2019.06.24更新

弁護士秦 

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。>「理不尽な離婚に対してNO!」旦那様側の夫婦関係総合サイトはこちら<になります。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.まずは復縁難易度のチェック


 

 実は、一口に奥様から調停を起こされたと言っても、状況に応じて復縁の難易度は変わってきます。具体的には以下の事情は特に大きな要素と言えます。

(1)まだ夫婦が同居中かどうか

(2)奥様が弁護士を雇っているか

 

 まず、奥様が調停を起こしてきたけれども、まだ同居して生活しており、近い将来別居する様子がないという場合、調停を起こされたと言ってもまだ復縁の可能性は多少なりとも上がると思います。

 

 逆に、奥様が弁護士を立てているという場合、弁護士費用を支払ってでも別れたいということですから、一般的に復縁の可能性は下がると言えます。

 まずは、上記の二つの事情をもとに、あなたの復縁難易度が上がるのか下がるのか検討してみて下さい。

 

 

2.そもそも奥様が調停を起こしてきたことの意味合いとは


 

 奥様が調停を申し立ててきたと言うことは、一般的には「真剣に離婚について話をしたい」という意味合いに捉えるべきだと思います。

 なお、あくまで調停は話し合いの手続ですから、判決で無理矢理別れさせられてしまうという誤解はしないで下さい。調停の席で判決が言い渡されることはありません。

 

 上記の様に奥様は離婚に真剣に向き合って調停という手続を利用しているはずですので、「安易に手続きを取った」という可能性は低いと思います。

 そのため、上記の様にまだ同居中であって、奥様が弁護士を雇っていなかったとしても、奥様は真剣に離婚の話し合いをしたい意向だという認識は持つ必要があります。

 

 

3.復縁を諦めるべきか


 

 奥様が真剣に離婚したいという気持ちなので、あなたとしても、「喧嘩別れの様な形にしたくない」という考えが頭をよぎることもあるかもしれません。

 もちろん、あなた自身も夫婦の関係が上手く行っておらず、逆に自分の方から離婚を持ちかけようと思っていた、と言う様な場合でしたら、特に離婚を争う必要はないと思います。

 

 しかし、あなた自身今離婚してよいのか迷いがあるということなら、簡単に復縁を諦めない方が良いと思います。今は奥様が感情的になって「離婚!」「離婚!」と言っているけれども、ほとぼりが冷めれば、ヨリを戻したいと言ってくる可能性も皆無ではありませんし、夫婦の間にお子様がいる場合、お子様の気持ちも考慮する必要があります。

 そのため、私の方からは、「離婚するのは簡単にできるけれども、一旦『離婚』と言ってしまうと、話を元に戻すことはできなくなりますよ」とアドバイスさせていただくことが多いです。もし離婚するにしても、3年後や5年後後悔する様な形の離婚だけはしたくないものです。

 

 

4.調停委員がやたらと離婚を勧めてくるのだが?


 

 あなたの方から見ていると、調停委員がやたらと離婚を勧めてくる様に見えてしまい、調停委員が中立な立場ではなく、「奥様の味方」になっているのではないかと感じる場面もあると思います。

 しかし、実際、調停委員は、お互いの話をまとめるために、奥様に対しては全く逆のことを話していることもありますので、安易に「調停委員が奥様の味方になっている」と考えない方が良いと思います。調停委員が、お互いの言い分をただ相手に伝えるだけのメッセンジャーの役割しか果たさなければ、話し合いがまとまるはずもありません。そのため、調停委員の役割として、あなたに多少厳しめのことを言うのも致し方ない面があります。

 

 また、離婚調停の大半は、夫婦円満ではなく、離婚の調停成立という形で解決されていますので、調停委員も自分でも強く意識しないうちに、離婚を勧めているというケースは多くあります。

 

 

