2024.03.18更新

 弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.児童虐待とは?


 どのような行為が児童虐待に該当するかについては、児童虐待防止法に定めがあり、①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト、④心理的虐待・面前DVが児童虐待に該当するものとされています。簡単にご説明いたしますと以下の通りです。
①身体的虐待…殴る、蹴るといった身体的暴力
②性的虐待…お子様への性的行為や性的行為を見せる行動等
③ネグレクト…食事を与えない、衛生状態を非常に悪くするといった行動等
④心理的虐待…お子様への脅し、暴言等

なお、④の「心理的虐待」について、児童虐待防止法は「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応」としていますので、単なる暴言等では足らず、その内容が「著しいもの」、すなわち、悪質であったり執拗であることが必要になります。

 

 

2.そもそも「子どもへのモラハラ」ってどんなこと?


 モラハラについては 「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと定義されたりしますが、これだけではピンと来ない方が多いと思います。具体的にお子様との関係での夫の発言や行動で「モラハラ」と評価し得るものとしては以下のようなものがあります。
なお、夫がお子様に直接手をあげるケースは、もはやDVに該当しますので、一旦モラハラとは分けて考えます(以下では、このようなDVにまでは達していないケースを想定して解説いたします)

【お子様へのモラハラの具体例】
①直接お子様に暴言を吐く(例:「お前なんか俺の子じゃない」、「ゲームばっかやってるからいつまでもバカなんだよ」「ほんとママに似て言い訳だけはうまいよな」等々)

②お子様を注意する際などに、わざわざ大きな声を出すなど、怒鳴ってくる。

③時間に関係なく(深夜等)説教や叱責が行われる。説教時間等が異常に長い(2,3時間続くことがある等)

④凶器(キッチンの料理包丁等)を持ち出して脅してくる。

⑤お子様に危害を加えるような発言をする(例:「今度同じことをしたら殴るからな」、「殴られないと治らないのか?」等々)

⑥説教等の際に土下座や正座を強要してくる。

⑦お子様を困らせようと「離婚」や「別居」の話を出してくるが、本気ではないことが多い(「ママに似てお前がバカだから、もう離婚だな」とか)

⑧敢えてお子様が傷つくようなことを言う(「お約束を守れなかったから、昨日買った誕生日プレゼントは捨てるぞ」とか「テストの点数が悪かったから、週末のお出かけは無しな」とか)

⑨機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑩お子様が大切にしているものを壊される、捨てられる。

⑪唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、(あなた自身もお子様も)いつも相手の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑫平気で嘘をつく、シラを切る(例えば、相手の了解を得て行動したのに、「そんな話聞いていない」とか「勝手に決めるな」と怒られるとか)

⑬考え方がコロコロ変わるため振り回される(昨日までは合成着色料が入った菓子は食べてはいけないと言っていたのに、今日帰宅すると「同僚がお菓子を持ってきてくれたんで分け合って食べるんだぞ」などと言って着色料入りのお菓子を配ってくるとか)

⑭相手の行動や言動の矛盾を指摘すると、あなたのせいにされる、あなたの方が侮辱される(お子様が叱られたので、お子様が「パパだってこういうことしてたじゃん」などと反論すると、あなたに対して「お前の教育がなってないから子供がこんな言い方をするんだ」とか「ほんとママに似て生意気だよな」とか言ってくる等)

⑮相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れない(夫の洗面所の利用時間が長いので、娘が「もうパパどいて、遅刻する」というと、「焦らせるな」とか「誰にそんな口を聞いてるんだ」と怒り始めるとか)

⑯お子様の容姿を侮辱する(「どうしてこんなにブスに生まれたんだろうな」「相撲みたいに太ってるな」「こりゃ整形しないと一生結婚できないな」等々)

⑰一定期間意図的にお子様を無視してくる。

⑱気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑲自宅に監視カメラやレコーダーを設置して、あなたやお子様の行動を監視する。

⑳お子様の携帯電話や郵便物、財布の中身、手帳等を頻繁にチェックされる。

㉑お子様の携帯電話にGPSアプリ等をダウンロードすることで監視してくる。

㉒お子様の行動を執拗に確認してくる(少し帰宅時間が遅かっただけで、どこに行っていたのかとか誰と会っていたのかと執拗に聞かれるとか)

