2021.06.07更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.今回の解説は「奥様側」の視点での検討


 

 即時抗告とは、第1審の結論が出た後に、その審判内容が正しいのかどうかを改めて高等裁判所に検討してもらう手続きになります。分かりやすく、第1審の手続を「第1ラウンド」とすると、即時抗告は「第2ラウンド」だと説明することもあります。
 監護者指定審判事件の第1審で敗訴した場合に、即時抗告すべきか否かは、旦那様側と奥様側とで検討要素等が異なります。
 今回は、「奥様側」の視点から検討します(「旦那様側」の視点は、別途ブログを準備しますので、そちらをご覧ください)

 

 

2.敗訴の意味をまずは理解する


 即時抗告すべきかどうかの検討に入る前に、第1審での敗訴の意味合いを解説します。

(1)旦那様の側が正式な監護者と指定されてしまったということ
 監護者指定審判事件で敗訴するということは、あなたが監護権を取得できず、旦那様が監護権を取得してしまったということになります。実質的には、あなたがお子様を育てていくよりも、旦那様が育てていく方が適任だと判断されたということを意味してしまいます。

 即ち、親権には大きく以下の権利を総称した権利と言われますが、そのうちの身上監護権を旦那様だけが持つ形になったという意味になります。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)
 従って、旦那様の方でお子様の居所指定権も持つことになりますので、こちらの方にお子様を引き渡すよう求めることはできなくなります。

(2)親権争いへの影響
 親権の判断要素と監護権の判断要素はほぼ同一ですので、監護権で敗訴した状態になってしまいますと、今後の離婚紛争の中で親権争い上圧倒的に不利になることは否めません。
 もちろん、旦那様が離婚を急いでおらず(もしくは、離婚そのものを希望しておらず)すぐに親権争いの問題が浮上しないということでしたら良いのですが、矢継ぎ早に離婚・親権の問題に直面しなければならないという場合には、監護者指定がなされたことは重要な判断要素になってしまいます。


(3)家庭裁判所が判断を下したことの重み
 監護者指定審判は、裁判官が必要だと考える調査等を実施した上で、適切だという判断を下しているのですから、やはりそれなりの重みをもつことになります。
 要するに審判手続きの途中の状態ですと、裁判所の正式な判断が下されていない状態ですので、当事者のお互いの立場は優劣がない状態となりますが、既に判断が下されてしまっていますので、こちらが即時抗告をするにしても劣勢からのスタートという位置づけになってしまうのです。

 

 

3.【奥様側から見た】即時抗告すべきかの判断ポイント


 

 奥様側から検討した場合の即時抗告すべきか否かの判断ポイントとしては主に以下のようなものがあります。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担

 以下詳しく解説していきます。

 

(1)お子様のことを考えた場合の理想は何か
 まず、一番大事な視点は、お子様のことを考えた場合の理想的な生活は何かという点です。
 まがいなりにも、第1審の裁判官が、旦那様と暮らす方がお子様のためになると判断しているのですから、それなりの事情があっての判断だと思います。
 普段のお子様の様子や気持ちなどは身近にいるあなたが一番よく分かっていると思いますので、お子様にとって何が一番理想と言えるのかという視点が大事だと思います。
 そのような視点からしっかりと検討した結果、やはりあなた自身が育てていく方がお子様にとっては理想だと断定できるのであれば、即時抗告を躊躇すべきではないと思います。

 

(2)第1審での敗因の分析
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢
 あなたの事件での敗因は、上記の6個の要素の複数の項目であなたが奥様よりも不利であるということにあると思います。
 第1審の調査報告書も改めて見返したうえで、何が敗因だったのかをしっかりと分析し、その敗因をリカバーできるだけの要素があるのか、敗因を逆転できるような証拠等があるのかを慎重に分析する必要があります。


(3)即時抗告での手続きの負担
 監護者指定事件は、旦那様側から奥様宛てに起こされるケースが大半でして、奥様からしてみると、そもそも、あまりこのような手続きに関わることは消極姿勢であるということも多いと思います。
 特に、監護者指定審判事件では、旦那側から、奥様の育児の不備等について色々と指摘がなされますので、旦那様側の書面を見るにつけて嫌悪感を抱くというケースも多いと思います。
 即時抗告を申し立てるということは、このような負担がさらに長引いていくことを意味しますので、その心理的負担は避けられません。
 また、即時抗告をする場合には弁護士抜きでは戦えないでしょうから、手続きを取るための弁護士費用などもかかってきます。このような経済的負担も考慮しなければいけません。

 

 

4.どの弁護士に依頼するのか


(1)即時抗告すべきか否か迷ったときにはセカンドオピニオンを取ってみるのも良い
 前述の通り、即時抗告すべきか否か判断するにあたっては、第1審の審判で示されたこちらの敗因をしっかりと分析する必要があります。
 基本的には、これまで依頼していた弁護士に意見を聴くことになりますが、その弁護士の言動等に不安を覚えるようであれば、他の弁護士の意見を聞いてみるという方法もあり得ます(いわゆるセカンドオピニオン)。

 

