため、法律による明確な定義があるわけではないのですが、新型コロナウイルス感染の影響を受けて、生活スタイルが変化したことに伴う夫婦の不和、そのことによって離婚を決意すること、状態のことを広くコロナ離婚と呼んでいるようです。
 コロナ離婚と言いますと、もうすでに離婚してしまったかのような響きがあって語弊を招きそうですので、以下では「コロナ不和」と総称して、よく見かける原因等についてご説明します。


(1) 【原因1】旦那の在宅勤務
 緊急事態宣言発令に伴い、旦那様が勤め先から在宅勤務を命じられて、1日中自宅にいることが奥様のストレスになっていることが多いようです。より具体的には以下のようなことがストレス原因・不和の原因になっているようです。


①在宅勤務と言いながら、ほとんど仕事をしている様子もなく、ゴロゴロしたりテレビを観たりしているので、こちらが家事をやる気がなくなる。
②1日中家にいるなら、少しは家事・育児を手伝ってほしい。
③簡単な家事をお願いしただけなのに、それすらしっかりとやってくれない(家事能力不足の問題)
④簡単な家事をお願いしただけなのに、やたらと「俺は○○を手伝った」と恩着せがましく言ってくる。
⑤旦那がいることで食事の支度など家事が増えているのに、そのことに旦那が無関心すぎる。
⑥仕事をしているポーズを取りたいのか、リビングでパソコンを叩くなど、やっているというようなアピールをしてくる。

(2)【原因2】お子様達の臨時休校
 お子様が臨時休校で自宅にいること等の影響でストレスを抱える奥様は多いようです。具体的には、以下のようなことがストレス原因・不和の原因になっているようです。


①子供が退屈で言うことを聞かなくなっていて手が付けられないのに、旦那が十分にフォロー・ケアしてくれない。
②子供の休校を受けて自宅学習させようとしているのに、学習方法等で旦那と教育方針の対立が生まれた。
③夫婦どちらが勉強を教えるかといった点で夫婦喧嘩になることが増えた。
④旦那は安易に子供にユーチューブ動画ばかり見せるので視力低下や動画依存・スマホ依存にならないか心配である(旦那がそのことについての理解・意識が低い)。
⑤毎日のゲーム時間を決めているのに守られず、旦那が一緒に熱中して子どもとゲーム三昧になっている。
⑥旦那が子供と一緒に室内でボール遊びや体を動かす遊びを始めるので近所に迷惑を変えていて恥ずかしい。

(3)【原因3】感染リスクへの温度差
 私の方で現在取り扱っている離婚のケース等を見ておりますと、一般的な傾向として、奥様側は感染リスクに対して敏感で、旦那様側は多少鈍感なイメージがあります。そのような温度差も不和の原因になっているようです。具体的には以下のようなものがあるようです。


①マスクもせずに外出・出勤する。
②外から帰宅した際の手洗いをしない(もしくは、手洗いが不十分)。
③何度感染リスクの話をしても旦那が聞く耳を持たない。
④緊急事態宣言が出ている最中なのに、外部での飲み会の予定を入れてくる。
⑤緊急事態宣言が出ている最中なのに、子供と一緒に公園などに出かけようとする。
⑥緊急事態宣言が出ている最中なのに、子供の友人宅にお邪魔したり、友人を呼んだりする。

(4)【原因4】これまでの不和の悪化
 コロナウイルスの影響で、これまでご夫婦で抱えていた不仲が悪化してしまうというケースも多いようです。既に夫婦仲が悪くなっている場合には、旦那様の在宅勤務やお子様の臨時休校等で、夫婦が接する機会がどうしても増えますので、そのことが不和の悪化に結び付いているようです。


2.コロナ不和は離婚理由になるか?


 

「離婚理由」という場合、大きく分けて二つの意味があります。一つめは、相手に離婚を切り出す理由になるかという意味、二つめは、裁判で勝てるだけの理由になるかという意味です。

 まず、一つめの離婚理由(相手に離婚を切り出す理由)という意味で言いますと、コロナ不和がコロナウイルス問題発生中の一過性のものかどうかを慎重に検討してみる必要があろうかと思います。仮に、そのように一過性のものであった場合、今すぐ離婚を切り出すべきかはじっくり考えてみてください。考え方としては、コロナウイルスの問題が落ち着いているであろう2年後や3年後の様子を思い浮かべたうえで、それでも、旦那様とやっていくことが難しいと言い切れるかどうかという視点で考えてみるといいと思います。
 

 次に、「裁判で勝訴できるだけの理由」という意味での離婚理由になるかというと再度詳しく検討していく必要があります。
 と言いますのは、裁判で認められる離婚理由は(浮気や暴力などと)法律で厳しく限定されているため、あなたが考える離婚の理由によっては、「裁判で勝てるだけの理由とは言えない」と言われてしまうリスクがあるからです。離婚裁判ですと、裁判所が強制的に離婚を命じることができるのですが、本来離婚するかどうかは当人同士の意思に委ねるべき話ですから、「裁判で勝てるだけの離婚理由」というのは法律で制限されているのです。
 そして、コロナウイルスの関係での緊急事態宣言下での生活環境をもとにした離婚原因となりますと、残念ながら「裁判で勝訴できるだけの理由」にはなりにくいことが多いと思います。

