夫が突然監護者指定審判を起こしてきたーこちらも離婚を決断しなくてはいけないのか?
2021.03.29更新
こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。
1.そもそも「監護者」って何だ?
(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。
(2)親権の意味のおさらい
そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)
(3)要するに監護権って?
上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。
(4)監護者指定審判とは?
離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。
2.別居の思いは様々
固く離婚を決意して別居を始める方もいますが、そうでなく、例えば以下のような気持ちで別居を始めたという方もいると思います。
① 夫からの暴力があり、警察に通報したところ、警察から自宅に戻らないほうが良いと言われたため実家に身を寄せたが、離婚するかどうかは夫としっかり話をして決めたいと思っていた。
② 夫からのモラハラがつらくて、ともかく体調改善のために別居した。
③ 自分だけならまだしも、夫の子供に対する対応が悪化していったので、子供のことが可哀想で別居に踏み切った。
④ 夫が頻繁に「出ていけ」というので、その通りにしてみたが、今すぐ離婚したいわけではない。
⑤ 今は夫の顔を見たくないので、冷却期間ということで別居を始めた。
⑥ 夫が生活費をほとんど渡さなくなったので一緒に住んでいる意味がないため、実家に一時身を寄せることにした。夫が生活費を渡してくれるようなら今すぐ離婚したいわけではない。
⑦ 夫とはいずれ離婚になると思うが、今はまだこちらも復職等ができていないので、別居後復職の目処が立ってから離婚の話をしようと考えていた。
3.離婚を決断しなければならないのか?
監護者指定審判は、直接的にはお子様に関する紛争ですが、あなたとの対立も厭わないという意味も含まれていますので、そのことは厳粛に受け止める必要があります。
しかし、監護者指定審判を起こされたから、即離婚を決断すべきかというと、そうでもありません。
離婚を決断すべきかは、主に以下の点を慎重に検討する必要があると思います。
① 今後の夫婦関係についてのあなた自身の思い
② 今後の生活(経済的な面)の考慮
③ お子さんとの兼ね合い
率直に申しますと、監護者指定審判手続きで争っていく場合、書面の応酬等で夫婦仲は一層悪化していきますので、監護者指定審判の結論が出るころには、「やり直したい」とはとても思えないというケースの方が多いかと思います。
ただ、離婚するかどうかはあなた自身の今後の人生、お子様の今後の人生にも大きな影響があるお話なので、その時々の感情で判断するのではなく、今後も見据えて慎重に検討したほうが良いと思います。
4.まとめ
・別居の思いは様々で、即離婚したいというつもりではないことも多い。
・監護者指定審判を起こされたから「即離婚」ということではなく、以下の点も考慮して、慎重に検討したほうが良い。
① 今後の夫婦関係についてのあなた自身の思い
② 今後の生活(経済的な面)の考慮
③ お子さんとの兼ね合い
関連記事
>【弁護士秦の解決事例】モラハラ夫から突如起こされた監護者指定審判で勝訴したケース
>夫が突然監護者指定審判を起こしてきたー夫はどういうつもりでこのような手続きを取ってきたのか?
>【弁護士が解説】監護者として指定されるための6個のポイント
>>このブログを書いた弁護士秦(はた)に直接会って相談したい方はこちら!
(事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力で簡単日程調整)
雨宮眞也法律事務所
弁護士 秦(はた) 真太郎
TEL03-3666-1838|9:30~18:00
東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号
投稿者: