2024.02.05更新

 弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.児童虐待とは?


 どのような行為が児童虐待に該当するかについては、児童虐待防止法に定めがあり、①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト、④心理的虐待・面前DVが児童虐待に該当するものとされています。簡単にご説明いたしますと以下の通りです。
①身体的虐待…殴る、蹴るといった身体的暴力
②性的虐待…お子様への性的行為や性的行為を見せる行動等
③ネグレクト…食事を与えない、衛生状態を非常に悪くするといった行動等
④心理的虐待…お子様への脅し、暴言等

 

 

2.児童虐待は離婚理由になるか


(1)離婚を決意する理由としては十分
 お子様が上記のような虐待行為を受け、酷い目にあっている場合、あなたとしては、そのことで非常に胸が痛み、苦しい思いをすることになると思いますので、そのことは離婚を決意するだけの十分な理由になります。


(2)裁判上の離婚原因はまた別問題
 他方で、仮に夫側が離婚を強く争い、離婚裁判までもつれ込んだ場合、離婚裁判では、民法上、強力な離婚理由が必要になってきます。お子様への虐待は、その内容が非常に深刻なものであったり悪質なものである場合には、裁判上の離婚原因に該当する可能性もなくはないですが、直ちに裁判上の離婚原因とはしにくいケースの方が大半だと思います。
 離婚は、夫婦の関係を解消するものなので、第1義的には、夫婦の間でどのような問題があったのかという点が重視されるため、お子様への虐待を直接の離婚原因とはしにくいのです。

 

 

3.むしろ視点をあなたへの暴力・モラハラという点に移して戦うべき


(1)調停や裁判での戦い方
 もちろん、あなたとしては、夫の子供への暴力が許せないとか、夫の子供への性的虐待が特に見過ごせないと感じて、離婚を決意したのでしょうし、そのようなお気持ちを変える必要はありません。
 ただ、いざ調停や裁判で相手と対峙していくにあたっては、調停委員が賛同しやすい離婚理由、裁判官が納得しやすい離婚理由を掲げたほうが、有利に働きます。
 そのため、児童虐待の点を指摘するとしても、離婚したい理由としては、むしろ、夫側があなたに対してどのような行動・言動に出ていたのかという視点から整理した方が良いと思います。
 例えば以下のような整理を検討してみて下さい。


(2)夫がお子様への身体的虐待を繰り返す場合
 夫がお子様に対して身体的虐待を繰り返すケースですと、夫のあなたに対する暴力がゼロというケースはほとんどないと思います。
 仮に、最初は暴力を振るっていなかったとしても、あなたがお子様を守るために間に入れば、夫側の暴力の矛先はあなたに向かうことが多いと思います。
 そのような夫からあなたへの暴力をクローズアップして離婚理由として組み立てていくのです。
 そうすることで、あなたは夫から直接暴力被害を受けているということになりますので、離婚が認められやすくなる大きな要素になると思います。


(3)夫がお子様への性的虐待を繰り返す場合
 夫側がお子様に直接性的行為をしたり、実際の性的行為を実演している様子をお子様に見せるというケースは実際には少ないとは思います。現実的には、夫側が性的にかなり不適切な言動に及んだり、性的な映像等をお子様に見せたりというケースの方が多いと思いますが、このような不適切な行動に及ぶ夫は、あなたに対する関係でも不適切な行動に出ていることが多いと思います。
 例えば、あなたに対する性的な異常行動であったり、あなたに対しても性的にあまりに不適切な言動に出るといったことが代表例ですが、このような行動があった場合、夫のあなたに対する直接の被害と言えますので、この点をクローズアップして離婚理由とした方がより有効打になります。


(4)ネグレクト
 夫側が普段から家事や育児を全面的に担当しているというケースはほとんどないと思いますので、夫側のネグレクトというのは、実際には、①お子様への罰としてトイレや押し入れ等に長時間閉じ込めるとか、②不潔にさせるよう強いるといったケースが大半ではないかと思います。なお、②の「不潔にさせるよう強いる」というのは、例えば、「水道代がもったいないから、風呂には1か月に一回しか入るな」と命じられるとか、「お金がもったいないから娘は美容院に連れて行くな」と言われ、1年以上美容院に連れて行けずに髪が伸びっぱなしであるとか、「洋服代がもったいないから洋服は買うな」と言われ、友達のお古の洋服しか子供に着させられないといったケースを指します。このようなケースでは、夫側が家計を握っていて、あなたが自由にできるお金がほとんどないという状況が多いと思います。
 ネグレクトについても、上記の①のようにお子様に罰を与えるような夫の場合には、あなたに対しても気に障ることがあると罰を与えてくることが多いと思いますので、その点をクローズアップしていくことになります。
また、②については、あなたに対する経済的締め付けとセットのことが多いと思いますので、あなたに対する夫からの経済的締め付けということで離婚理由とすることが多いと思います。


(5)心理的虐待
 心理的虐待についても同様で、お子様に対して脅し文句を言ってきたり、暴言を吐く夫は、あなたに対しても脅し文句を言ってきたりすることが多いと思います。
 そのため、実際には、あなたに対する夫からのモラハラ行為といった形で離婚理由に結び付けていくことが多いと思います。


(6)実際の離婚の認められやすさはケースによる
 上記のとおり、夫と離婚したい理由という観点からは、夫のあなたに向けられる行動・言動という視点が大事なのですが、そのような事情があれば簡単に離婚できるというわけではありません。
 例えば、モラハラと一口に言っても、非常に悪質なものから、そこまで深刻とまでは言えないケースなど多様ですので、離婚の認められやすさは、その具体的な内容を精査して、しっかりと見極めていく必要があります。実際に、あなたのケースでどこまで戦っていけるか確認したいという場合には、是非弁護士秦の無料相談をご利用ください。

 

 

3.結局子供への虐待は、離婚では何も役に立たないのか?


 これまでの説明を見ますと、お子様への虐待は離婚との関係で何も役に立たないように感じてしまうかもしれません。
 確かに、離婚できるかどうか、離婚しやすいのかという点では、必ずしも大きな効果はないかもしれませんが、親権争いといったところで、虐待の有無・程度ということが大きく影響してくることが多いです。
 夫は虐待親であるにもかかわらず、親権を主張してくるようなケースも少なからずありますので、夫婦のどちらが親権を獲得するのかという場面で、児童虐待は大きな判断要素になります。

 

 

4.まとめ


・お子様への虐待は、離婚を決意する十分な理由になる。
・ただ、離婚裁判での離婚原因は厳格なので、児童虐待があっても直ちに「離婚原因あり」とはされにくい。
・調停や裁判で、離婚したい理由としては、あなた自身が受けてきた被害という視点でまとめていくことが重要である。
・お子様への虐待は、親権争いで重要な意味を持ってくる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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