(2)弁護士を変更すべきか
 それでは、即時抗告をしていくという方向になった場合に、弁護士を維持するのかという問題があります。
 結果的には、第1審で敗訴していますので、即時抗告というタイミングで弁護士を変更すべきかを検討するのです。
 率直に言いますと、第1審の結論だけから弁護士を変更することはオススメしません。

 第1審の手続を戦っている間、その弁護士の弁護活動にそれなりに満足して手続を進めることができていたということであれば、無理に弁護士を変えて臨むよりも、弁護士はそのまま戦ったほうが十分な準備ができると思います。
 特に即時抗告にあたっては、審判書を受領してから2週間以内に即時抗告を申し立て、その更に2週間以内に抗告理由書を提出しなければなりません。これらの書類は即時抗告にあたって、いわゆる「即時抗告の顔」となるような重要な書類ですので、しっかりと準備する必要があります。
 新しい弁護士を探し、その弁護士に第1審の記録を精査してもらい、十分な準備を整えるという場合、上記の期間的制限があると、かなり活動が制限されてしまうのです。

 

5.まとめ


・監護者指定審判事件での敗訴の意味合いをしっかりと把握する
・奥様側から即時抗告すべきか判断するにあたっては、以下のような要素を検討する。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担
・即時抗告するか迷った場合にはセカンドオピニオンをとっても良いが、弁護士の変更はあまりオススメではない。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.05.31更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.そもそも「監護者」って何だ?



(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 



2.監護補助者って何だ?


 

 監護補助者とは、字句の通りなのですが、あなたの育児を補助してくれる人のことを言います。
 今後継続してあなたのことを補助してくれる特定の人物になりますので、あなたの両親や兄弟姉妹・親戚等の親族が監護補助者になることが一般的です。
 なお、家事代行業者等は、育児の補助をしてくれることもありますが、こちらが対価を支払って依頼しているものですし、派遣される担当者の変更が生じることもありますので、基本的に監護補助者には当てはまりません。
 監護補助者については、あなた自身で適任者を探し、「子の監護に関する陳述書」などに、補助者の氏名・住所等を明記していくことになります。

 

 

3.監護補助者の有無等は重要か?


 

 たまに、旦那側は両親や兄弟など複数人監護補助者を立てているのに、こちらは、実家が遠方等の理由で監護補助者がいないというケースもあります。
 そのような場合多勢に無勢で、こちらの方が不利に感じてしまうこともあります。
 ただ、監護補助者はあくまで補助してくれる人物にとどまりますので、その有無や人数はあまり大きな判断要素にはなりません。
 もちろん、監護補助者がいれば、あなたが突発的な病気で体調を崩しているようなときも安心ですから、簡単に依頼できる親族等がいるような場合には、頼んでおくに越したことはありません。
 ただ、実家が遠方等で依頼することが難しいような場合には、無理に監護補助者をつける必要性は低いと思います。

 

 

4.重要な判断要素で拮抗していると重視されることもある


 

 前述の通り、監護補助者の有無等は、本来重要な判断要素ではありません。ただ、「全く考慮されない」というわけでもないことには注意が必要です。
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢

 多くの事件では、上記の6個の重要判断要素を総合して検討し、有利な方が勝訴するということになります。


 ただ、ケースによっては、この6個の重要判断要素を総合検討しても、裁判官が判断に迷うというケースがあります(例えば、過去の監護実績という点では夫婦同等程度で、別居が奥さん側がかなり強引だった、現在のお子さんの様子を見るとそれほど不安定ではないが、別居がかなり強引だったので、登校面でも多少支障がある、しかも、奥さんは旦那側との面会交流を断固拒否しているというように、お互いに有利不利な点が数多くあるため、裁判官が判断に迷っているといったケースです)。
 そのような場合には、裁判官は上記の重要判断要素ではない、他の点で優劣を決する場合があります。その時に監護補助者の有無が重視されることもあるのです。

 



5.まとめ


 

・監護補助者の有無や人数は本来重要な判断要素ではない。
・ただ、重要な判断要素で拮抗しているときには重視されることもある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.05.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.そもそも「監護者」って何だ?



(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 



2.妻側の体調がどこまで重視されるか?


 

(1)旦那側からどのような言い分が述べられるのか?
 旦那側が監護者指定事件を起こす思惑は様々なのですが、審判事件を起こしている以上、その理由付けをしていく必要があります。簡単に言いますと、旦那のもとでお子様を育てたほうが良いという理由付けをしなくてはいけませんので、裏を返すと「妻のところで育てていくことは不適当だ」という主張を展開してくるのです。

 概要ですが以下のような主張がなされたりします。
① 同居中から妻は飲酒量が多く、酔ってしまうと子供の面倒がおろそかになっていた
② 妻は疲労のためかボーっとしていることが多く、調理している食材を焦がしてしまったり、キッチンでボヤ騒ぎになってしまったこともある
③ 妻は持病持ちで、症状が出ているときは数日寝込んでしまうこともあったので、その間子供の面倒を見られるはずがない
④ 妻は精神疾患を患っており、感情の制御が利かないので、子供にきつく当たっていないか心配である
⑤ 妻は元々朝が弱く、専業主婦をしているときから朝食の準備をしたことがないし、子供の通学準備等をしたことすらも一切ないくらいである
⑥ 妻は元々体が弱く、そのため、一度も社会に出て働いた経験がないので、子供を一人で育てていけるとは思えない。

 上記をご覧いただくと分かりますように、半ば言いがかりに近いような主張もありますが、裁判所が、あなたの体調面で不安を感じてしまいますと不利に扱われる可能性もありますので、十分注意する必要があります。

 

(2)体調面はどこまで重視されるか?
 大まかに言いますと、あなたの体調面で医師の正式な診断が出ているかどうか、その症状が日常生活にどの程度の支障を及ぼすのかが大きなポイントになります。
 逆に言いますと、あなたが日常生活で多少体調を崩すことがあったとしても、「病院に行くほどではない」ということであれば、体調面が監護者指定審判事件で悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
 他方で、医師の診断が出ており、現在も通院中であるといった場合には、慎重に臨む必要になります。特に審判手続きの中で、裁判所側からあなたのカルテの開示を求められるような場合には、裁判所もあなたの体調について不安を持っているという証拠ですので、必要に応じてカルテの詳細をしっかりと説明するなど、十分な準備を整えていく必要が出てきます。

 

(3)体調不安を払しょくするには、働いてしまうことが端的ではある
 あなたが夫と離婚しお子様との生活を希望している場合には、遅かれ早かれ仕事に就くことが必要になってくると思います。
 そして、例えばフルタイムで週5日働いているようであれば、裁判所もあなたの体調について不安に感じることは少ないと思います。
 ただ、お子様がまだ幼いような場合には、とても週5日も働くことができないということも多いでしょうし、「働く」ということを優先した結果、お子様の育児がお揃下になってしまっては本末転倒です。
 また、専業主婦をしていた期間が長い場合には、急に週5日も働くということは一般的に難易度が高く、長続きしないこともあります。そのことであなた自身が大きく体調を崩してしまっては元も子もありません。
 そのため、実際に働き始めるということは、体調不安を払しょくする切り札になり得るものの、お子様の年齢や状況、あなた自身の体調も考慮しながら慎重に検討する必要があります。


(4)夫からのモラハラ等が体調不良の原因だという主張は有効か?
 私は、監護者指定事件だけではなく、モラハラ・DV離婚のケースも数多く手がけますので、「夫と一緒にいると滅入ってしまうが、別居して生活するとかなり安心して体調も良くなってきています」とおっしゃる方も多いです。
 ただ、あなたの主治医が、あなたの体調不良の原因を夫からのモラハラと明確に断言してくれれば良いのですが、なかなかそこまでは断言してくれないケースの方が多いと思います。
 そうすると、いくらモラハラ被害を数多く訴えても、そのことが体調不良につながっているということを裁判所に理解してもらうことは難しいと思います。
 もちろん、そのモラハラの内容が暴力にまで発展しているなど程度が重いケースであれば、あなたの体調不良に直接関係すると判断される可能性も高いのですが、そこまでに至らないような場合には、あまり過去の経緯を体調面と絡めて主張することは有効ではないかもしれません。

 

 

3.まとめ


 

・あなたの体調面が重要視されるかは、あなたの体調について正式な診断が出ているかどうかが重要である。
・正式な病名がついているような場合には、その症状が日常生活にどのような支障を及ぼしているのかという点も重要になってくる。
・体調不安を払しょくするには、あなたが働き始めてしまうのが端的だが、お子様の年齢や状況、あなたの体調面にも十分配慮する必要がある。
・あなたの体調面に絡めて同居中のモラハラを主張することは、そのモラハラ等重い場合には有効だが、そうではない場合有効とは言いにくい。

 

 

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2021.05.10更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

 

1.そもそも「監護者」って何だ?



(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.妻側であれば監護者指定事件ではほぼ確実に勝てる?


 

 私は、他の弁護士が担当している事件についてのセカンドオピニオンを受ける事等もあるのですが、妻側だというだけで「監護者指定は大丈夫なので、安心して下さい」とか「そんなに準備しなくても勝てるので、準備するだけ無駄です」などとアドバイスしている弁護士を見かけることもあります。
 特にお子さんの年齢が幼いような場合には、妻側が有利なことは事実です。

 

 しかし、審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になります。また、監護者の指定は複数の要素を総合して検討されますので、妻側であるというだけで安易に考えることは非常に危険だと思います。

 さらに、現状あなたがお子さんの面倒を見ているかどうかでまた情勢が変わってきます。
 以下では、①現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケースと、②現在あなたがお子さんの面倒を見ているケースとで場合分けして解説します。

 

 

3.現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケース


 

 例えば、夫からのモラハラに耐えかねて、夫に黙って別居の準備をしていたところ、そのことが夫にバレてしまった、そうしたところ、夫が子供を連れて実家に行ってしまい、今はあなた一人で生活している、といったケースです。

 このようなケースですと、率直に言いますと、「妻側である」というだけで勝訴することは非常に困難だと考えてもらったほうが良いです。
 なぜなら、監護者指定事件で最も重視されるのは、現状お子さんを夫婦のどちらが育てているのか、そのような生活状況に問題がないのかという点だからです。

 旦那側の実家での生活がお子さんにとっても安定している状況の場合、残念ながらこちらが不利な状況にあると認識したほうが良いと思います。
 ただ、このようなケースでも十分戦っていく余地は十分にあります。
具体的には、①旦那の別居前に育児を主に担当していたのが妻であるという点、②旦那の別居が子の連れ去りであるという点をしっかりと証拠をつけて戦っていくということになろうかと思います。

 

 

4.現在あなたがお子さんの面倒を見ているケース


 

 あなたが、お子さんと一緒に別居を開始したが、旦那に事前に伝えずに別居したということもあって、旦那側が監護者指定審判事件を起こしてきたというようなケースです。
このような場合には、現在あなたがお子様の育児を担っていて、また、女性側ということもありますので、審判手続きにおいて、あなたが有利なことは事実です。

 

 しかし、以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定事件は以下の要素を重要な判断要素とし、総合的に検討されることが多いです。
1)過去の監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢

 従いまして、現在あなたがお子さんの面倒を見ており、お子さんが健全に成長していたとしても、他の要素で大きく不利な場合には、監護者指定審判事件で敗訴してしまうこともあり得ます。
前述の通り、監護者指定審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になりますので、しっかりとした準備をして臨むことが必須になります。

 

 

5.まとめ


・あなたが現在お子様の面倒を見ていない場合には、妻側だということだけで有利だという発想は捨てたほうが良い。
・あなたが現在お子様の面倒を見ている場合、妻側が有利であることは事実だが、監護者は様々な要素を総合して検討するので油断は禁物である。

 

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>モラハラ夫から突如起こされた監護者指定審判で勝訴したケース

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきたー夫はどういうつもりでこんな手続きを取ってきたのか?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきたー「連れ去り」になるケースって?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきたーこちらも離婚を決断しなくてはいけないのか?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきたーこちらが無職だとどの程度不利になるのか?

>監護者として指定されるための6個のポイント

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.04.26更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

 



1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。


 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)


(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。


(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.こちらが無職だとどの程度不利になるのか?


(1)こちらが無職だと、夫側は「収入がない人間だと、子供の生活費を払えないのだから、子供と暮らしていく権利がない」とか「自分の方がしっかりとした定職と収入があるので、子供の将来のことを考えると、自分が子供を育てたほうが子供の将来にとって絶対にメリットが大きい」と言ってくるケースもあります。
 このように言われてしまいますと、あなたとしても監護権を取れるのか不安に陥ってしまうと思います。
ただ、結論から申しますと、無職であることは、監護者指定にあたって、そこまで重要な判断要素ではありません。


(2)重要なのは現在の収支が成り立っているかどうかという点
 監護者指定審判手続きでは、あなたの収支の状況も一判断要素として検討対象になります。
 そのため、最低限あなたの現状の収支バランス(例えば、月次の収支)が成り立っていることは必要になります。


 ただ、このような収支バランスを成り立たせる方法としては、一時実家に身を寄せて実家の支援を受けながら生活するとか、生活保護を受けながら生活するということでも構いません(現に、私が担当した事件でも、生活保護でも監護者に指定された事件はあります)


(3)現在あなたがお子様を育てているという状況は大きなアドバンテージになる。
もちろん、監護者指定審判手続きにはしっかり準備して臨む必要があります。
 ただ、あなた自身の勝率といった場合、あなたが現在お子様と一緒に住んでいるということが大きなアドバンテージになっています。
 現状の監護者指定手続きにおいては、「今誰がお子様を育てているのか」という点を最も重視するからです(法律用語的には「現状の監護状況」などと言ったりします)。
 そのため、あなたが無職であるという事情よりも、「現状の監護」が重視されて判断されるのです。

 

 

3.重要な判断要素で拮抗していると重視されることもある

 


 

 前述の通り、あなたの経済状況は、本来重要な判断要素ではありません。ただ、「全く考慮されない」というわけでもないことには注意が必要です。

 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。

1)監護実績

2)連れ去りの違法性

3)現在の監護状況

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)面会交流の姿勢

 

 多くの事件では、上記の6個の重要判断要素を総合して検討し、有利な方が勝訴するということになります。

 ただ、ケースによっては、この6個の重要判断要素を総合検討しても、裁判官が判断に迷うというケースがあります(例えば、過去の監護実績という点では夫婦同等程度で、別居が奥さん側がかなり強引だった、現在のお子さんの様子を見るとそれほど不安定ではないが、別居がかなり強引だったので、登校面でも多少支障がある、しかも、奥さんは旦那側との面会交流を断固拒否しているというように、お互いに有利不利な点が数多くあるため、裁判官が判断に迷っているといったケースです)。

 そのような場合には、裁判官は上記の重要判断要素ではない、他の点で優劣を決する場合があります。その時に経済状況が重視されることもあるのです。

 

 

4.まとめ


・あなたが無職であるということは監護者指定にあたってはそれほど重要な要素ではない。
・むしろあなたの現状の収支バランスがとれていることの方が重要である。
・あなたが現実にお子様を育てているという事情は監護者指定手続きで大きなアドバンテージになる。

・監護者指定の6個の重要判断要素で実力が拮抗している場合には、経済状況が考慮されることもあるので注意が必要である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.04.19更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

 



1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。


 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)


(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。


(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.子供が不登校になってしまっていると、どの程度不利になるのか?