5.まとめ


・調停手続に突入してしまったとしても、①同居中なのか、②奥様が弁護士を立てているのかによって復縁難易度は異なる。

・奥様が調停を申し立ててきたことは『真剣に離婚の話し合いをしたい』というメッセージと受けとめる必要がある。

・離婚するかどうかは、将来後悔しない様慎重に検討する必要がある

・調停委員が離婚を勧めてくるのは、立場上致し方ない面がある。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2019.06.17更新

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1.調停は裁判じゃない


 

 突如裁判所から調停の通知が来てしまいますと、「自分が裁かれてしまうのか?」という不安に陥る方も多いと思います。

 しかし、調停は、裁判とは根本的に違います。

 

 離婚調停とは、一般的には、ご夫婦間で直接のお話し合いが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れてご夫婦間の話し合いを円滑に行いお互いの合意を目指す手続などと言われたりします。

 要するに、裁判所という場所で手続を行うけれども、あくまで当人同士の話し合いを基本にした手続だと言うことです。

 

 一般的な裁判は、証拠を提出して、原告と被告のどちらの言い分が正しいかを裁判官に決めてもらう手続ですので、この点で調停と裁判とは大きな違いがあります。

 

 

2.要するに、調停の場は白黒つける場所ではないということ


 

 前述の様に、調停は、裁判とは異なりますので、その場で白黒つける場所ではありません。旦那様の側の代理人をしておりますと、以下の様に誤解されている方もいらっしゃいますので、具体的に解説していきます。

 

(1)【よくある誤解1】家内を完膚無きまでに打ち負かせたい

 例えば、奥様がこちらに無断で別居した上で、弁護士を立ててきたとなると、こちらも臨戦態勢に入ってしまい、「相手をぎゃふんと言わせたい」と考える方もいます。

 もちろん、奥様が好き勝手の主張をしている場合、それをなすがままにしておくべきではないのですが、相手を「やっつける」ような体制で臨むのは危険です。

 

 まず、あなたが奥様との復縁を望んでいるという場合、奥様を徹底的に批判する態度で臨んでしまいますと、奥様は余計あなたへの気持ちが離れてしまいかねません。

 逆に、あなたも奥様との離婚を希望していた場合、奥様もあなたも離婚を希望しているため、この点を大きな争点とする必要性がなくなります(要するに、調停は話し合いの手続ですから、離婚については「お互いの話し合いが済んでいる」という扱いになりますので、敢えて奥様を徹底的に非難して、奥様の気持ちを逆なでする必要がないのです)

 

(2)【よくある誤解2】家内に落ち度があることの証拠を徹底的に集める

 例えば、奥様から送られてきたメールやSNSのメッセージにて、奥様が感情的になっている発言等を事細かに集めてくる方もいます。

 しかし、前述の通り、調停は話し合いの手続ですので、細かな証拠を収集しても、ほとんど調停委員は目を通してくれません(「お話しだけ伺わせて下さい」と言って引き取ってしまうと思います)。

 

 もちろん、証拠集めは、離婚裁判を視野に入れた場合には有効な手段なのですが、裁判にならずに調停で解決するケースも数多くありますから、今から「裁判ありき」で準備をしておくのではなく、目の前の調停に全力で挑む方が良いと思います(要するにまだ調停のステップなので、裁判ありきで準備を進めるのは「気が早過ぎる」ということです)。

 

(3)【よくある誤解3】調停委員に分かってもらうために長文の事実経過を準備しなくちゃ

 調停の手続は、調停委員が進行の指揮をしますので、もちろん、調停委員に、こちらの言い分を理解しておいてもらう必要がありますし、間違っても調停委員を敵に回す様な態度や言動は避けた方が良いです。

 

 ただ、あまりに長文の言い分を準備しても、調停委員は多数の事件を抱えておりますので消化不良を起こしてしまうだけです。

 また、長文の書類を準備してしまうと勢い奥様への非難の文言も増えかねません。そうしますと、奥様との感情的対立を招きかねません。

 そのため、あまり長文の経過説明等は避けた方が良いです。

 

(4)【よくある誤解4】調停委員が正解を出してくれる

 調停委員は、あなたと奥様の話の架け橋をしてくれる人物ですが、あくまで公正中立な立場に立ちますので、基本的に夫婦のどちらか一方の味方をする様な発言はしません。

 よく調停委員が、夫婦どちらの言い分が正しいか正解を出してくれると誤解している方もいますが、調停委員は、正解は出してくれません。

 

 よく使う調停委員のフレーズとしては「旦那さんの言うことは分からないでもないんですが、調停は過去の事実がこうだったと判断する場所じゃないんです」とか「旦那さんのおっしゃることを奥さんにも伝えましたが、奥さんはあくまで離婚を強く希望しているようです」といったものになります。

 従って、調停委員であったら分かってくれる、こちらが正しいと調停委員が分かってくれれば、調停委員は家内を説得してくれる、という考え方は間違いです。

 

(5)【よくある誤解5】家内が言ってきたことに対しては逐一反論する必要がある

 最近は減ってきているのですが、こちら側の方で、奥様が離婚したい理由が不明確であると主張した場合に、調停委員の要請で、奥様側から離婚したい理由を書き連ねた書類を提出してくるケースがあります。

 このような書面を受け取りますと、一語一句に至るまで、全て反論し尽くしたいと考える方もいますが、それをやってしまいますと、反論合戦になってしまいまして、冷静に話し合いをする環境が失われてしまいます。

 そのため、奥様の言い分全てに逐一反論する、事実を突きつけるという対応は避けた方が良いです。

 

 

3.調停では「正しさ」ばかりを追求すべきではない。


 

 もちろん、悪いことをしてもよい、婚姻中悪いことをしたとしても許される、という意味ではありません。ただ「正しさ」ばかりを追求しても、奥様からすると「窮屈」に感じてしまうと思います。

 

 そもそも、あなたは、奥様が「正しい」から結婚したのですか?奥様は、あなたが「正しい人」だから結婚したのですか?それは違うと思います。

 男女の関係なので、お互いの長所・短所も見つめながら、一緒に生活していきたいと考えたから結婚したのです。

 

 離婚のときの話し合いもそうです。

 「俺は間違っていない」「お前が間違っている」という姿勢では、奥様への非難に終始してしまい、結局仲直りの道は閉ざされてしまいます。

 あなたが離婚を考えていたとしても、奥様と「喧嘩別れ」の様に離婚するよりは、少しでも、しこりが少ない形で離婚できた方が良いと思います。

 その意味では、調停では「正しさ」ばかりを追求すべきではないと思います。

 

 

4.まとめ


・調停は裁判とは異なる。

・調停は白黒つける場所ではない。

・調停では「正しさ」ばかりを追求する姿勢は望ましくない。

 

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2019.06.03更新

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1.まずは調停申立書を読み解くこと


 

 調停申立書は簡単に目を通しただけでは見落としてしまうような項目も複数ありますので、しっかりと読み解く必要があります。

 この調停申立書をしっかりと読み解くことが答弁書等作成の大前提になるからです。

 

 

2.まず何を裁判所に提出すればよいかを把握する


 

 裁判所から送られた書類には色々な書類が入っているため、整理する必要があるのですが、あなたが提出しなければいけないのは、①答弁書(夫婦関係調整)、②進行に関する照会回答書(相手方用)、③連絡先等の届出書の3つになります。

 

 それぞれの書類の意味合いについて概説しますと以下の通りになります。

 まず、答弁書は、奥様からの離婚調停申立に対してどのように考えるかを記載する書類になりまして、あなたが提出する書類の中で一番重要な書類になります。

 

 「進行に関する照会回答書」は、今後の調停事件の進め方について、あなたの意見を記載する書面になります。裁判所としては、あなたに裁判所に出席してもらわないことには調停を進められないわけですから、あなたが調停に出席できるか、出席できない場合、いつなら出席できるのか等について、あなたの意見を求めているのです。

 

 最後に「連絡先等の届出書」は、裁判所からの今後のあなたへの連絡方法を記入する書類になります。

 このように「進行に関する照会回答書」と「連絡先等の届出書」は、事務連絡文書ですので、そこまで重要な書類ではありません。ただ、裁判所としても事件の整理にあたって必要な書類ですので、必ず調停期日の1週間前までには提出するようにして下さい。

 

 

3.答弁書の書き方


 

(1)そもそも答弁書は出した方が良いのか

 たまに私が質問を受ける中には「調停の日に裁判所に行って話をすればいいから、こんなもの出す必要ありますか?」とか「相手は弁護士を付けているから素人が書面を書くと揚げ足を取られそうだから、出さない方が良いんじゃないですか?」とか、「そもそも、調停は家内の我が儘で始まったことなので、調停の日に行く必要はないし答弁書なんか出す必要もないですよね?」といった意見を聴くことがあります。

 

 ただ、弁護士としては「極力答弁書は提出した方が良いですよ」という返答になります。と言いますのは、答弁書を提出しないと、調停委員は、あなたがどのように考えているのかがさっぱり分からないということになってしまいますし、裁判所としては、1週間前までに答弁書を提出して欲しいと要請しているわけですから、答弁書を提出しないという行動は、「裁判所の要請には従えない」という誤ったメッセージを送ることになりかねません。当然調停委員の印象も悪くなってしまいます。

 

 なお、調停手続に一切欠席すると言う人もいるようですが、調停の席に着かないと、相手の言い分が分からなくなってしまいますし、奥様は蔑ろにされたと感じてしまいますので、得策とは思えません。

 いずれにせよ、答弁書を提出しないと言うことにはデメリットしかないので、必ず事前に裁判所に提出するようにして下さい。

 

(2)答弁書を書き始める前に

 あなたの人生にとって裁判所から書類が届くという事態は稀な経験だと思いますので、調停申立書を受け取った瞬間に、焦ってしまう、何も考えられなくなってしまうだとか、逆に奥様に対する怒りの感情を抑えられないと感じてしまうなど、冷静でいられなくなってしまうことは普通のことです。

 ただ、だからといって、そのときの感情にまかせて答弁書を記載しては絶対にいけません。

 答弁書は裁判所に提出する書類で、奥様側も目にする可能性が高い書類ですので、慎重に記載する必要があるのです。

 

 そして、離婚はあなたの人生にとって1回や2回しかない重要な出来事ですので、答弁書を書き始める前に、冷静になってじっくりと離婚した方が良いのか、復縁した方が良いのかを考えてみて下さい。

 そのときには奥様への愛情がどのくらい残っているのか、これまでの夫婦の接し方、家族行事の様子、お子様との関係性等に色々と考えを巡らせた上で、結論を出して下さい。

 そして、その結論が出てから、答弁書を書き始めて下さい。ただ、いつまでも結論が出ないからといって答弁書を裁判所に提出しないわけには行きませんので、どうしても結論が出ない場合でも答弁書は提出して下さい。その場合の書き方についても後述します。

 

(3)答弁書の書き方

 1)まずは、離婚するかどうかにチェックを入れる。

  離婚で構わないと考えるか、離婚したくないと考えるかについては慎重に検討してもらうとして、その結論が出た場合には、答弁書の最初の項目である「円満に調整してほしい」「離婚したい」「検討中」のいずれかのチェックボックスにチェックを入れる必要があります。

  なお、離婚するか迷っている場合には、絶対に「離婚したい」にチェックは入れないで下さい。たまに、家内がここまで強く離婚を求めてくるなら「仕方ないかな」と諦めてしまって、「離婚したい」にチェックしてしまう人もいるのですが、そうすると、調停手続は、離婚の条件を決めるだけの手続になってしまいます。

  迷っていて結論が出ていないという場合には、最低限「検討中」にチェックして下さい。

 

 2)意見覧の記載

 「円満に調整してほしい」「離婚したい」「検討中」のチェックボックスのすぐ下に「意見」の覧があります。1行だけしか記載できない仕様になっていますが、あなたの意見があれば記載して下さい。