㉓お子様の行動を制限してくる(門限を20時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、休日の外出着などについて事細かくチェックしてくる等々)

㉔金銭感覚が自分に甘く、あなたやお子様に対しては厳しい(自分は自身の趣味のものなどは頻繁に買ってくるのに、お子様が学校帰りにお菓子を買ってきただけで「勝手なことをするな」と怒り始めるとか)

㉕自分の労働や給料を誇示してくる(「お前の学費は、おれが苦労して稼いできたお金で払ってるんだぞ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

㉖ほとんど家事・育児をしていないのに、やっているように話してくる。

㉗あなたやお子様の意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(高校進学先などについて「俺がここに入学させたいんだから、お前は合格するために必死に勉強だけしとけばいいんだ」とか旅行先について「お前らの行きたいとこなんて聞いてない」といった発言等々)

㉘友人や親戚の前でお子様の悪口を言う。

㉙SNS等でお子様の悪口を拡散する。

㉚他の兄弟姉妹の前でお子様の悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

㉛身内や(お子様の)友人を侮辱する(「お前の友達の○○ってやつは最悪だな」「お前の友人の○○みたいにはなるなよ」等々)

㉜異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「私はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

㉝被害妄想的な行動や言動が多い(お子様がその様な発言をしていないのに、「この前○○と言われてすごく傷ついた」とか、相手の仕事が計画通りに行かなかった事の責任をお子様に転嫁してくるとか、極端なケースだと「もう死にたい」「こんなにイライラするのはお前のせいだ」といった発言をしてくる)

 


3.「虐待」との線引きは?


前述の通り、「心理的虐待」について、児童虐待防止法は「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応」としていますので、単なる暴言等では足らず、その内容が「著しいもの」、すなわち、悪質であったり執拗であることが必要になります。
 上記で具体例として挙げた33個のモラハラ行為のうち、複数のモラハラが行われているケースも多いのですが、その数が多ければ、心理的虐待になって、数が少なければ心理的虐待にならないというわけではありません。
 具体的な虐待の線引きは難しい判断が必要になりますので、詳しく知りたい方は弁護士にご相談なさってください。

 


4.「何をされたのか」ということも重要だが、それ以上に「どれだけの証拠があるか」という視点がより重要


 上記のようにモラハラ行為の具体例を挙げますと、自分のお子様については、何番と何番が当てはまる、具体的にはこういう被害を受けたというチェックにばかり目を奪われる方が多いです。
 もちろん、このような思い出し作業はとても大事なのですが、思い出す際には、どこまでの証拠・裏付けがあるのかという点もしっかりと確認する必要があります。
 モラハラ発言については、夫側が「そのようなことは言ってない」などと反論してくるケースが非常に多いため、裏付けが乏しいと、そのような事実があったのかなかったのかという点で大きくもめることが多いからです。
 もちろん、証拠が乏しいと、それだけで不利になるというわけではないですが、証拠があった方が有利に働くことは間違いありません。

 


5.まとめ方にも工夫が必要


 前述のモラハラ行為の思い出し作業にあたっては、特にあなたが何を求めるのか、夫側が何を強く争ってくるのかによって、まとめ方等に工夫が必要になることが多いです。
 夫側が離婚を強く争ってきそうだという場合には、お子様への虐待という視点よりも、むしろ、あなた自身がどのようなモラハラ被害を受けてきたのかという視点で過去の事実をまとめることの方が大事です。
 逆に、夫側が離婚には応じる可能性が高いが、親権を強く争ってきそうだという場合には、お子様への虐待という視点を重視してまとめる必要が出てきます。

 


6.まとめ


・一口にお子様へのモラハラと言っても多様な事例がある。
・心理的虐待との線引きは、その行為が「著しい」ものと言えるかどうかで区別されるが、専門的なことは弁護士に確認した方が良い。
・どのような虐待行為があったのかを思い出すことは大事だが、その証拠の有無ということの方がもっと大事である。
・離婚を中心にまとめるのか、親権を中心にまとめるのか、によって、まとめ方の考え方が変わってくる。

 

 

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