 お子様が不登校になっておりますと、まず第1にお子様の今後のことで不安が大きいと思います。そのことに加え、夫側から監護者指定審判が申し立てられていると、不登校になっていることがこちらに不利になるのではないかと余計不安になると思います。
 不登校の問題は、別居前から不登校だったケースと別居後に不登校になってしまったケースとでは状況が異なってきますので、場合分けして解説していきます。


(1)別居前から不登校だったケース
 別居前から不登校で、別居後も不登校の状態が続いてしまっているというケースです。
 この場合、別居前から不登校の状態だったのですから、特に別居の影響や別居後の養育の問題ではありませんので、お子様の不登校がこちらに不利に働く可能性は高くないと思います。


 ただ、この場合でも、例えば、こちらが専業主婦だったような場合ですと、夫側から「専業主婦なのに子供をまともに学校に行かせることもできなかった」などと責め立ててくる危険性もありますので、不登校の原因究明と、その後のケアについては、しっかりとあなたの言い分を裁判所に伝えていく必要が出てきます。


(2)別居後に不登校になってしまったケース
 別居前は通常通り登校できていたのに、別居後に不登校になってしまったという場合、夫側は、こちらの養育能力を厳しく追及してくると思います。
 ただ、不登校になってしまったのが別居後だったとしても、こちらに不利に働くかどうかは、その原因次第というところではないかと思います。


 例えば、別居後こちらがパート時間を長くした関係で、お子様が一人で自宅にいる時間が長くなり、そのことでお子様の情緒が不安定になってしまっているというようなケースですと、こちらに不利になってしまうことは避けられないと思います。
 他方で、同居中は、夫からの暴言をしきりに受けていたが、別居して暴言被害がなくなったので、お子様が伸び伸びと生活できるようになって、一時的に不登校のような形になっているということでしたら、あまりこちらに不利にはならないと思います。


 また、監護者指定審判手続きにおいては、その後の不登校解消に向けた取り組みの内容が非常に重要になってくると思います。これは、お子様を無理にでも学校に登校させればそれで良いというわけではありません。無理に学校に登校させようとした結果、余計にお子様が反発してしまうこともあるからです。
 例えば、お子様を心療内科等に連れて行き、原因究明・原因除去に努めていくこと、学校の担任の先生やスクールカウンセラーと連携していくこと等が重要になってくるのです。

 

 

3.お子様が不登校の場合、審判手続きにおいてどのような準備が重要になるか


 

(1)まずは通知表の準備

 前述の通り、お子様が別居前から不登校だったのか、別居後に不登校になってしまったのかという点は非常に重要なポイントになりますので、どちらかだったのかについて証拠で明らかにしていく必要があります。具体的には、お子様の通知表を見れば、登校状況が端的にわかりますので、まずは、通知表を準備するということになります。

 

(2)現状の不登校の原因究明

 次に重要になってきますのが、現状の不登校の原因究明と、それに対する対処という部分になります。お子様を心療内科等に連れて行き、どのような問題を抱えているのかの把握、その問題を踏まえての対応を学校の担任の先生やスクールカウンセラー等と相談していくという作業が非常に重要になります。

 たまに、「しばらく子供の様子を見守りたい」とおっしゃる親御さんもいらっしゃいますが、このような形ですと「何ら抜本的な対策を取っていない」と評価されてしまうリスクもありますので、得策ではないと思います。

 

(3)同居中の旦那側からの言動の影響が大きい場合

 いわゆる同居中旦那側から虐待を受けていたというようなケースです。そのような場合には、虐待を示す証拠を準備することが重要になります。お子様が殴られて怪我をしたといった事情がある場合には、診断書や痣の写真などがあると、非常に有効な証拠になります。

 

 

4.まとめ


・別居前から不登校だった場合、こちらに不利になる可能性は高くない。
・別居後から不登校になってしまった場合、こちらに不利に働くかはその原因が大きく影響する。
・別居後の不登校の問題については、不登校解消に向けた取り組みの内容が重要になってくる。

・これらを踏まえた審判向けの準備を整えていく必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.04.05更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。



1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。


 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)


(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。


(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.子の心情調査って何だ?


 子の心情調査とは、お子様の意向を家庭裁判所調査官が直接顔を合わせて確認する手続きのことを言います。

 「心情調査」と堅苦しい言い方をしますと、何かの脳波検査等をするのかとか、うそ発見器をつけられて話をするのか、とか色々と心配になってしまうかもしれませんが、要するに、お子様と調査官が面接をして、その内容を調査官が聞き取る・書き取るという手続きになります。


 私もこのような事件の担当をしておりますと、ご依頼者の方からいろいろとご質問を受けるものですから、その中から特によく質問を受ける内容等について、解説していきます。


(1)何歳くらいから心情調査を行うのか?
 東京家庭裁判所の運用を見ておりますと、就学年齢(既に小学校に通っている年齢)に達した後ですと、一般的に心情調査を行っていると思います。


(2)どのように行うのか?
 一般的には、お母様とお子様とで裁判所に来てもらい、家庭裁判所調査官とお子様の二人だけで話をして確認するケースが多いです(つまり、お母様はその場に立ち会えず、お母様だけ裁判所の待合室等で待っているという形をとる)。なお、お子様の様子の確認等の目的で調査官補が一緒に立ち会うこともあります。
 お子様がお二人、三人というケースでも、心情調査は、個別面接で行うことが多く、兄弟姉妹全員が一緒に調査官と面談するということは基本的にしません。