 

3.別に裁判をしたいわけではないんだけれど…



  私の経験上、大半の離婚のケースでは裁判にまで行かずに調停または協議で事件解決しています。

 しかし、少数ですが相手の反発が大きく裁判を避けられないと言うこともありますので、事前に裁判になることを考えながら準備を進めていく必要があるのです。「備えあれば憂いなし」ということです。


4.あなたの考える離婚が「裁判で勝てるだけの離婚理由」と言えるために



 このように離婚裁判もある程度意識して準備を進めていくという場合、まず最も重要になりますのは裁判で戦えるだけの証拠があるのかどうかということになります。
 そして、コロナ不和の場合、旦那様が在宅勤務であるとか、お子様が臨時休校で、かつ外出が制限されているという特殊な環境も影響していると思いますので、このような特殊な環境の影響を抜きにしても離婚すべきであるという証拠収集が重要になります。


 そのような視点から言いますと、コロナウイルスの問題が拡大している状況下の証拠ではなく、それ以前の証拠がありますと非常に心強いです。夫がモラハラ夫で、その発言を録音したデータがあるとか、こちらを誹謗中傷するようなメールやLINEがあるといった場合、それらは証拠になり得ます。

 このような証拠の整理は最初に行う必要があります。
 私はモラハラ離婚の問題を多く扱うこともありまして、暴言等について全くといって良いほど証拠がないというケースを取り扱ったこともあります。ただ、その場合でも、離婚に向けての対処方法はありますので、諦めずに、ご相談にいらして下さい。



5.離婚したいと思うきっかけとなった出来事の整理




 上記のような離婚の証拠の有無の整理がつきましたら、次に、その具体的な出来事の内容を整理していく必要があります。
離婚のための証拠がある場合でも、あなたが受けた被害の全てに関して証拠があるというケースは少ないので、あなたの体験そのものを書き出していくのです。そのような思い出し作業の際には、証拠があるものはその証拠をもとに、その時にあったことをより詳しく書き留めるという姿勢で準備するとよいと思います。

 あなたにとって思い出したくない事情を思い出す作業になりますので、気の重い作業になるとは思いますが、離婚に向けて必要な作業だと考えて頑張ってみて下さい。1人で悶々と考えていると気が滅入ると言うことも多いと思いますので、身内の方と話ながら思い出していくとか、弁護士との打合せで整理するという方法もありますので検討してみて下さい。


6.まとめ


・コロナ不和は、大きく分けると、①旦那様の在宅勤務、②お子様の臨時休校、③感染リスクへの温度差、④これまでの不仲の増長といったものが原因として考えられる。
・あなたのご家庭のコロナ不和が一過性の問題ではないという場合、それは離婚を切り出すに当たっては十分な理由と評価できる。
・離婚の話がもめそうだという場合、不和の証拠をきちんと準備しておいた方が良い。
・不和の証拠と一緒に、あなたのこれまでの体験も整理しておく必要がある。


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1.なんで弁護士が「離婚の切り出し方」を知っているの?



 このブログのタイトルを見た瞬間、「なんで弁護士が『離婚の切り出し方』を知っているの?」と疑問に思った方も多いかもしれません。
 しかし、離婚の問題を多く取り扱っておりますと、離婚の切り出し方についてご相談を受ける機会も多くあります。

 また、離婚のご相談をお受けする際には、ご自身で離婚を切り出したのか、そのときにどのような話し合いになったのかについては、私の方から質問致しますので、そのあたりの事情についても自然と精通していく訳です。


2.そもそも、ご自身で離婚を切り出した方がよいのかどうか



 離婚の切り出し方については後述しますが、そもそも論として、あなた自身で離婚を切り出した方がよいのかについては十分検討した方がよいです。要するに、あなた自身で一度はきちんと離婚話をするのか、それとも、一度も離婚話をせずに弁護士に依頼して離婚手続きをスタートさせるのか、の問題です。

 特に令和2年4月現在は、コロナウイルスの関係で緊急事態宣言が出ているため、「旦那が常にイライラしていて話しかけづらい」とか「口を開けば喧嘩という状況なので今は極力夫との会話を避けている」というケースもあろうかと思います。



 ただ、その検討の際には、あなた自身が離婚を切り出した方が、多少夫も納得感が高まる可能性がある、と言うことは検討要素の一つにして下さい。
 と言いますのは、仮に、あなたが弁護士を立てて離婚を進めることを考えている場合、相手からすると窓口が弁護士のみになり、あなたと直接話をすることが難しくなります。そのため、夫側は、「妻と直接話ができないから、実のところどのように考えているかが分からない。」「弁護士が妻をそそのかして離婚させようとしている」と言ったクレームが寄せられることがあり、事件進捗の妨げになることがあるのです。
 あなた自身の口で離婚を切り出すと、多少は相手の上記の様なクレームを緩和できる可能性があります。


