2020.02.03更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.子の監護者指定事件で想定している代表的なケースって?


 

 例えば、①普段お子様の面倒をほとんど見ていなかった旦那様が勝手にお子様と一緒に自宅を出てしまったとか、②逆に、DV夫から妻だけが追い出されてしまった(お子様を自宅に残さざるを得なかった)といったケースが代表的です。

 いずれにしましても、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段が、監護者指定及び引渡の事件と言うことになります。

 

 

2.監護者指定は3つの事件をセットにすることが多い。


 

 前述のように、監護者指定は、劣悪な環境下にいるお子様を救出する手段として用いられることが多いため、以下の事件を3つセットで申し立てるのが通例です。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

 

 以下それぞれについて概説します。

 1)は、夫婦共に親権を有する状態から、一方のみに監護権(お子様の身の回りの世話や教育方針等を決定する権利)を付与する手続です。

 ただ、監護者が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 

 さらに、このようなケースは緊急性が高いものですから(このような状態を長期間放置するとお子様の身の安全が保障できないことになるため)、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請も出すのです。

 と言いますのは、本来の正式な審判は、慎重に審理しなければなりませんので、結論が出るまでに時間がかかってしまいます。ただ、時間がかかればかかるほどお子様は劣悪な環境での生活を余儀なくされると言うことになってしまいますので、至急暫定的にでもお子様を正常な生活環境に戻させる処分が「保全処分」なのです。

 

 

3.監護者指定事件における手続の特徴は?


 

(1)調停前置ではない。

 例えば、離婚する際には、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります。このようにすぐに裁判と言った手続をすることができず、その前に調停を起こさなければ行かないことを「調停前置主義」と呼びます。

 家庭生活に関わる問題は、裁判官が強制するよりも、夫婦が話し合って解決することが望ましいという考え方から、離婚等には調停前置主義が採用されています。

 

 これに対して、監護者指定事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 監護者指定事件は、前述のように至急、劣悪な環境にあるお子様を救出する必要がありますので、調停手続きを経ることが要求されていない(調停前置主義が取られていない)のです。

 

(2)実際の手続の進行は?

 監護者指定事件の進行の特徴としましては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるといったことが言えるのではないかと思います。

 以下で詳しく説明していきます。

 

①迅速性

 前述の通り、子の監護者指定審判事件は通常監護者指定だけではなく、子の引渡及び保全処分もセットで申立がなされます。

 そして、保全処分は緊急措置としてお子様を暫定的に申立人のところに引き戻す手続と言うことになりますので、急ピッチで手続きが進められのが通例です(担当裁判部によっては多少スピード感が異なりますが)。

 即ち、監護者指定事件では、第1回期日に調査命令が発令されることが多く、その後の調査も急ピッチで進められることが多いです。

 

 一般的な審判事件ですと、いきなり調査官を付けるのではなく、調査発令の前までにお互いの資料整理等を何度か行うことが多いのですが、監護者指定事件では、第1回目から早速調査開始とすることが多いです。

 そして、調査を迅速に進めるため、調査官が複数名担当として付けられることが多いです。通常の審判手続ですと原則調査官は1名しか付けないのですが、急ピッチに事件を進めるため、調査官が複数名付けられるのです。

 調査官が複数名付けられることによって調査官の中でも作業の分担等を行うことができますので、手続の迅速化を図ることができるのです。

 

②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき

 前述の通り手続は急ピッチで進められますので、第1回期日までに資料等はほぼ全て出し切ってしまう必要があります。

 そのため、資料整理と裏付けの整理を急ピッチで進めることが非常に重要になります。

 特に、監護者指定事件では、これまでの監護状況が非常に重要なポイントになりますので、その裏付けとして保育園の連絡帳、母子手帳やお子様と撮影した写真等が客観的証拠として重視されやすいです。

 これらの証拠を準備しつつ、第1回期日までに陳述書も準備しなければなりませんので、忙しなく準備しなければならないことが多いです。

 

③調査官調査主体の手続である

 監護者指定事件において、ご夫婦は通常、過去のお子様との関わり方について、自身に有利なように主張を展開することが多いので、これまでの監護の状況については、調査官が裏付け資料等を見ながら慎重に判断していくことになります。

 調査官の調査は通常、①ご夫婦それぞれから提出された資料の検討、②ご夫婦双方との面接、③小学校や児童相談所等関係機関への訪問や問い合わせ、④自宅訪問の4部構成とすることが多いです(但し、通常は、①→②→③→④という順序で進行することが多いですが、事件によっては、順番が変わることも多いです)。

このようなお話しを致しますと、②の調査官との面接でしっかりと親としての活動をアピールしようと考える方も多いのですが、前述の通り、これまでのお子様との関わり方についてはどの程度の資料や証拠があるのかという点が非常に重要なポイントになりますので、上記①の資料提出の準備を怠ってはいけません。

 

④調査報告書でほぼ結論は決まる

 前述のような調査官の調査が完了しますと、調査官は調査報告書というものを作成します。要するに、実施した調査の概要を示すと共に、調査官として適切だと考える結論を報告書という形でまとめ上げるのです。

 この調査報告書は、実際に調査官のみでまとめ上げるのかというと、調査官が作成した叩き台に対して裁判官が意見を言うことの方が多いため、調査報告書には裁判官の意見が実質考慮されていることの方が多いです。

 そのため、調査報告書が出来上がりますと、実質的にそこで審判の結論は出てしまうことが多いです。

 このようなこともあって、裁判官は、審判廷において「裁判所の考え方は調査報告書の通りです」と発言することが多く、大半のケースでは調査報告書の内容通りの審判がおります。

 

 

4.まとめ


・監護者指定事件は、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段として用いられることが多い。

・監護者指定事件は以下の3つの事件をセットで申し立てるのが通常である。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

・監護者指定事件の特徴としては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるという点が特徴的である。

 

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