(3)どんなことを聞かれるのか?
 一般的には現在の生活状況のこと、別居の経緯とそのことについてのお子様の認識、別居前の生活状況、今後のこと等を尋ねられることが多いです。
 調査官はご夫婦のお互いの言い分を踏まえたうえで、お子様に確認したい事項をその場で全て確認することになりますので、所要時間は1時間程度になることが多いです(但し、心情調査の直前に交流場面調査を行っている場合や別居経緯等について夫婦の意見対立が少ないなどの事情がある場合には、30分程度ということもあります。一般的にはお子様の年齢が小さいほど調査時間を短めにしようと努める調査官が多い印象です)。

 

(4)学校を休まなくてはいけないのか?

 一般的には、①長期休暇(夏休みとか)が近い時期に心情調査を実施する場合には、長期休暇中に心情調査するという形が多いですし、②夕方の時間に心情調査を行うという形にして、極力通学に影響しない形で日程調整することが多いです。なお、裁判所は土日祝日は開いていませんので、平日での日程調整ということになります。

 

(5)事前にレクチャーしておいたほうが良いのか

 たまに、どのようなことを聞かれるのかを事細かに想定して、「こう聞かれたらこう答えて」というようにきめ細かく準備しようという方もいらっしゃいます。

 ただ、このようにきめ細かい準備をすると、お子様は調査官に対して「事前に決まっていること、覚えていることを話そう」と必死に考えてしまいますので、そのことを調査官に見破られてしまうことの方が多いです。

 心情調査は、お子様の面接試験ではありませんので、①今お父さんがあなたと一緒に暮らしたいということで裁判所に手続きになっている、②そのことで調査官という人があなたの気持ちを聞きたいと言っているので、思っていることを話してね、という程度の伝え方のほうが良いと思います。

 

(6)家庭訪問の時に一緒にやるのか?

 一般的には家庭訪問とは別日に、裁判所の一室で実施するケースの方が多いです。

 お子様もいきなり初対面の家庭裁判所調査官に対して、率直な意見を述べることは難しいと思いますので、家庭訪問の時に、いわゆる「顔合わせ」をし、その後に「別日」で改めて詳しい事情を確認するという形を取るということです。

 

 

3.子の心情調査は避けられないのか?


 前述の通り、お子様が既に小学校に通う年齢に達している場合には、通常心情調査を行います(逆に、未就学という場合には、お子様も自分の意思等を正確に表明できないことも多いので、心情調査は行わないということの方が多いです)。
 ただ、「お子様が調査官と面接する」と聞くと、面接試験を受けるようにイメージしてしまうかもしれませんが、特に調査官もお子様を問い詰めたりはしませんので、面接試験というのとは異なります。

 お子様にとっては心理的負担となる手続きではありますが、監護者が決まると、お子様は父親と母親どちらかと一緒に暮らしていかなければならず、このことは、お子様にとっても非常に大事なお話になります。そのため、裁判所も、お子様の意向を確認しておきたいということになるのです。 

 

 

4.まとめ


・お子様が就学年齢に達していると、通常心情調査が実施される。
・心情調査は、お子様の面接試験というのとは性格が異なる。
・心情調査は、裁判所内の一室で調査官とお子様の二人が面接して行う形がオーソドックスである。
・心情調査の所要時間は1時間から1時間半程度のことが多い。

・心情調査の日程は学校の予定等にも極力配慮してくれる。

・心情調査はお子様の面接試験ではないので、細かいレクチャーはしない方が良い。

 

 

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2021.03.29更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

 



1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。

 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。


 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)


(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。


(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.別居の思いは様々


 固く離婚を決意して別居を始める方もいますが、そうでなく、例えば以下のような気持ちで別居を始めたという方もいると思います。
① 夫からの暴力があり、警察に通報したところ、警察から自宅に戻らないほうが良いと言われたため実家に身を寄せたが、離婚するかどうかは夫としっかり話をして決めたいと思っていた。

② 夫からのモラハラがつらくて、ともかく体調改善のために別居した。

③ 自分だけならまだしも、夫の子供に対する対応が悪化していったので、子供のことが可哀想で別居に踏み切った。

④ 夫が頻繁に「出ていけ」というので、その通りにしてみたが、今すぐ離婚したいわけではない。

⑤ 今は夫の顔を見たくないので、冷却期間ということで別居を始めた。

⑥ 夫が生活費をほとんど渡さなくなったので一緒に住んでいる意味がないため、実家に一時身を寄せることにした。夫が生活費を渡してくれるようなら今すぐ離婚したいわけではない。

⑦ 夫とはいずれ離婚になると思うが、今はまだこちらも復職等ができていないので、別居後復職の目処が立ってから離婚の話をしようと考えていた。

 

 

3.離婚を決断しなければならないのか?