3.【離婚を切り出すポイント1】お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す


 

 夫婦関係を長年続けておりますとどうしてもカッとなってしまうこと、喧嘩をしてしまうこともあると思います。
 そんなときに、つい「離婚してやる」とか「離婚して欲しい」と口走ってしまうこともあるかもしれませんが、これではお互いに冷静な話し合いは期待できません。

 また、酔った勢いで離婚を申し入れても相手は真剣に受け取らないでしょうし、相手が酔った状況で話をしても、話は進展しないと思います。
 上記のシチュエーションは極端な例ですが、そうでなくとも、①家庭内別居の期間が長く、夫側が何を考えているのか、何を言い出すのかわかりにくい状況や②夫側が不機嫌で冷静な話し合いが期待できない状況の場合もあると思います。夫側が不機嫌な場合には一定期間を置いて冷静になるのを待ったり、事前にメールやLINE等にて「大切な話があるので時間を取って下さい」と伝えた上で話し合いの日時を決めるなどすることも考えてみて下さい。

 いずれにしましても、お互いが冷静な状況・環境で話をすると言うことは当たり前のことのようでも重要なことです。



4.【離婚を切り出すポイント2】具体的なエピソードを思い出す


 

 離婚の相談を受けておりますと、抽象的な理由ばかりで具体的に相手のどのようなところが悪いのか、不仲の原因がどこにあるのかがはっきりしないということがあります。
 例えば、「頻繁に暴言を浴びせてくる」とか、「相手はモラハラ夫なんです」と訴えてくる方もいらっしゃいますが、具体的にどのくらいの頻度で(ほぼ毎日なのか、1週間に1回程度なのか等)どのようなことを言ってくるのかが分かりませんと、対応ができません。

 ただ、夫の嫌いなところを列挙すると、とりとめがなくまとまらなくなってしまうと言うこともあります。
 そのため、まずは、自分が相手とやっていけないと思う「一番の理由」を考えてみて下さい。
 その理由を選び出したら、婚姻中、具体的にどのような行動や言動があったのか重要なことだけでも良いので良く思い出して列挙してみて下さい。

 例えば、以下の様なものになります。
(参考例)
先月上旬にモラハラ夫から「お前のように家事ができない女は要らないから今すぐ出て行け」と言われた。このような発言は、モラハラ夫の指示通りの献立で夕食を準備したのに、帰宅すると「今日はこんなに暑かったんだから涼しいメニューを作れ」などと発言してきて上記の発言につながった。
 相手の言うとおりに作り直していると、モラハラ夫は、空腹に耐えられないと言って家を出て、一人外食をして帰ってきた。

 このようにあなたが考える離婚理由を整理しておきますと、いざ夫と話をする際にも離婚話にメリハリをつけることができます。
 また、多少前述しましたが、このような具体的な離婚エピソードは、今回のコロナの問題が発生する前のものの方が基本的には良いと思います。コロナウイルスによる緊急事態宣言という事態はこれまでの日常生活では普段体験しないような事態と言えばそうなので、夫側からのきつい反論対象になると見込まれるからです。また、今回のコロナウイルスの期間中の不仲だけが離婚原因という場合には、一過性の不仲という可能性もありますので、そのことだけで離婚を思い立つのが良いことなのかについては慎重な検討が必要かもしれません。


5.【離婚を切り出すポイント3】こちらが本気だと分かってもらう工夫をする



 特にこちら側が専業主婦という場合には、現状収入を得ていないと言うこともあって、夫側は本気にしてくれないと言う可能性も出てきます。そのため、こちらとしては悩んだ末に、やっていけないと考えて離婚を真剣に切り出しているのに、夫側からほとんど相手にされないという事態が発生し得ます。
 このような事態を避けるために、どのような方法が考えられるのかを、以下の通り簡単にご説明します。

(1)きちんと「離婚」というフレーズを使う
 特にコロナ問題で夫側がいら立っているというような場合には、余計に機嫌を損ねそうな話をしずらいということもあろうかと思います。そのため、遠慮がちに「もうやっていけないと思ってるんだけど」とか「夫婦の今後のことについてどう思ってるの?」と言った曖昧な表現になってしまうこともあります。
 しかし、このような曖昧な表現ですと、夫側はこちらの離婚意思をしっかりと受けとめてくれないことも多いです。
 そのため、あなたの口から離婚を切り出すと決めたのでしたら、きちんと「離婚」というフレーズを使って夫にきちんと話をして下さい。

(2)実家の両親などに間に入ってもらう 
 あなた自身の口で離婚のフレーズを伝えたのに夫側が真剣にとらえてくれないというケースもあります。そのような場合には、こちらが真剣に離婚したいと思っていることをアピールするため、ご実家の両親や親戚なども交えて離婚の話をするという方法が考えられます。
 この場合には、相手の両親も一堂に会して家族会議のような形で話をしてみるのもよいと思います。
 ご夫婦二人だけの話し合いだと、相手が真剣に受けとめないという場合には、このような方法は有効打となることがあります。

