2020.01.13更新

 弁護士 秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。

 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。

 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい

 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。

1)身上監護権

2)財産管理権

3)身分行為の代理権

 要するにこれらの権利をまとめて「親権」と呼んでいるということです。

 これらの3つの権利についてそれぞれ説明していくと以下の通りです。

 

 まず、身上監護権とは、お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。

 財産管理権とは、お子様の財産を管理についての代理権限を言います。馴染みがある例ですと、TSUTAYAなどでお子様だけでトレーディングカードやゲームソフトなどを売却しようとすると、親御さんの同意を得て下さいと言われると思いますが、これは、親権者に財産管理権があるため、お子様だけで高価な物品の処分等ができなくなっているのです。

 身分行為の代理権とは、例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

 

(3)要するに監護権って?

 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 監護権が問題となるのは、奥様がお子様を連れて別居を開始してしまったというように、ご夫婦が別居状態になっているときに、旦那様と奥様どちらがお子様を育てていくのが適切なのかということで争われるケースが大半です。

 

 

2.子の監護者指定って?


 

 夫婦が別居している場合、当然お子様はどちらか一方の家で暮らしていくことになります(頻繁な面会交流をしているケースもあるでしょうが、普段の寝起きをする場所としては通常夫婦どちらかの家と言うことになろうかと思います。)

 そして、このようなお子様の生活そのものに不満がない場合には、敢えて監護権者指定を申し立てる必要はありません。

 

 しかし、例えば、普段お子様の面倒をほとんど見ていなかった旦那様が勝手にお子様と一緒に自宅を出てしまったとか、逆に、DV夫から妻だけが追い出されてしまった(お子様を自宅に残さざるを得なかった)というように、現在のお子様の生活が子の福祉にかなっていないという状況に陥っているというケースもあります。

 これらのような場合には、お子様のために、現在の監護状況を脱し、お子様を本来あるべき生活環境に戻す必要があります。

 

 このようにして主たる目的としては、お子様を合法的に引き戻させるべく申立を行うのが子の監護者指定(+引渡)となります(このように通常はお子様の引渡をさせる必要がありますので、監護者指定と共に引渡も申し立てていくことになります)。

 

 

3.一般的に事件の数は3個になる


 

 前述の通り、現在もお子様の生活環境に問題があるので、そのお子様をこちらに戻させることを主目的として監護権者指定の申立は行われます。

 そして、通常、このような状況は早急に改善する必要があります。

 

 そのため、監護権者指定を申し立てる際には以下のように事件数は3個となることが多いです。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

 

 1)は前述で説明したように、夫婦共に親権を有する状態から、一方のみに監護権を付与する手続です。

 ただ、監護者が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 さらに、このようなケースは緊急性が高いものですから(このような状態を長期間放置するとお子様の身の安全が保障できないことになるため)、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請も出すのです。

 と言いますのは、本来の正式な審判は、慎重に審理しなければなりませんので、結論が出るまでに時間がかかってしまいます。ただ、時間がかかればかかるほどお子様は劣悪な環境での生活を余儀なくされると言うことになってしまいますので、至急暫定的にでもお子様を正常な生活環境に戻させる処分が「保全処分」なのです。

 

 

4.まとめ


・親権には、大きく分けて身上監護権、財産管理権、身分行為の代理権という3つの権利が含まれる。

・監護者指定とは、そのうちの「身上監護権」を夫婦のどちらか一方に与えるものである。

・監護者指定は、別居によりお子様が夫婦どちらか一方の生活だと劣悪な環境での生活になっているといったケースでお子様を救出する手段である。

・そのため、監護者指定は、①監護者指定、②子の引渡し、③保全処分という3つの事件が同時並行で進むことが多い。

 

 

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