 例えば、円満に調整してほしい場合「子どものためにもしっかりと円満な家庭を築いていきたいと思っています」や「先日の夫婦喧嘩では乱暴な言葉を使ってしまいましたが反省しているのでやり直すチャンスをもらいたいです」といった形で簡潔に記載します。

 

 なお、調停委員に伝えたい項目が沢山ある場合には、答弁書に「別紙」を設けて、円満調整に向けての意見等を記載する方法や、答弁書とは別に陳述書を作成するといった方法もあります。ただ、あまり詳しい事情を記載してしまいますと、逆に奥様を刺激するという危険性もありますので、極力「意見」の覧に収まる範囲で記載した方が良いと思います。

 

 3)円満に調整してほしい場合

  この場合、「(付随申立について)」と書かれている以降の(1)から(7)については特に記載せず、大きく斜線を引いてもらう形で結構です。

  親権や養育費等は、離婚することが決まった場合に決定する事項ですので、あなたが離婚を希望しないのに親権等について意見を述べるというのは行動として矛盾してしまいます。ですので、(1)から(7)の箇所には斜線を引いておくのです(なお、空欄で提出してしまうと、裁判所の方から「書き漏れですか?」という問い合わせが来てしまうことがありますので、斜線を引いておいた方が良いでしょう)

 

 4)こちらも離婚に応じる場合

  この場合、「(付随申立について)」と書かれている以降の(1)から(7)についてもしっかりと記載する必要があります。

  奥様がお子様を育てていくことに不安がある場合には、あなた自身が親権者になるという意見を出すべきかもしれませんし、お子様と会えていない場合には、面会交流についての意見等も述べる必要があります。

 

  ただ、考えなければいけない項目が多すぎて整理が付かないという場合には、「検討中」にチェックを入れて、とりあえずは調停の席で話を聞きながら考えると言うことでも良いと思います。

  一番大事なのは、離婚の条件もあなたの人生にとって非常に重要な事項ですので、安易に妥協せず、投げやりにもならず、今後あなたが後悔しない選択をすべきということです。

 

 5)離婚するかどうか「検討中」の場合

  この場合、円満に調整してほしいという気持ちの方が優勢の場合、現時点では「検討中」にチェックせず「円満に調整してほしい」にチェックを入れた方が良いと思います。

  「検討中」としてしまうと、「条件次第では離婚も考える」と読めてしまいますので、円満に調整してほしいという気持ちがどちらかというと強いという場合「円満に調整してほしい」にチェックした方が、あなたの心境により近い表現になるからです。

 

  逆に、離婚の気持ちの方が優勢という場合でも、離婚という決断を決めかねているという場合には、現時点では「検討中」と記載して下さい。

  先ほども説明しましたように、現時点で「離婚したい」にチェックしてしまいますと、調停の場では離婚の付随条件を決めていくという流れになってしまうからです。離婚の気持ちが優勢だとしても決めかねているという場合には「検討中」にチェックするのがあなたの心境により近い表現になると思います。

 

 6)「2 申立書の『申立ての理由』について」の覧

  まず、同居日と別居日は、離婚原因や財産分与にも絡む重要な日付ですので、奥様が記載してきた同居日と別居日の記載に誤りがないかしっかりと確認して下さい。

  皆さん離婚するかどうかや離婚の付随条件にばかり頭がいってしまい同居日と別居日については「だいたいこんなもんでしょ」と簡単に回答してしまうこともあるのですが、重要な日付ですのでしっかりと確認する必要があります。

 

  次に「申立の動機」に対する意見については、奥様の主張が事実無根だという場合には、簡潔にあなたの意見を記載して下さい。例えば、暴力を振るったことがないのに調停申立書に「暴力を振るう」とチェックされている場合には、そのような事実がないことを記載することになります。

  なお、あなたの希望として夫婦円満を希望する場合、あまり奥様の申立動機に対して詳しい反論をしてしまいますと、そのことが夫婦不和の原因にもなりかねませんので、いわゆる「書き過ぎ」には注意して下さい。