 監護者指定審判は、直接的にはお子様に関する紛争ですが、あなたとの対立も厭わないという意味も含まれていますので、そのことは厳粛に受け止める必要があります。
 しかし、監護者指定審判を起こされたから、即離婚を決断すべきかというと、そうでもありません。


 離婚を決断すべきかは、主に以下の点を慎重に検討する必要があると思います。
① 今後の夫婦関係についてのあなた自身の思い
② 今後の生活(経済的な面)の考慮
③ お子さんとの兼ね合い

 

(1)要点①)今後の夫婦関係についてのあなた自身の思い

 端的に申しますと、旦那様との未練のような感情がどの程度あるのか、今回の別居の発端となった事情についての改善がどこまで見込めるのかといった点です。

 離婚はあなたの今後の人生にとってもとても重要な決断になります。今は(監護者指定事件において)争っていても、一定の期間を置けば仲直りの可能性があるとか、今回の旦那の言動は許せないけれども、いつも言葉遣いが悪いわけではないというような場合には、あまり焦って離婚を決断しないほうが良いかもしれません。

 

(2)要点②)今後の生活(特に経済面)への考慮

 現状は婚姻中というところもあって旦那側が十分な生活費を払ってきているとか、旦那名義のクレジットカードを自由に利用できているけれども、離婚となると、あまり生活費を渡してこなくなるリスクがあるといったことも一つの考慮要素になります。法律上は一度養育費の金額をしっかりと決めれば、相手にその金額を請求する権利が保障されるのですが、残念ながら、その支払いが持続しないというケースも多いのが実情です。

 また、お子様が私立校に通っているような場合には、相当額の学費がかかってきますので、経済的事情を無視できないというケースも多いかと思います。

 もちろん、離婚が正式に成立すれば、公営住宅の申し込みがしやすくなるとか、シングルマザーとしての公的支援を本格的に受けられるようになる、といった大きなメリットもありますので、必要に応じてお近くの区役所・市役所に、あなたのお住まいの地域での公的支援の詳細は確認しておいたほうが良いと思います。

 

(3)要点③)お子さんとの兼ね合い

 端的な言い方をしますと「良い夫ではないけれども、良い父親ではある」といったケースです。特にお子様自身が旦那様のことを慕っているとか、旦那様がお子様のことを随分と可愛がっているというような場合には、離婚すべきかどうか慎重に見極める必要があるかもしれません。

 なお、たまに「片親になると子供にとって不憫だと思う」ということをおっしゃる方もいますが、最近は離婚なさるご家庭も増えてきていますので、一概にそのようには言えないかと思います。

 


 率直に申しますと、監護者指定審判手続きで争っていく場合、書面の応酬等で夫婦仲は一層悪化していきますので、監護者指定審判の結論が出るころには、「やり直したい」とはとても思えないというケースの方が多いかと思います。
 ただ、離婚するかどうかはあなた自身の今後の人生、お子様の今後の人生にも大きな影響があるお話なので、その時々の感情で判断するのではなく、今後も見据えて慎重に検討したほうが良いと思います。監護者指定事件で争っていると、冷静な判断が難しいというような場合には、ひとまず監護者指定事件の手続き中は離婚のことは一切考えないようにして、この事件が解決した後にじっくり検討するという形でもよいかもしれません。

 

 

4.まとめ


・別居の思いは様々で、即離婚したいというつもりではないことも多い。
・監護者指定審判を起こされたから「即離婚」ということではなく、以下の点も考慮して、慎重に検討したほうが良い。
① 今後の夫婦関係についてのあなた自身の思い
② 今後の生活(経済的な面)の考慮
③ お子さんとの兼ね合い

・監護者指定審判手続き中は冷静な判断が難しいという場合には、この手続きが終わってから離婚すべきかどうか慎重に検討するということでもよいかもしれない。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.03.15更新

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こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

 


1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。


 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)


(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。


(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.「子の連れ去り」という主張をなされるケースは多い


 監護者指定手続きでは、とかく、旦那様に断りもなく別居したことや、事前に相談していたものの旦那様が反対している中での別居が「子の連れ去り」にあたるという主張がなされることが多いです。
 ただ、このように旦那様の側の了解を得ていなかったとしても、そのことだけで、違法な連れ去りになるということではありません。

 

 旦那側の了解を得ずに別居したとしても、同居中旦那側からのDVやモラハラに苦しんでおり、事前に話をすると別居を妨害される危険性があったとか、もしくは、旦那側からのDVやモラハラが強まる可能性が高かったなど、一定の事情があって別居を開始しているケースが大半だと思いますので、そのような場合には、相手の了解を得なくともやむを得ないと言えます。

 とはいっても、旦那側から「連れ去り」「違法」などと言われているのを放っておくわけにはいきませんので、旦那の主張に対してはしっかりと反論していかなければいけません。

 そのため、裁判所はどのようなケースを「連れ去り」と考えやすいのか、また、旦那側の言い分に対する反論の「ポイント」という観点から、以下でご説明いたします。

 

 

3.違法な連れ去りに該当するかのポイントは?