(3)どうしても真剣に捉えてくれない場合「別居する」というのも選択肢の一つ
 身内が間に入って話をしても夫側が真剣に受けとめないとか、自分に都合の良い捉え方しかしないため話が進まないという場合、別居という手段を取ることも検討してみて下さい。
 この場合は、一時的に実家に戻るという形が多いと思います。
 なお、相手に無断で別居を強行してしまいますと、相手がこちらの実家まで乗り込んでくるなど、話が複雑になりがちなので、別居については相手に相談をした上で進めるのが望ましいと言えます(もちろん、夫の気性が荒いというような場合等には、くれぐれも無理をせず、場合によっては無断別居もご検討下さい)。

(4)家庭裁判所に調停の申立をする
 ご夫婦が直接話し合うだけでは話が進展しないという場合、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法もあります。
 ただ、調停の申立が必要かもしれないと迷われているという場合には、まずは、弁護士に相談してみることをオススメします。


7.まとめ


・ 離婚を切り出す場合、ご本人で離婚を切り出した方がよいのかについて、まず検討した方がよい。
・ ご本人で離婚を切り出す場合、お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す。
・ 具体的なエピソードを元に離婚の理由を話す。
・ こちらが本気だと分かってもらう工夫をする。


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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.コロナ離婚に踏み切る前に考えるべきことは意外に多い



 離婚を考えた場合、通常まず一番に離婚後の生活、離婚後の育児環境のことが頭に思い浮かぶと思います。
 ただ、今後相手と離婚するかしないかという点で争っていくことも考えますと、他にも色々と考えておかなければならないことがあります。
 詳しくは後述しますが、考えなければならない点をすべて同時に検討しようとしてしまいますと、精神的な負担が大きくなってしまうと言うこともありますので、徐々に、かつ優先順位をつけて検討することもお考え下さい。


2.今後「やり直せない」かどうかは客観的に見極めた方がよい



 当たり前のことなのですが離婚する場合、離婚後、法律上相手は「他人」ということになります。裏を返すと離婚を切り出すと言うことは他人になって欲しいと切り出すことと同じなので、今後「やり直す」ということが無理だと言えるほどの状況でこそ、離婚を切り出すべきだと言えます。

 令和2年4月現在、コロナウイルスの問題が終息する時期が見通せない状況が続いておりますが、このコロナ問題が終息した後は良好な夫婦関係・家族関係を築くことが出来るというケースも多分にあると思いますので、1年後や2年後自分がどう考えているだろうかということに思いを巡らせて最終決断するのが良いと思います。


 コロナの関係でお子様が在宅しているため、落ち着いて考えられないといったときには、ご親族や親友等の意見を求めて、客観的に離婚が望ましいかを見極めるという方法も検討してみてください。

 


3.まずは、お子さんの幸せをよく考える



 お子さんの幸せのことを考えるとお父さんとお母さんが揃っている方が良いという結論しかないということになってしまいます。
 私が申し上げたいのは、このような一般論の話ではありません。
 分かりやすく言いますと、現状と離婚後の生活とでどちらの方がお子さんにとって幸せなのかという比較と、離婚後のお子さんのケアが可能なのかどうかと言う問題です。

 なお、令和2年4月現在はコロナウイルスの関係で緊急事態宣言が出ている真っただ中でして、このような状況では冷静に判断がつかないということでしたら、コロナ問題が多少落ち着いた時点で冷静に考えてみるということでもよいかもしれません。

①現状との比較
 分かりやすく言いますと、毎日喧嘩が絶えないという家庭の場合、お子さんにとっても悪影響になりますので、むしろ、離婚した方がお子さんにとっても望ましいと考えられます。
 ただ、この点も、現在旦那様が在宅勤務であるがゆえに夫婦喧嘩が絶えないという場合、通常出勤に戻った後のことにも想像を巡らせて比較したほうが良いかと思います。もちろん、今回のコロナウイルスの問題を機に、旦那様の勤め先が広く在宅勤務を認めるようになって今後も旦那様が自宅にいる機会が大幅に増えるという場合には、そのような前提での比較になろうかとは思います。

 いずれにせよ、あなたが離婚を切り出したいと思っているという場合、すでに夫婦関係がぎくしゃくしていることは間違いありませんから、現状のぎくしゃくした状況がお子さんに悪影響を与えていないかについてよく考え、離婚後の生活と現状を比較してみると良いでしょう。

②離婚後のお子さんのケア
 離婚後あなたがお子さんを育てていくという場合、しっかりとした生活環境・教育環境を整えていく必要があると思います。
 ただ、それだけではなく、お子さんと相手との接し方についても考えておく必要があると思います。
 一般的には、お子さんと父親とは定期的に面会させた方がお子さんの成長に良いと言われていますので、これまでの夫婦生活におけるお子さんとの接し方等を考慮して、離婚後の旦那様と奥様との接し方についても慎重に検討する必要があります。