 

 7)「3 その他」の覧について

  ここには、これまで記載した中で記載しきれなかった事項について記載することになります。

  よくありますのは、夫婦として円満を希望しているけれども、お子様と面会できていないことだけは不満があるので、お子様との面会について協議させてほしいとか、お子様の登校や学業成績について心配しているので、確認したい、といった要望を記載することになります。

 

(4)「進行に関する照会回答書」の書き方

 1)「1 別紙期日通知書の期日に出席できますか」

  まず、期日通知書の日時に出席できるか、あなたの日程を確認して記入して下さい。

  なお、「第1回期日には出席した方が良いですか?」という質問をよく受けますが、あなたの方でも弁護士を立てる予定で、弁護士の都合がつかないような場合には、第1回期日は欠席にして下さい(弁護士だけ欠席で、あなた本人のみは出席ということは通常せず、あなたも弁護士も欠席することになります)。

  逆に、あなたの仕事の都合がつき、調停期日にはあなた自身でまずは対応してみたいと考えているような場合、第1回期日は出席するようにして下さい。

 

 2)「2 最初の期日に欠席する場合、その後の期日について希望曜日をお書き下さい」

  あなたが第1回期日に出席できる場合、この「2」は空欄のままで大丈夫です。

  あなたが第1回期日に出席できない場合には、なるべく沢山候補日を記入して下さい。なお、調停の時間は、午前中は午前10時(但し、相手方は10時30分集合の場合あり)から12時頃まで(延長の可能性あり)、午後は午後1時30分(但し、相手方は2時00分集合の場合あり)から3時30分頃まで(延長の可能性あり)になりますので、その時間帯を視野に、出席できる日付を複数記入して下さい。

 

 3)「調停での話合いは円滑に進められると思いますか」

  この覧は参考程度の記載項目ですので、あまり神経質にならずに記載してもらって大丈夫かと思います。

  なお、離婚するかどうかや、その付随条件で意見対立が激しいようであれば「進められないと思う」にチェックして下さい。

  奥様の言い分が今一はっきりしない場合には「分からない」にチェックする形で問題ありません。

 

 4)「4 申立人の暴力等がある場合には、記入して下さい」

  あなた自身が奥様から暴力を受けた経験がある場合には記入して下さい。夫婦喧嘩がヒートアップして多少お互いに手を出し合う形になったというような話であれば、とりたてて記載しなくてもよいと思います。

  この記載項目は、例えば妻側が凶器を持参してくる危険性等もあるという場合には、調停委員も身の安全を考えなければならないといった問題もありますし、あなた自身に危害が加わらないような配慮も検討しなければならないので、設けられている項目だからです。

 

 5)「5 裁判所に配慮を求めることがあれば、その内容をお書き下さい」

  これは、前述の「4」の延長なのですが、相手からの暴力を受ける危険性等がある場合に、集合時間を相手とずらすなどの配慮を求めるといった記載をします。

 

(5)「連絡先等の届出書」の書き方

 あなたが裁判所からの書類を受け取りたい場所と、電話番号を記載する書類になります。

 通常は「申立書記載の住所のとおり」にチェックを入れ、あなたの携帯電話番号を記入することになると思います。

 

 

4.まとめ


・答弁書を書き始める前に、まず調停申立書を読み解く必要がある。

・答弁書を書き始める前に、「あなたにとって」離婚した方が良いかをしっかりと考える必要がある。

・答弁書には、離婚で後悔しないと決断しきっている場合以外には「離婚したい」とは記載しない。

・離婚したい場合と夫婦円満を目指す場合とで答弁書の書き方は異なるので注意しながら記載する必要がある。

・「同居日」と「別居日」の覧は軽視されがちだが、重要な日付なのでしっかりと確認して記載する必要がある。

・調停期日の1週間前までに届くように、答弁書、「進行に関する照会回答書」、「連絡先等の届出書」を提出する必要がある。

 

 

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