 それでは、違法な連れ去りに該当するか否かのポイントはどのようなところにあるのでしょうか?
 一般的には以下のような要素を考慮して判断されるケースが多いです。

 

1)【違法な連れ去りかどうかのポイント1】連れ去り態様
 お子様と一緒に別居することを余儀なくされたとしても、その態様によっては、お子様の心情をひどく害してしまうというケースもありますので、違法な連れ去りかどうかの重要なポイントの一つが、その「態様」ということになります。
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。



2)【違法な連れ去りかどうかのポイント2】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 あなたが別居を余儀なくされた側だとしても、そのことにお子様が納得しないケースもあると思いますし、ある程度の年頃にいったお子様ですと、明確に別居に反対したり、自宅に残るという意思表示をするケースもあると思います。
 このようなお子様の意思に反して別居を始める場合、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は6,7歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。



3)【違法な連れ去りかどうかのポイント3】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。
 前述の通り、お子様が10歳以上の年齢の場合には、一般的にお子様の意思や別居時の様子についてお子様から直接話を聞くことができますが、お子様の年齢がまだ小さい場合には、お子様の意思確認をすることはあまり期待できません。
 そのため、一般的には、普段お子様の面倒を見てきた奥様がお子様と一緒に別居を開始したという場合には、「違法な連れ去り」とは評価されないケースが多いのが実情です。他方、普段お子様の面倒をほとんど見てこなかった旦那様がお子様と一緒に別居を開始したという場合には、「違法な連れ去り」のおそれがあると見られるケースが相対的に多いように感じます。



4)【違法な連れ去りかどうかのポイント4】無断別居イコール「違法な連れ去り」ではない。
 奥様がお子様と無断別居したケース、要するに事前に旦那様に何も別居等の相談をせずに別居を開始したケースでは、旦那様側では「違法な連れ去りだ」と声高に主張なさる方も多いのですが、無断別居と言うだけでは、直ちに違法な連れ去りとは言えないことが多いです。
 「違法な連れ去り」かどうかは、前述のポイント1からポイント3までを総合考慮して決定することが多いです。



5)実態としては?
 ただ、結論から申し上げますと、奥様がこれまで主にお子様の育児に携わってきており、事情があってお子様と別居を開始したという場合には、その方法がよほどお子様の意思に反するといった事情がない限り、「違法な連れ去り」と認定される可能性は低いと思います。
 奥様によっては、しっかりと旦那に伝えてから別居すべきだったとかお悩みになる方もいらっしゃいますが、あまりこの部分で神経質になり過ぎない方が良いと思います。

 

4.まとめ


・まずは、監護者指定手続きというものがどのような手続きかをしっかり理解する。
・旦那様の了解を経ずに別居したからと言って直ちに連れ去りになるわけではない。
・違法な連れ去りに該当するかは以下のような要素で判断することが多い
① 連れ去りの態様
② お子様の意思
③ それまでの監護状況

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2021.03.08更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 

 

1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.夫(元夫)が面会交流を強く求めてきた場合には?


 こちらが面会交流を拒否したい理由をしっかりと説明しても、夫(元夫)側が面会交流を強く求めてきた場合、残念ながら、裁判所からは面会交流させるべきと言われてしまうケースが多いです(児童虐待等明らかにお子様に有害なケースは別です)。
 それでは、こちらとして譲歩して面会交流を認めるにしても、頻度についてはどのように考えておけば良いのでしょうか
 一般的には「1か月に1回程度」というのがオーソドックスな頻度と言えます。

 

 

3.「1か月に1回程度(……)」って?


 「1か月に1回」という断定的な表現ではなく、「程度」を加えていますのは、お子様の体調等からして1か月に1回必ずとすると硬直的なので、事情によっては面会交流できない月が生じることも許容するという意味です。
 ただ、「1か月に1回程度」としていても、夫(元夫)側は、ほとんどの人が1か月に1回は必ず会えると考えている人が多いので、「程度」の表現にあまり期待を込め過ぎない方が良いと思います。


 そのため「程度」はやむにやまれぬ事情があって致し方なく面会交流できない月が発生する余地を残していますが、本当にやむを得ない事情がある場合のみというように理解しておいた方が良いと思います。
 なお、これに関連して、面会交流実施については「子の福祉に最大限配慮しながら」とか「子の福祉に慎重に配慮しながら」といった表現を加えることも多いのですが、やむを得ない事情がない限り面会交流の回数を減らすことが出来るケースは稀ではないかと思います。

 

 

4.面会交流実施への不安が強い場合には、当初は拒否するほうが良いケースもある。


 上記の通り、面会交流のオーソドックスな頻度は1か月に1回程度ですので、こちらが面会交流に応じても良いという話をしますと、1か月に1回面会交流させるという方向で一気に議論が進んでしまうリスクが高いです。
 そのため、面会交流実施への不安が強いという場合には、ひとまず、そのような不安が解消できるまでは面会交流させられないというスタンスで対応するというケースもあります。


 面会交流の話し合いは、協議もしくは調停からスタートすることが多いのですが、調停は、裁判所を利用するものの、あくまで話し合いの場なので、裁判所から何かを強制されることはありません。
 そのため、あなたの不安が強いのであれば、それを理由に面会交流を拒否するという対応もあり得るのです。

 

 

5.まとめ


・面会交流の頻度は1か月に1回程度とすることがオーソドックスである。
・1か月に1回「程度」とされていても、実際にはほぼ毎月面会交流させなければならないと考えておいた方が良い。
・今後の面会交流に不安があるようであれば、当初は面会交流を拒否することも考えてよい。

 

 

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