2021.05.10更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?



(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.妻側であれば監護者指定事件ではほぼ確実に勝てる?


 

 私は、他の弁護士が担当している事件についてのセカンドオピニオンを受ける事等もあるのですが、妻側だというだけで「監護者指定は大丈夫なので、安心して下さい」とか「そんなに準備しなくても勝てるので、準備するだけ無駄です」などとアドバイスしている弁護士を見かけることもあります。
 特にお子さんの年齢が幼いような場合には、妻側が有利なことは事実です。

 

 しかし、審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になります。また、監護者の指定は複数の要素を総合して検討されますので、妻側であるというだけで安易に考えることは非常に危険だと思います。

 さらに、現状あなたがお子さんの面倒を見ているかどうかでまた情勢が変わってきます。
 以下では、①現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケースと、②現在あなたがお子さんの面倒を見ているケースとで場合分けして解説します。

 

 

3.現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケース


 

 例えば、夫からのモラハラに耐えかねて、夫に黙って別居の準備をしていたところ、そのことが夫にバレてしまった、そうしたところ、夫が子供を連れて実家に行ってしまい、今はあなた一人で生活している、といったケースです。

 このようなケースですと、率直に言いますと、「妻側である」というだけで勝訴することは非常に困難だと考えてもらったほうが良いです。
 なぜなら、監護者指定事件で最も重視されるのは、現状お子さんを夫婦のどちらが育てているのか、そのような生活状況に問題がないのかという点だからです。

 旦那側の実家での生活がお子さんにとっても安定している状況の場合、残念ながらこちらが不利な状況にあると認識したほうが良いと思います。
 ただ、このようなケースでも十分戦っていく余地は十分にあります。
具体的には、①旦那の別居前に育児を主に担当していたのが妻であるという点、②旦那の別居が子の連れ去りであるという点をしっかりと証拠をつけて戦っていくということになろうかと思います。

 

 

4.現在あなたがお子さんの面倒を見ているケース


 

 あなたが、お子さんと一緒に別居を開始したが、旦那に事前に伝えずに別居したということもあって、旦那側が監護者指定審判事件を起こしてきたというようなケースです。
このような場合には、現在あなたがお子様の育児を担っていて、また、女性側ということもありますので、審判手続きにおいて、あなたが有利なことは事実です。

 

 しかし、以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定事件は以下の要素を重要な判断要素とし、総合的に検討されることが多いです。
1)過去の監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢

 従いまして、現在あなたがお子さんの面倒を見ており、お子さんが健全に成長していたとしても、他の要素で大きく不利な場合には、監護者指定審判事件で敗訴してしまうこともあり得ます。
前述の通り、監護者指定審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になりますので、しっかりとした準備をして臨むことが必須になります。

 

 

5.まとめ


・あなたが現在お子様の面倒を見ていない場合には、妻側だということだけで有利だという発想は捨てたほうが良い。
・あなたが現在お子様の面倒を見ている場合、妻側が有利であることは事実だが、監護者は様々な要素を総合して検討するので油断は禁物である。

 

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