4.相手が争ってきた場合の備えをする



①夫の財産の在処を把握しておく
 離婚の際には婚姻期間に増加した財産については財産分与という形で折半するのが通常です。
 しかし、離婚を切り出すと、夫側は財産を取られたくないために、財産の在処を隠してしまう場合があります。

 そのため、夫側が財産の在処を隠すことも想定して、どのような財産をどの程度持っているのかについては予め把握しておいた方が良いです。
 このようにしておくと、財産分与でいくらもらえそうなのかの見込みが立ちますので、離婚後の生活設計にも役立ちます。

②夫側の収入を把握しておく
 相手の収入は家庭裁判所の調停などになれば、隠匿していくことは非常に難しいのが実情です。
 ただ、相手の収入を早めに把握しておけば、離婚するまでに生活費としてどの程度のお金をもらうことができ、離婚後養育費としてどの程度のお金がもらえそうかという見込みを立てることができます。

 なお、同居中、夫側が口頭で話していた収入の金額と、実際にもらっていた給料の金額が違うと言うこともありますので、可能な限り源泉徴収票、給料明細書・賞与明細書等で相手の収入を把握しておくのが無難です。

③離婚原因の証拠の確保
 これは、こちらからの離婚理由の伝え方にもよるのですが、コロナの問題を主たる離婚理由として伝えてしまいますと、夫側から「コロナの問題は一過性の問題だ」とか「コロナの問題は暫く経てば落ち着く」といった反論が返ってくる可能性が高いです。そのため、通常離婚を切り出す場合にはコロナの問題が拡大する前から抱えていた不満や夫婦の不和についてしっかりと伝えていく必要があろうかと思います。


 そして、このようなコロナ以前の不満や不和については、相手からの言い逃れ等を封じる証拠(ラインやメール等)があれば、あらかじめ収集し、準備しておいた方がよいと思います。



5.今後の生活基盤の確保


 

 前述の今後の養育費の金額等とも関わってくるのですが、離婚した後の住まい、収入を得る手段については事前に目処を付けておく必要があります。 ただ、別居を開始し始めた時期は、夫側がどこまで離婚を争ってくるのか見通せない面もありますので、当面実家のお世話になるとか、パート勤務を開始するといった程度にとどめるケースも多くあります。



6.まとめ


・ 今後「やり直せない」かどうかは身近な人と相談するなどしつつ客観的に判断した方がよい。

・ 離婚に伴うお子様への影響を考える
・ 相手が離婚に反対してきた場合の備えをする。
・ 今後の生活基盤を確保する。

 


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投稿者: 弁護士秦真太郎

2020.02.17更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)前提として親権の意味のおさらい

 監護権よりも、親権という用語の方が馴染みが深い方も多いと思いますが、親権とは離婚後にお子様を育てていく権利のみを意味するわけではありません。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。

1)身上監護権

2)財産管理権

3)身分行為の代理権

 要するにこれらの権利をまとめて「親権」と呼んでいるということです。

 

 ここでの身上監護権とは、お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。

 財産管理権とは、お子様の財産を管理についての代理権限を言います。馴染みがある例ですと、TSUTAYAなどでお子様だけでトレーディングカードやゲームソフトなどを売却しようとすると、親御さんの同意を得て下さいと言われると思いますが、これは、親権者に財産管理権があるため、お子様だけで高価な物品の処分等ができなくなっているのです。

 身分行為の代理権とは、例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

 

(2)監護権は、上記の3つの権利の中の一つの権利

 前述のように親権には大きく分けて3つの権利が含まれているのですが、その中の一つである「身上監護権」を切り出したものが、俗に言う監護権というものになります。

 監護者を指定するという場合には、通常、(離婚が成立していない)夫婦のうち一方にお子様の身の回りの世話をする「お墨付き」をしっかりと与えるものだとイメージすると分かりやすいかと思います。

 

 

2.監護者として指定されるための6個のポイント


 

 監護者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の5つの点に集約できると思います。

1)監護実績

2)連れ去りの違法性

3)現在の監護状況

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)面会交流の姿勢

 以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。

 

(1)監護実績

 監護実績というのは、お子様と同居中、どの程度お子様の身の回りの世話をしてきたのかということです。

ポイントとしましてはお子様の衣食住にどの程度関わってきたかという視点で考慮されることが多いです。要するに、①「衣」とは、お子様の普段着るものや身につけるものを誰が購入し準備していたか(これには学校・保育園の制服や学校用品等の準備も含む)、小さいお子様だと普段のお着替えやおむつ替えは誰が行っていたのか等のことを指し、②「食」は普段のお子様の食事の支度を誰がしていたのか、小さいお子様だと授乳やミルク上げを含むことになります。③「住」はお住まいの賃貸名義が誰かという話ではなく、普段の躾や教育を誰が行っていたのかという問題です。

 過去の監護実績についてはご夫婦で主張が大きく対立することも多いので、保育園の連絡帳の記載内容等が重要な判断証拠になることも多いです(要するに保育園の連絡帳を夫婦のどちらが記入し、どのような記入がなされているか)。

 

(2)連れ去りの違法性

 前述の通り、監護者指定は、夫婦が別居状態にあることが前提としていますので、夫婦の一方が自宅から出ている状況をもとにした申立になります。そうしますと、お子様と一緒に別居を開始している場合には、それが連れ去りなのかが問題になることが多いです。

 

1)【違法な連れ去りかどうかのポイント1】連れ去り態様

 お子様と一緒に別居することを余儀なくされたとしても、その態様によっては、お子様の心情をひどく害してしまうというケースもありますので、違法な連れ去りかどうかの重要なポイントの一つが、その「態様」ということになります。

 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。

 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

 

2)【違法な連れ去りかどうかのポイント2】お子様の意思

 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。

 あなたが別居を余儀なくされた側だとしても、そのことにお子様が納得しないケースもあると思いますし、ある程度の年頃にいったお子様ですと、明確に別居に反対したり、自宅に残るという意思表示をするケースもあると思います。

 このようなお子様の意思に反して別居を始める場合、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。

 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は10歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。

 

3)【違法な連れ去りかどうかのポイント3】それまでの監護状況

 同居生活中の監護状況は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。

 前述の通り、お子様が10歳以上の年齢の場合には、一般的にお子様の意思や別居時の様子についてお子様から直接話を聞くことができますが、お子様の年齢がまだ小さい場合には、お子様の意思確認をすることはあまり期待できません。

 そのため、一般的には、普段お子様の面倒を見てきた奥様がお子様と一緒に別居を開始したという場合には、「違法な連れ去り」とは評価されないケースが多いのが実情です。他方、普段お子様の面倒をほとんど見てこなかった旦那様がお子様と一緒に別居を開始したという場合には、「違法な連れ去り」のおそれがあると見られるケースが相対的に多いように感じます。

 

4)【違法な連れ去りかどうかのポイント4】無断別居イコール「違法な連れ去り」ではない。

 奥様がお子様と無断別居したケース、要するに事前に旦那様に何も別居等の相談をせずに別居を開始したケースでは、旦那様側では「違法な連れ去りだ」と声高に主張なさる方も多いのですが、無断別居と言うだけでは、直ちに違法な連れ去りとは言えないことが多いです。

 「違法な連れ去り」かどうかは、前述のポイント1からポイント3までを総合考慮して決定することが多いです。

 

(3)現在の監護状況

 現在の監護状況については、家庭裁判所調査官が家庭訪問を実施することになりますので、家庭訪問での様子次第ということになります。

 調査官が家庭訪問した際には、室内の様子やお子様の暮らし向き、お子様の様子や調査官と接したときの反応等を見ていくことになります。

 

(4)過去の児童虐待の有無・程度

 例えば、お子様に対して暴力を振るってきた過去があり、そのことでお子様が怪我をしたとか、心の傷を負ってしまったと言った程度に至っている場合には、明確な児童虐待がありますので、そのような親に監護権を認めることは不適切ということになります。

 そのため、極端な虐待があったような場合には、そのことも監護者指定に影響を及ぼします。

 ただ、暴言を吐くことがあったというケースですと、その内容にもよりますが、多少汚い言葉を使ったことがあったとしても、そのことのみで監護者として不適格とされるケースは少ないかと思います。

 

(5)お子様の意思

 お子様が15歳以上の場合、裁判所はお子様の意向を確認しなければならない義務があり、そこでお子様の意向が重視されることになります。

 また、15歳になっていなくとも10歳以上の場合には通常はお子様の意向を確認し、その意向が親権獲得に影響することが多いです。

 

(6)面会交流への姿勢

 一般的に裁判所は面会交流に積極姿勢です。と言いますのは、面会交流を通じて、お子様は両親の愛情を感じることで安心や自信を得られる、自分のルーツを知ることで人間関係の多様化を図れるといった利点があるからです。

 そのため、しっかりとした理由もなく面会交流を全面的に拒否するとか、理由があいまいであったり裏付けが不十分な場合には、そのことが監護者指定にあたって不利に働くこともあります。

 

 

3.まとめ


・監護者は以下の6個のポイントで決定することが多い。

1)監護実績

2)連れ去りの違法性

3)現在の監護状況

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)面会交流への姿勢

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2020.02.03更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.子の監護者指定事件で想定している代表的なケースって?


 

 例えば、①普段お子様の面倒をほとんど見ていなかった旦那様が勝手にお子様と一緒に自宅を出てしまったとか、②逆に、DV夫から妻だけが追い出されてしまった(お子様を自宅に残さざるを得なかった)といったケースが代表的です。

 いずれにしましても、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段が、監護者指定及び引渡の事件と言うことになります。

 

 

2.監護者指定は3つの事件をセットにすることが多い。


 

 前述のように、監護者指定は、劣悪な環境下にいるお子様を救出する手段として用いられることが多いため、以下の事件を3つセットで申し立てるのが通例です。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

 

 以下それぞれについて概説します。

 1)は、夫婦共に親権を有する状態から、一方のみに監護権(お子様の身の回りの世話や教育方針等を決定する権利)を付与する手続です。

 ただ、監護者が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 

 さらに、このようなケースは緊急性が高いものですから(このような状態を長期間放置するとお子様の身の安全が保障できないことになるため)、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請も出すのです。

 と言いますのは、本来の正式な審判は、慎重に審理しなければなりませんので、結論が出るまでに時間がかかってしまいます。ただ、時間がかかればかかるほどお子様は劣悪な環境での生活を余儀なくされると言うことになってしまいますので、至急暫定的にでもお子様を正常な生活環境に戻させる処分が「保全処分」なのです。

 

 

3.監護者指定事件における手続の特徴は?


 

(1)調停前置ではない。

 例えば、離婚する際には、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります。このようにすぐに裁判と言った手続をすることができず、その前に調停を起こさなければ行かないことを「調停前置主義」と呼びます。

 家庭生活に関わる問題は、裁判官が強制するよりも、夫婦が話し合って解決することが望ましいという考え方から、離婚等には調停前置主義が採用されています。

 

 これに対して、監護者指定事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 監護者指定事件は、前述のように至急、劣悪な環境にあるお子様を救出する必要がありますので、調停手続きを経ることが要求されていない(調停前置主義が取られていない)のです。

 

(2)実際の手続の進行は?

 監護者指定事件の進行の特徴としましては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるといったことが言えるのではないかと思います。

 以下で詳しく説明していきます。

 

①迅速性

 前述の通り、子の監護者指定審判事件は通常監護者指定だけではなく、子の引渡及び保全処分もセットで申立がなされます。

 そして、保全処分は緊急措置としてお子様を暫定的に申立人のところに引き戻す手続と言うことになりますので、急ピッチで手続きが進められのが通例です(担当裁判部によっては多少スピード感が異なりますが)。

 即ち、監護者指定事件では、第1回期日に調査命令が発令されることが多く、その後の調査も急ピッチで進められることが多いです。

 

 一般的な審判事件ですと、いきなり調査官を付けるのではなく、調査発令の前までにお互いの資料整理等を何度か行うことが多いのですが、監護者指定事件では、第1回目から早速調査開始とすることが多いです。

 そして、調査を迅速に進めるため、調査官が複数名担当として付けられることが多いです。通常の審判手続ですと原則調査官は1名しか付けないのですが、急ピッチに事件を進めるため、調査官が複数名付けられるのです。

 調査官が複数名付けられることによって調査官の中でも作業の分担等を行うことができますので、手続の迅速化を図ることができるのです。

 

②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき

 前述の通り手続は急ピッチで進められますので、第1回期日までに資料等はほぼ全て出し切ってしまう必要があります。

 そのため、資料整理と裏付けの整理を急ピッチで進めることが非常に重要になります。

 特に、監護者指定事件では、これまでの監護状況が非常に重要なポイントになりますので、その裏付けとして保育園の連絡帳、母子手帳やお子様と撮影した写真等が客観的証拠として重視されやすいです。

 これらの証拠を準備しつつ、第1回期日までに陳述書も準備しなければなりませんので、忙しなく準備しなければならないことが多いです。

 

③調査官調査主体の手続である

 監護者指定事件において、ご夫婦は通常、過去のお子様との関わり方について、自身に有利なように主張を展開することが多いので、これまでの監護の状況については、調査官が裏付け資料等を見ながら慎重に判断していくことになります。

 調査官の調査は通常、①ご夫婦それぞれから提出された資料の検討、②ご夫婦双方との面接、③小学校や児童相談所等関係機関への訪問や問い合わせ、④自宅訪問の4部構成とすることが多いです(但し、通常は、①→②→③→④という順序で進行することが多いですが、事件によっては、順番が変わることも多いです)。

このようなお話しを致しますと、②の調査官との面接でしっかりと親としての活動をアピールしようと考える方も多いのですが、前述の通り、これまでのお子様との関わり方についてはどの程度の資料や証拠があるのかという点が非常に重要なポイントになりますので、上記①の資料提出の準備を怠ってはいけません。

 

④調査報告書でほぼ結論は決まる

 前述のような調査官の調査が完了しますと、調査官は調査報告書というものを作成します。要するに、実施した調査の概要を示すと共に、調査官として適切だと考える結論を報告書という形でまとめ上げるのです。

 この調査報告書は、実際に調査官のみでまとめ上げるのかというと、調査官が作成した叩き台に対して裁判官が意見を言うことの方が多いため、調査報告書には裁判官の意見が実質考慮されていることの方が多いです。

 そのため、調査報告書が出来上がりますと、実質的にそこで審判の結論は出てしまうことが多いです。

 このようなこともあって、裁判官は、審判廷において「裁判所の考え方は調査報告書の通りです」と発言することが多く、大半のケースでは調査報告書の内容通りの審判がおります。

 

 

4.まとめ


・監護者指定事件は、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段として用いられることが多い。

・監護者指定事件は以下の3つの事件をセットで申し立てるのが通常である。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

・監護者指定事件の特徴としては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるという点が特徴的である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2020.01.20更新

 弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.監護者指定事件は調停前置ではない。


 

 離婚について調べていると、手続のステップは、①協議→②調停→③裁判の3つ手続きを経るという記事を見かけることもあるのではないでしょうか。

 そして、離婚の場合、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります(これを「調停前置主義」と呼びます)。

 

 これに対して、監護者指定事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 あまり聞き慣れない「審判」という手続がどのようなものなのか調停と比較しながら解説していきます。

 

 

2.審判と調停の違い


 

 審判と調停との間にはいくつもの違いがあるのですが、大きな違いとしては以下のような点が挙げられます。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では基本的に当事者本人が出席する必要がありませんが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 

 それぞれについて具体的に説明して行きます。

 

(1)審判手続は審判を目指す

 冒頭でも説明しましたとおり、審判手続は審判を得ることを目的としており、審判が言い渡されて、その内容が確定すると、不満のある当事者も審判の内容に従わざるを得なくなります(そのため、イメージとしては「判決」に近いです)。

 調停の場合には、相手の提案に納得が行かない場合には、納得いかない旨を述べれば調停は成立しませんので、相手の言い分を強要されることはありませんので、この点が審判と調停の一番大きな違いと言えます。

 

(2)審判は原則法廷で行われる

 調停は調停室という会議室のような部屋で行われるのですが、審判は原則として法廷(テレビドラマなどに出てくるのは通常この「法廷」になります)で行われます。

 但し、監護者指定事件においては、調査官調査が重要な役割を果たしますが、その際の調査官面接などは、会議室のような部屋で行われます。

 

(3)審判に対しては即時抗告という不服申立ができる

 審判手続の結論として審判が言い渡された場合でも、その審判内容に不満がある当事者は、即時抗告をして、その判決内容を争うことができます。

 これに対して、調停が成立した場合、後で気持ちが変わったとしても調停の内容を覆すことはできません(不服申立手段がありません)。

 なお、審判手続の中で当事者間の話し合いが上手くいった場合には、裁判官が審判手続きを調停手続に変更した上で、調停が成立することがありますが、この調停に対しても不服申立ができませんので、注意が必要です。

 

(4)審判では書類のやり取りが中心になる

 審判では、最終的には裁判官が審判を書くことになりますので、当事者の言い分が不正確にならないように、お互いの言い分は主張書面といった書面に書き起こして主張してゆくことになります。

 離婚調停の場合には、特に調停委員が希望する場合を除いて、言い分は調停室内で口頭にて述べられますので、この点も審判との違いになります。

 このように審判では本人の言い分が裁判官にきちんと届くように書面をまとめることが非常に重要になりますので、審判期日当日というよりも当日よりも前の主張書面の準備が重要になります。

 

 なお、監護者指定事件では、最終的には調査官の調査報告書が作成されますので、書面提出のみではなく、調査官面接や自宅訪問が実施され、その際の様子も重要なポイントになります。

 ただ、このような調査官調査に入る前に、しっかりとこちらの言い分を裁判官や調査官にぶつけ、必要な裏付け資料は全て提出しておくことが最重要になりますので、いずれにしましても、口頭のやり取りではなく、書類のやり取り、特に裏付けのやり取りが重要であるという点は調停との大きな違いです。

 

(5)審判には原則本人は出席しなくて良いし、通常は出席しない

 調停手続の場合、仮に弁護士が代理人に就いたとしても、本人が調停手続に出席する必要があります(弁護士も同席します)。

 これに対して、審判の場合、代理人が法廷に出席すれば良く、本人が出席する必要はありません。

 審判の場合、上記の通り、書類のやり取りが中心になりますので、期日当日本人に事実確認をする必要がなく、御本人に出席していただく必要はなくなるのです。

 

 

3.審判の具体的イメージは?


  

 審判というと、よくドラマでやる様な相手を証言台に立たせて尋問することをイメージする方も多いと思いますが、実際の審判は大きく異なります。

 監護者指定事件の大きなイメージとしては、①第1回期日までにお互いの言い分をほぼ言い尽くしてしまう→②調査官による調査の実施(調査官面接や自宅訪問、関係先訪問等が実施されます)→③調査報告書に基づく調停の勧告もしくは審判の言い渡しという流れになります。

  お互いの言い分の矛盾した点等については、調査官面接時に調査官が丁寧に事情を確認していきますので、通常証人尋問のような手続は実施しないことの方が多いです。 

 

 

 4.まとめ


・審判手続は調停と比較してみてみると分かりやすい。

・比較の結果の大きな相違点は以下のようなものである。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では基本的に当事者本人が出席する必要がありませんが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 

 

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